☆岡山大学における教員評価について
. [he-forum 3323] 岡山大学における教員評価について.-
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he-forumML各位
岡山大学の野田です。
小沢さんが流してくださった山陽新聞の記事にありましたように、
岡山大学では去る23日の評議会で、この4月から新たな教員評価制度を
導入することを決定しました。(2年間は試行期間とされています。)
学長自ら述べているとおり、全国に先駆けて、何が何でも、この
4月から実施することが急がれたのです。最終案というのも、正式
な案の体裁をなさないものです。教授会で審議されることは一度も
ありませんでした。
今後、他の大学にも少なからぬ影響を及ぼすことを考えると、この
ような案を、このような形で許してしまったことを全国のみなさまに
申し訳なく思います。
なぜ、こんなことになってしまったのか。反省点は二つあります。
一つは、評価案の内容に対する的確な批判文を作成の上、全教員に配
り、この問題に対する全学的な関心の高揚をはかる努力を怠ったこと
、そしていま一つは、全学の教授会で審議するよう求める運動を徹底
しなかったことです。
教授会の形骸化が言われています。だとすると、今回のような機会に
こそ、それを許さない、私たち自らの強力な運動が必要だったと反省
されます。
参考までに教員評価の最終案冒頭に岡山大学長が載せている文章の
一部を紹介します。ここまであけすけな学長も珍しいのではないでし
ょうか。
(教員有志16名が評議会当日に学長と評議員に届けた(弱々しい?)
要望書も末尾に添付します)
(学長の文章)
教員の個人評価については、現在いくつかの大学で部分的に行われて
いるが、本学では全学で取り組みたい。近い将来、こうした個人評価
は各大学で実施されることになると予想される。本学では、それらの
大学に先駆けて全学的規模で実施することは、大きな意義のあることと
確信している。
本学の個人評価の実施については、学内においては部局長会等において
賛同を得ており、さらに岡山大学運営諮問会議においても評価する意見
をいただいている。
また学外においては、文部科学省、他大学さらには官界、経済界の
リーダーの方々からもその成果に期待する意見を得ている。
(教員有志の要望書)
岡山大学長 河野伊一郎殿 2002年1月23日
評議員各位
要 望 書
日頃、岡山大学の研究・教育発展のためにご尽力なさっておられますことに敬
意を表します。
さて、新聞等でも報道されました新たな教員の個人評価に関する件ですが、私
たちは、この問題は教員の研究・教育に関わるきわめて重大な問題であるにもか
かわらず、学内で十分な論議が尽くされないまま、さらには個々の教員には、そ
の内容すら十分知らされないまま、4月「試行」の実施に向けて準備が急がれて
いることに強い懸念を表明するものです。
昨年9月、第7常置委員会は、個人評価に関する中間まとめ(案)を部局長に
送り、10月1日までに部局意見の取りまとめを依頼しましたが、当問題は、わ
ずか2週間弱の短期間に意見取りまとめを行うには、あまりにも重大すぎる問題
です。
にもかかわらず、第7常置委員会は、期限内の回答をもって各部局の意見聴取
を終えたとして、去る10月、「岡山大学における教員の個人評価について」
(案)を発表し、それに若干の修正を加えた最終案を、去る12月26日、決定しま
した。
そして多くの教員にはその最終案自体が配布されないまま、4月からの「試
行」実施が1月23日の評議会で審議・決定されようとしています。
最終案の表紙裏には、この案に基づく教員の個人評価を全国の「大学に先がけ
て全学的に実施することは、大きな意義のあることと確信している」との学長の
言葉が付されていますが、教員の教育・研究等の諸活動を点数化し、それによっ
て教員のランク付けを図ることが、大学の教育・研究を発展させる上で、本当に
有意義かどうかは慎重に検討されなければならないのではないでしょうか。
本案の全教員に及ぼす影響の重大さを考慮すれば、評議会決定の前に最終案を
すべての教員に配布し、各学部教授会をはじめ、全学的な規模で慎重に審議され
るべきであると考えますが、そのような手続を欠いたまま「試行」実施が急がれ
ていることはきわめて遺憾なことと言わねばなりません。
以上の事情に鑑み、私たちは学長及び評議員に対し、下記の事項を強く要望す
るものです。
(1)最終案を早急に全教員に配布すること
(2)4月からの「試行」に向けての準備過程において、またその後の「試行」
過程においては、情報公開に努めるとともに、各学部教授会での審議をはじめ、
教員の意見を反映させるフィードバックの手続きを十分に保障すること
以上