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独行法反対首都圏ネットワーク

☆事務局長主導の法人化準備:組織原案「5点セット」
 
he-forum 3339] FWD:事務局長主導の法人化準備:組織原案「5点セット」.
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ある国立大学教員の方から以下のメールを頂きましたので、私信部分以外を許可を得
て転送します(Subject は転送時につけたものです)。 辻下 徹
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(前略)

 国立大学の独立行政法人化に関して、気になる点をお知らせします。つい最近、本
学トップの一部は、法人化後の本学の管理運営組織の原案を提示しました。
詳細の紹介は控えさせていただきますが、私なりの表現でいえば、5点セット:(1
)学長・副学長(外部から半分程度を登用)によるトップダウン、(2)教授会を廃
止、(3)下から選ばれる全学委員会を廃止し副学長室が個別管理事項を管理、(4
)学部を廃止し学生は教育プログラムにより組織されるがそれに対応する教官組織は
ない、(5)研究分野別に組織された教官はそれぞれに振り分けられた教育と研究組
織に出張る、というものであります。これは、非公務員型に伴う教育公務員特例法の
廃止が前提とされていると判断されます。
これへの批判はこれからしなければなりませんが、問題は、この案の作成過程で、文
部科学省からきている事務局長の指示・示唆が関与されること、その裏には、3月に
予想される「調査検討会議」の最終報告書の先取りがあるのではないかということで
す。

 上の5点セットによる大学は、もはや大学と呼べるものではなく、株式会社、ない
しは軍隊組織であります。すなわちこの構想は、長期目標、中期目標と中期計画(形
の上では法人が自主的に策定するといわれていますが、実際は、文部科学省により認
定される)にそって外的に制約される大学教員、大学内部においては任期制の強迫条
件下で相互に評価し、競いあう教員、そして大学管理に対して意思表示の機会がなく
、管理する対象となる学生、という大学を浮かび上がらせます。そのような大学は、
もはやその名に値する実態をもちません。

 今から思えば、日本の大学評価の項目に、世界にも例を見ない「管理運営」という
項目が入っている目的は、このような組織に国立大学を根底から変える意図を為政者
側がもったためです。そして、その意図を独立行政法人化により貫徹しようとしてい
ます。さらに、算定根拠の不明確な「交付金」という財政的強迫条件は、評価する側
の望む形の管理運営を大学自らが取り込み、先取りせざるをえないものとします。そ
のような底知れない深淵に大学を引き込む仕掛けが、今回の独立行政法人化であると
いうことを、冒頭に述べたわが大学の「法人組織構想」の策定過程で、私自身がこの
目で垣間見た思いがいたします。

 私どもは、「このような大学像を、本当に是として受け入れるのかどうか」という
判断をせまられていると思います。マスコミが、文部科学省よりの情報を流している
ために、社会が正当な判断をもちにくい状況の中で、どのように闘っていけばよいの
か。たしかに容易ではありません。
 しかしながらあくまでもその基本は、正々堂々と、大学としてのグローバルスタン
ダードの理念である大学の自治と学問の自由の立場から、現下に展開されつつある文
部科学省、及びその背後の経済産業省、財界の目指す独立行政法人化プランを批判す
ることでありましょう。それは、「こと細かな文部科学省の制約から開放される」と
独立行政法人化に期待した部分を含めて、多くの大学人の良心を揺り動かすことにな
ります。繰り返し繰り返し、さまざまな角度から、あらゆる手段を使って、多くの人
々に、呼びかけることです。
 一方で、インタネットを使ったグローバルな情報ネットの利用も有効と思います。
たとえば、上記の5点セットをもっと詳しく紹介したものを英訳して、「日本のある
国立大学の将来構想」として、さらに、その案が最終的に確定したらその大学の名前
も公表して、世界中の大学関係者に問いかけて、その反応結果を公表するというのも
面白いでしょう。ただ、すでに日本の大学に起こっていることは、日本にいる外国の
研究者の目を通して、世界中に知らされており、多くの人々に疑問の目で見られてい
ますが---。

(後略)
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