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新大・上教大 教育系の行方 手探りの再編統合 プラン <上>・思惑交差 迫る提出期限 
[he-forum 3240] 新潟日報01/17.
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『新潟日報』2002年1月17日付

 ■ 新大・上教大 教育系の行方 手探りの再編統合 

プラン <上>・思惑交差 迫る提出期限

 新潟大学(教育人間科学部)と上越教育大学が再編・統合に揺れている。文
部科学省が昨年、全国に48ある国立大の教員養成系学部と単科大の再編・統
合方針を打ち出し、全国で唯一、1県に2校ある本県の「2校体制維持は困難」
としているためだ。

再編・統合に動き出した新潟大、上教大の行方と課題を探った。
 
□   ■

 
  「教育人間科学部と上越教育大との統合の可能性を考えてほしい」

 昨年10月末、新潟大学の荒川正昭学長は同大の大学改革専門委員会に統合
案作りを指示した。

 荒川学長は学内の改革派と知られる。教員養成系の1県2校体制の維持は困
難との認識のもと、専門委の下に同11月上旬、ワーキンググループを設け、
教育人間科学部の統合案を作成。12月中旬には最高意思決定機関の評議会で
統合案を決め、今月中に文部科学省へ具体案を提出、ヒアリングに臨むはずだっ
た。

 だが、そのシナリオは12月初めの学長選で崩れた。当初優勢とされていた
荒川学長は決選投票の末、理学部教授の長谷川彰氏に36票差で敗れた。

 荒川学長は、国立大法人化などに備え、これまで学部ごとに分かれていた教
職員人事を一元化するなど、学内改革を進めてきた。危機感を募らせた教授ら
の一部は、長谷川氏のほか、筑波大名誉教授の白川英樹氏らを対立候補として
選出して対抗。再編・統合案はその対立の中に埋もれた格好になった。
 
 荒川学長が学長選で敗れたことで、ワーキンググループも約1カ月、空白期
間が続いた。

 しかし、文科省への具体案提出を目前に控えて行われた事務局長の人事異動
が、学内に波紋を広げた。今月1日付で就任したのは改革派といわれる宮城教
育大事務局長。約3カ月前倒しした人事に、「改革派の巻き返し」と推測する
教授らもいるなど、学内の綱引きは続いている。

 両大学の入学定員
        
 新潟大 教員養成課程 180 新課程 200 計380 大学院  37
 上教大 教員養成課程 160 新課程  0 計160 大学院 300

(2001年度、数字は人)

(新潟大の新課程は、学習社会ネットワーク課程70、生活環境科学課程40、健
康スポーツ科学課程30、芸術環境創造課程60)


□   ■

 
 一方、現職教員を大学院で再教育する「新教育大学」(全国で3カ所)とし
て開校した上教大では「地域の単科大として残りたい」という半面、「法人化
になった場合、今の学部や大学院規模では運営が厳しく、再編・統合はやむを
得ない」と揺れている。

 大沢健郎学長は、国立の教員養成系大学・学部の在り方について検討してき
た文科省の懇談会のメンバー。当初、懇談会は教員養成の充実などを話し合っ
てきた。

 だが、大学の構造改革方針が打ち出された昨年6月以降「国立大全体の再編・
統合と相まって、教員養成系の再編・統合も本格化してきた」と、戸惑いを隠
せない。

 再編・統合の最終指針には入学定員など具体的な統合基準は示されていない。
両大ともそれぞれの思惑を抱えながら、文科省へのプラン提出は迫っている。