☆学長アンケート、ロースクール関心高く、「トップ30大学めざす」54%
.[he-forum 3193] 日本経済新聞西部朝刊01/03
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『日本経済新聞』西部朝刊2002年1月3日付
学長アンケート、ロースクール関心高く、「トップ30大学めざす」54%
日本経済新聞社の第4回大学学長・総長アンケートによると、全国の国公私
立大学学長・総長の54.2%が、世界水準の大学を育成するため文部科学省が掲
げる「トップ30大学」を目指している。一方で、55.0%はトップ30構想には反
対だとも表明、同構想に対する大学側の複雑な受け止め方が浮かび上がった。
また再編統合問題には、国立大の58.4%が何らかの形の計画を持っていた。
公立大で半数、私立大も3分の1の学長が、「いずれ検討せざるを得ない」また
は「いい話があれば検討する」と答えており、国立大中心で進んでいる再編統
合の動きが今後、公私立大にも波及するとの認識が広まっている。
トップ30を「幅広い領域で目指したい」という学長は全体の7.2%、「特定
分野に限定して目指したい」は47.0%いた。国立では91.0%、公立で61.1%、
私立でも43.6%がトップ30に名乗りを上げている。
反対に「目指すつもりはない」も全体の44.4%に上った。「目指すつもりが
ない」という私立の37.4%が、「有力大学が独占するのが目に見えている」ま
たは「それだけの実力がない」を理由にあげている。
その一方でトップ30構想については、賛成派(「賛成」または「どちらかと
いうと賛成」)が40.7%なのに対し、反対派(「どちらかというと反対」また
は「全く反対」)が55.0%と評価が割れた。
賛成の理由は「国際的な競争力を持つ大学の育成が必要」と「競争し合うこ
とで各大学の活性化につながる」の2つで73.4%を占める。反対の理由は「有
力大学がますます有利になり、資金獲得や社会的評価の面で格差が広がる」が
34.2%で最多だった。
国の国立大学再編統合方針については、賛成派71.8%、反対派20.9%。賛成
派は当事者の国立でも58.4%に達し、公立は74.1%、私立は74.9%だった。再
編統合で「他大学と合意」した国立大学は15.7%、「協議することで合意」が
21.3%、「協議開始に向け検討中」が21.3%だった。
具体的計画はないとしながらも「いずれ検討せざるを得ない」という学長は、
公立18.5%、私立8.1%、「いい話があれば検討する」は、公立33.3%、私立
25.4%に上る。
法学部(学科)を持つ大学の学長(回答数87)は、2004年度から導入される
法科大学院(ロースクール)に高い関心を抱いている。74.7%がロースクール
開設へ向けて「具体的に作業中」、または「検討中」と答えている。一方、法
学部(学科)を持たないが「これを契機に法学教育に参入したいので開設を検
討中」という学長も国立で6人、私立で5人いた。
しかし、開校以来の司法試験合格者数累計を見ると、10人未満(皆無を含む)
が50.6%と半数を占め、100人以上を輩出している大学は22.8%にとどまった。
1945年以前に開校した大学の91.7%が作業中・検討中と答えているが、こうし
た伝統校でも33.3%は開校以来の合格者が10人未満で、ロースクールの“質”
を巡る論議に一石を投じそうだ。
ロースクールの設置認可に当たっては、52.6%が「設置認可を満たした大学
は認可すべきで総数抑制はすべきではない」と考えており、次いで「地域的バ
ランスを配慮すべきだ」が28.9%。「過去の司法試験合格者実績をふまえて厳
選すべきだ」は7.9%だった。国立では地域バランスの重視(52.2%)、私立
では設置基準を満たせば認可すべきだ(64.7%)が最多だった。
ところが、最適と思われるロースクールの数を挙げてもらい平均値を算出し
たところ47.0校で、各学長が示した高い意欲から比べるとやや抑制的な数値と
なった。
一方、ロースクールを設置する上での課題では、「設置基準や教育内容に関
する国の方針が不明確」が43.4%で最も多く、次いで「教育コストが高く財政
面が不安定」(19.7%)、「既存の法学部との両立」(11.8%)などと続く。
設置基準に関しては12月末に骨子がまとまり2002年半ばまでに最終決定する予
定だが、一刻も早い決定を望む大学側の意向が明確に表れた。
調査の方法 日経リサーチの協力を得て、2001年11月から12月にかけて全国
の国公私立大学670校の学長・総長を対象に調査用紙を郵送。回収率73%。