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教育大再編*教員育成の理念を示せ
. .[he-forum 3334] 北海道新聞社説01/28-

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『北海道新聞』社説  2002年1月28日付

教育大再編*教員育成の理念を示せ

 国立大学の再編・統合が迫られる中で、とりわけ教員養成大学への風当たり
が強い。

 五分校体制をとる道教育大の再編の行方を、道民の多くが関心を持って見つ
めているのではないか。

 身近な先生の育成にかかわる問題である。しかも、いじめや不登校、学級崩
壊、学力低下といった課題に向き合う意欲的な教員の確保が、いまほど求めら
れている時はないからだ。

 文部科学省の懇談会は昨年、「一県一教育学部」の原則を転換し、全国に四
十八ある教員養成系大学・学部の統合促進を提言。文科省は半数以下に再編す
る方針を打ち出した。

 少子化で教員採用数が減り、教育大卒業者の教員就職率が低いことなどが理
由だ。

 教員養成課程の入学定員は、十五年前の半数の一万人以下に減らされている。
道教大は全国最多の七百人だが、最少の鳥取大は七十人。教員になる割合は道
教大の約50%は高い方で、全国平均は38%にとどまる。

 とはいえ、教育大の目的は教員養成だけではない。現職教員の研修の場であ
り、学校現場を支援する役割を担う。地域の人材育成のほか、生涯教育や社会
教育への貢献も期待される。

 地域の教育の中核としての視点を忘れずに、優れた教員をどう育てていくか。
それが、再編論議にあたって最も肝心だ。経済効率の優先には賛成しかねる。

 問題は、道教大のビジョンが道民に見えてこないことだ。

 学内に昨年示した学長試案では、五分校のうち札幌校と岩見沢校を統合して
教員養成課程を集約。函館、旭川、釧路各分校は、現職教員の研修や研究主体
のサテライト校にするという。

 逆に函館、釧路両校は、教員免許取得を目的としない「新課程」を札幌・岩
見沢校に置き、他の三分校に教員養成課程を残す対案を出している。

 数合わせや分校同士の綱引きに陥らず、この機会に、北海道全体の教育の将
来像を具体的に描いてもらいたい。

 教員養成課程の一極集中がいいのかどうか。各分校が特色を出すために設置
してきた地域環境、情報社会教育といった新課程をどう生かしていくか。

 力量向上を目指す先生たちの要望にこたえる体制、大学院教育のあり方も重
要だ。教官配置の見直しも求められよう。

 他の国立大との間で再編・統合のメリット、デメリットを検討する作業も始
まった。一歩進めて、公立大との連携も視野に入れる必要があるのではないか。

 道内教育のあるべき姿を探りながら、その道筋を分校の地元はむろん、道民
に丁寧に説明していくことを望みたい。