トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

新大・上教大 教育系の行方 手探りの再編統合  地域への波紋 <下>・人材流出に広がる懸念 
[he-forum 3242] 新潟日報01/20.
---------------------------------------------------------------

『新潟日報』2002年1月20日付

 ■ 新大・上教大 教育系の行方 手探りの再編統合 

 地域への波紋 <下>・人材流出に広がる懸念

 「地域に大学がなくなったら、地元の特性を十分理解した教員養成が期待で
きない。県内からなくなることだけは何としても食い止めたい」。板屋越麟一
県教育長は、新潟大学教育人間科学部と上越教育大学の再編・統合問題が本県
教育界へ及ぼす影響を懸念する。

□   ■

 
 本県の教員養成拠点として多くの人材を育ててきた両大学。本年度も、県教
委が採用した小、中学校教員の約6割が両校卒業生で占められた。

 新大と上教大のサバイバルレースともされる再編・統合問題。県教委は文部
科学省の方針が示されるまでは静観の構えだ。ただ、新大、上教大のどちらか
にくみすることはできないとした上で、「県内から大学・学部がなくなる場合
は何らかのアクションを起こさなければならないだろう」と強調する。

 危機感の背景には、2002年度から本格的に始まる総合学習など、地域と
より密着した教育が求められる現状がある。県教委は、県内の教育事情や地域
事情を把握した教員が育つ、地元の教員養成系学部・大学は欠かせない存在と
みる。

 新大、上教大のどちらか1校が残ったとしても、本県の教員志望者が関東な
ど県外の大学へ進学する傾向が強まり、地元へ戻ってこないことを心配する県
内教育関係者もいる。

□   ■
 
 だが文科省の石井稔教育大学室長は「地域の歴史、文化をよく知っている人
が教員として望ましいとされてきたが、一度、外の空気を吸って戻ってきた方
がたくましい教員になるという声も多い」とクールだ。

 2001年度の県教委採用状況

                小学校          中学校          合計
新潟大          46.3%           36.7%           42.4%
上教大          21.9%            9.2%           16.7%
合計            68.2%           45.9%           59.1%

注)数字は新卒、既卒を含む。新潟大は教育人間科学部だけ

 一方、再編・統合問題は、教育研究を実践する場を担ってきた県内9校の付
属学校のあり方にも波及している。新大教育人間科学部の付属学校は新潟市と
長岡市に6校、上教大の付属学校は上越市に3校。両大学の再編・統合の行方
は、付属の存続にも直結することになる。

 同学部付属新潟小学校の江端周二副校長は「新しい教育の実践や研究発信を
できる場がなくなるとすれば問題」と危機感を示す。独立行政法人化などの生
き残り策を模索し始める学校もある。

 1県2校体制の崩壊は徐々に現実味を帯びてきている。明治以来の新潟師範
学校(新潟市)と高田師範学校(上越市)の流れをくむ両大学。本県にも他大
学の出身教員が増え、学閥意識は薄れているという見方がある一方、OBが存
続に向けた動きを強めることで、弱まってきたともいわれる学閥問題再燃の恐
れを指摘する関係者もいる。

 大学と文科省は本県に対しどのような指針を示すのか。関係者はかたずをの
んで見守っている