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独行法反対首都圏ネットワーク

☆国立大再編 「数合わせ」ではないのか
. [he-forum 3330] 山陽新聞社説01/26.-

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『山陽新聞』社説  2002年1月26日付

◇国立大再編 「数合わせ」ではないのか

 全国に百一校ある国立大学・短大のうち三十六校が他の大学との統合を決め
るか、統合に向けた協議を進め、他のほとんどの大学でも近隣の大学と非公式
に協議するなどしていることが、文部科学省のアンケートで分かった。

 文科省は昨年六月、国立大の再編・統合の促進により大幅な削減を目指す
「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)を打ち出したが、これに対する各大
学の取り組みなどを調べた。これを基に文科省は各大学から聞き取り調査を行
い、二〇〇二年度中に全体計画をまとめる予定である。

 統合計画が既に具体化しているのは二十八校(十四組)で、このうち香川大・
香川医科大は〇三年十月をめどに統合する方針を決め、昨年秋に合意書を交わ
した。このほか、弘前大など八校は統合を前提に懇談会を設置している。広島
大など五十六校は地区協議会で話し合いを進めたり、学内で検討する。

 「具体的な検討をしていない」などと答えたのは岡山大など四校にとどまり、
ほかに五校が記述していなかった。

 少子化で大学は「冬の時代」に突入しつつある。学生減が経営に直結する私
立大に比べ、国立大は生き残りに向けた取り組みがやや遅れているのが現状だ。

 文科省は国立大を国の直轄から切り離す「法人化」や、国公私立を問わず優
れた業績を挙げた大学に予算を重点的に配分し世界最高水準に育成する「トッ
プ30」構想などを示し、各校に積極的な改革を促している。

 今回の調査結果では、文科省の意向に従っているためか、改革の中心を他大
学との統合に置こうとするケースが目立つ。弘前大・秋田大・岩手大などの県
境を越えた統合に意欲を燃やす事例もあるが、大半は香川大・香川医科大のよ
うに同じ県内にある総合大学と単科大学の組み合わせとなっている。

 しかし、計画が実現しても、キャンパスは今のまま残り、実態は現状と変わ
らない可能性も高い。数合わせだけに終わるのではないかという懸念が残る。
文科省の「初めに再編・統合ありき」とも言える方針を受け入れ、単なる生き
残り策として統合を選んでいる様子もうかがえる。

 「効率化」は今の時代背景から無視できないが、大学改革に効率のみを優先
させてはならない。まず、大学を活性化させるために必要な機構や教育・研究
体制の在り方、地域で果たしてきた役割などを再考する。二十一世紀の新しい
大学像を明確に描き、その延長上で再編・統合を論じる姿勢が欠かせないだろ
う。