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☆[国立大学改革]「『数合わせ』でない再編・統合を」
. [he-forum 3201] 読売新聞社説01/13.-

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『読売新聞』社説  2002年1月13日付

 [国立大学改革]「『数合わせ』でない再編・統合を」

 全国九十九の国立大学で、再編・統合の論議が大詰めを迎えている。文部科
学省が打ち出した「大学の構造改革の方針」を具体化する最初の作業だ。

 戦後、国立大学は、旧帝大に旧制高校などを統合した新制大学を加え、六十
九大学で発足した。そのとき以来初めての再編・統合となる。

 再編・統合は、国立大学の法人化、業績の第三者評価による資金配分を打ち
出した「方針」の柱だ。基盤整備や、学際的な学問分野の開拓が目的だ。

 同省は来月初めまでに各大学から検討の状況を聞き、来年度中に全体の計画
を策定する。既に約三十の大学で、統合を決めたり協議に入ったりしている。

 意欲的な構想の下で、再編・統合を進めなければならない。

 合意が成立したケースでは、医科大と総合大学の統合が多い。医、工学部が
ノウハウを持ち寄ってリハビリ機器を開発する計画などが示されている。

 学際領域への進出を目指すものだが、各大学で似た計画も少なくない。

 教育学部は、少子化による教員採用減で百人以下の定員のところも多い。思
い切った再編・統合が必要だ。

 大学によっては、教育学部がなくなることも覚悟しなければならない。しか
し、目下のところ「生き残り」のための水面下の駆け引きが目立つ。

 研究、教育の充実を図らないと、国立大学も、法人化後に予想される厳しい
競争に勝ち抜けない。

 新制大学は「一県一大学」をスローガンに生まれた。学部、課程制大学院を
セットにした米大学をモデルにした。

 県単位にこだわった大学設置は、どこも同じような学部構成の「金太郎あめ」
の大学を生んだ。学部での教養教育も中途半端に終わった。

 今、個々の大学は特色を持つことを求められている。それには、学部や専門
分野を県域を超えてとらえる必要がある。

 ロースクールなどの新しい大学院教育に伴って、教養教育の再構築が緊急の
課題となっている。再編・統合で、そのシステムをつくることもできるはずだ。

 各大学はまず、研究、教育、運営体制などについて、明確な将来像を作り上
げてほしい。「初めに統合ありき」の発想ではなく、大学活性化の視点から、
この問題に取り組んでほしい。

 大学関係者が「大学の自治」を主張するなら、痛みを伴う改革も実行できる
自立性があるかどうかも問われる。

 再編・統合が単なる数合わせや一時しのぎで終わっては、国立大学は時代か
ら取り残される。