☆北関東の研究拠点に 群馬大と統合、埼大学長に聞く
. [he-forum 3392] 埼玉新聞02/06.-
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『埼玉新聞』2002年2月6日付
北関東の研究拠点に 群馬大と統合、埼大学長に聞く
埼玉大学(さいたま市下大久保、兵藤〓学長)は先に群馬大学(前橋市、赤
岩英夫学長)と将来の再編・統合を目指す方向で合意。実現に向けて両大学の
学長、副学長(各二人)、事務局から成る学長懇談会を発足させ話し合いに入っ
ている。両大学が統合すると国立大学では学生数は全国四番目の規模となる。
「北関東の研究拠点にしたい」と言う兵藤学長にこれまでの経緯や将来構想を
聞いた。
(近田洋一編集委員室長)
−群馬大学との再編・統合構想はいつごろから具体化したのですか。
文部科学省が国立大学の構造改革方針を打ち出し、これを受けて昨年七月ご
ろから北関東国立四大学(埼玉、群馬、宇都宮、茨城)が連携を進めようとい
うTLO(テクノロジー・ライセンシング・オーガニゼーション、技術移転機
関)の設立に向けて、事務レベルの協議に入るかどうか、模索してきた。そこ
へ群馬大から再編・統合へ向けて話し合いたいと打診があった。こちらは結構
です、と。再編は時代の大きな流れですから。
−県を超えた統合となると初めてですよね。なぜ埼玉と群馬が。理由、メリッ
トは。
物理的な距離というよりも、交通の便がいいという時間的な距離が近い。再
編・統合となれば、国立の総合大学では東大、京大、神戸大に次いで学生数は
四番目の規模となり、総合大学としての実を備えることができる。教授などス
タッフの層も厚くなり、めりはりを付けて重点配置すれば教育、研究機関とし
て強化ができる。東京は別として首都圏、特に北関東の拠点大学になり得る。
−学部の再編、統合、新設も視野に。
少子化が進み、教員養成課程を持つ教養学部の在り方を現実に即して考えな
ければならないでしょう。埼玉大学には群馬大学にはない経済学部があり、理
学、工学(特にこれから時代が求める都市工学)にも強い。群馬さんには医学
部がある。理学部が理化学研究所(和光市)などと提携して進めているさまざ
まな分野の研究は先端医療に寄与できるでしょう。学部を超えた学際的な相乗
効果が発揮できる。教育と研究は総合大学の両輪で、いずれも重視しながら、
とりわけ大学院的な研究機能を強化したい。
−キャンパスの移転、統合は。
キャンパスを移したり新設するのは現実的に無理でしょう。現在のキャンパ
スをリニューアルしながら双方が使いやすいよう活用していくのが基本となり
ます。
−本部機能は。
埼玉大、群馬大どちらかに置くというわけにはいかない。大学院的な研究機
能、民間を含めた研究や活動を統括できる機能も併設する。私はそんなイメー
ジを持っているのですが。今は本部の位置をどうするかという段階ではありま
せん。
−独立行政法人化に向けて民間との協力は。
資金的にも大学は民間の力を必要とし、民間企業も大学の研究機能を取り込
み生かしたいという願望がある。両大学がまとまると力を増し、地元企業の活
性化にもつながると思っています。社会教育、生涯学習の分野も同様です。社
会に参加し、社会も大学に参加する。開かれた良好な関係を地域との間につく
り出していきたい。
−再編・統合の時期はいつごろに。
目標は決めていない。拙速にやるつもりはないが、のんびりもしておれない。
−そこのところをもう少し分かりやすく。
独立法人化や予算との見合いで物理的に見て二〇〇四年秋に統合、〇五年に
実質統合スタートということになります。繰り返しますが最短ということであっ
て目標とするまで話し合いは至っていない。
−TLOはどうなるのですか。
これも誤解があります。四大学の連携は今後も追求していきます。
−最後に学校名はどうなさいますか。
そこが頭が痛い。さいたま市で苦労しましたから(兵藤学長は新市名を決め
る諮問委員会の会長だった)。今はそれ以前の問題で学内、大学双方で実務的
な検討を進めているところです。課題山積ですよ。
★編注
文中「〓」は「かねへん」に「りっとう」。