☆群馬・埼玉大学の統合協議、地域連携に陰り?
.[he-forum 3243] 毎日新聞群馬版01/20
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『毎日新聞』群馬版 2002年1月20日付
群馬・埼玉大学の統合協議、地域連携に陰り?
“頭脳”消滅に懸念の声
群馬大と埼玉大が協議を始めた統合問題は19日、教育、工学両学部が重な
り統廃合の対象になることから、県内の教育関係者や経済界からは、地域連携
の陰りを懸念する声が上がった。同日の大学入試センター試験でも、受験生か
ら不安な様子がうかがわれた。群馬大の赤岩英夫学長は18日夜の毎日新聞の
取材に対し、合併に前向きな姿勢を示しており、地域振興をめぐる同大の対応
が注目される。
●地域密着●
教育、工学両学部の統廃合問題について、群馬大工学部とともに「北関東産
官学研究会」に参加している桐生市では影響を懸念する声が強い。桐生商工会
議所工業部の山口正夫部会長(52)は「統合後の姿が分からないが、学部と
して生き残ってほしい」と地域経済の“頭脳”が消えることへの警戒感を示し
た。
教育界では、群馬大出身で西毛地区の小学校長は「群馬に教育系の学部がな
くなれば、地元の教員志望者が減ってしまうのではないか」と不安をのぞかせ
た。
これに対し、同大の赤岩学長は、埼玉大に経済学部があることを強調。「経
済学部の先生をシンポジウムに呼んだり、地域経済の相談に乗ることができる
のではないか」と統合後のプラス面を訴えた。
●将来不安●
群馬大教育学部志望の中沢麻衣子さん(18)は「将来の母校がなくなるか
もしれないので反対。群馬で教員になりたいので、群馬大がなくなると困る」
と動揺を隠せない。高崎経済大志望の渋川女子高3年、田島真由美さん(18)
も、「群馬の名前が消えてしまうと寂しい。合併してもあまり変わりそうにな
い」と統合に反対した。
ほかに、受験生の中には「(統合したら)学生同士の交流が増え、友達が増
えそうでいい」と肯定的な意見もあった。
●生き残り●
群馬大の教員の中には「大学の生き残り策を模索した結果だ」(教育学部の
男性助教授)、「統廃合は全国的な流れなので群馬大にもあるとは思っていた」
(同学部の助教授)などと話し、冷静に受け止めている。
赤岩学長は19日の毎日新聞の取材に対して「(統合すれば)学生にとって
も、他の学生と付き合うチャンスが増えるのでは」とメリットを強調する。両
大で重なる両学部については「同じ形では存続できないと思うが、特色を出し
合い、パワーアップしたい」と展望を語った。