☆国立大36校統合へ 県境超えも 検討否定、4校だけ 文科省調査
. [he-forum 3275] 西日本新聞01/25.-
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『西日本新聞』2002年1月25日付
国立大36校統合へ 県境超えも 検討否定、4校だけ 文科省調査
国立の大学短大計百一校のうち三十六校が他大学との統合を決めるか、統合
に向けた本格的な協議に入っていることが二十四日、文部科学省のアンケート
で分かった。そのほかの大学もほぼ全校が、近隣大と非公式に協議したり学内
で検討を進めている。弘前、秋田、岩手の北東北三大学など県境を超えて統合
協議を始めたケースもあり、少子化で「冬の時代」を迎えた大学が、統合によ
る教育研究体制の効率化によって生き残りを目指していることが浮き彫りになっ
た。
北大と長岡技術科学大、広島大は高校二年修了で受験できる「飛び入学」を
検討、単位互換など大学間の緩やかな連携も増え、各大学が特色を出して受験
生にアピールする動きも広がっている。
アンケートは今月実施、全校が回答した。
大学再編の動きとしては、二十八校(十四組)が合意したほか、八校は統合
を前提に懇談会を設置。五十六校は地区協議会で協議したり、学内で検討した
りしていると回答し「当面、具体的検討はしない」などと否定的だったのは東
京外大など四校にとどまった。
統合問題について記述しなかったのは五校。
統合の組み合わせは、山梨大と山梨医大など同一県内の総合大と単科大のケー
スが多いが、岐阜大と市立岐阜薬科大のように設置形態の違いを超えて協議す
るところも出ている。
ただ、一方の大学の“片思い”のケースもあり、大阪教育大は「大阪大、大
阪外大」と相手を明記したが、大阪外大と阪大は「他大学と接触」と認めただ
け。鳴門教育大は「四国教育大開校を検討」としたが、四国地方のほかの大学
は触れなかった。
◇ ◇
文部科学省が二十四日発表したアンケートで、統合に合意、または統合を前
提に協議に入ったと回答した大学は次の通り。(九州・山口を除く)
【統合に合意】筑波大・図書館情報大▽東京商船大・東京水産大▽福井大・
福井医科大▽山梨大・山梨医科大▽静岡大・浜松医科大▽滋賀大・滋賀医科大
▽神戸大・神戸商船大▽島根大・島根医科大▽香川大・香川医科大▽高知大・
高知医科大
【統合を前提に本格協議】弘前大・岩手大・秋田大▽群馬大・埼玉大▽富山
大・富山医薬大・高岡短大
九州・山口は11校体制に
文部科学省が二十四日に公表したアンケートによると、九州・山口では国立
大十五校のうち、九州大と九州芸術工科大など八校四組が、二〇〇三年十月を
めどに統合することを決めている。同省が進める大学再編の第一段階では、九
州・山口の国立大は現在の十五校から十一校体制になる。
統合するのはこのほか▽佐賀大と佐賀医科大▽大分大と大分医科大▽宮崎大
と宮崎医科大。九州でも同じ県内の総合大と単科医科大が統合するケースが目
立つ。
大学の枠を超えた教員養成系学部の統合については、九州・山口では具体的
な組み合わせは回答されなかったが、福岡教育大が「教員養成担当大学の役割
を担う」として、統合の核になる意思を示している。また鹿児島、宮崎、山口
大などの獣医系学科を九州大の獣医学部(新設)に統合する構想は、鹿児島大
が不参加を決定。宮崎、山口大は態度を決めておらず、実現が不透明になって
いる。
アンケートでは単科大の方針が注目されたが、鹿屋体育大は「唯一の国立の
体育大。学生も全都道府県から来ており“全国区”の大学」(同大事務局)と
して、単独での存続を目指す。九州工業大も単独での存続を前提に、理工系総
合大学を目指して情報技術や環境問題などに研究を特化していく計画だ。
弁護士など法曹人口を増やすために、政府が設置を検討している法科大学院
は、九州大、熊本大、鹿児島大、山口大の四校が計画している。