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独行法反対首都圏ネットワーク

☆教員養成大統合 「改革の名の愚策」に歯止めを 
.[he-forum 3177] 福井新聞社説12/03
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『福井新聞』社説2001年12月3日付

教員養成大統合 「改革の名の愚策」に歯止めを

 文部科学省の検討会議は、全国に四十八ある国立の教員養成大・学部の再編・
統合を打ち出した。

 隣接する複数の大学・学部の統合を基本としており、実現すれば養成大学・
学部が半数以下になるものとみられている。

 当然ながら、養成学部のなくなる県が出てくる。どの県にも教員養成機関を
置くという明治以来の方針の大転換である。

 少子化に伴う教員採用数の減少で、規模の小さい養成学部が増え、学生の活
力が引き出せなくなっている。養成学部に入りながら教員になれる割合も三割
強にとどまる。

 充実した養成のためには、統合により学部としてふさわしい規模を確保しよ
うと考えるのは一見、自然な流れにもみえる。

 しかし、養成大・学部の機能は、単に教員養成だけにあるわけではない。現
職教員の質を向上させるための大学院などでの研修や、地域の特色に応じたカ
リキュラムづくりなど、地域の支援という役割も持っている。

 先生が、大学で学んだだけの知識で、一生通用する時代は終わった。教育環
境が激しく変わる中で、先生も学び続けなければ、子どもの変化についていけ
なくなっている。

 現在の養成大・学部は、働きながら学ぶ現職教員の再教育の場としても、重
要な機能を担っていることを忘れてはいけない。

 地域や学校支援の機能も無視できない。大学・学校・教育委員会が手を結び、
大学が学校や地域に支援講師を派遣し成果を挙げつつある事例も聞く。

 不登校、学級崩壊、そして「みずから学び、考える力を育てる」という教育
観の転換の中で、学校現場が抱える困難な課題を考えれば、養成大・学部を、
地域を支える資源として再生させることの方が大切だ。

 教委・学校・大学が固く手を結ぶためには、三者が近くに存在して日常的に
支え合うことが不可欠だろう。

 今回の統合案は、教育を取り巻く今日的状況を十分に踏まえたというより
「はじめに再編・統合ありき」の議論と言わざるを得ない。何よりも地域から
の視点が欠けている。

 養成学部を持つ福井大学の児嶋学長も「なくなれば地域の教育界にとって大
きなマイナスとなる。メリットは考えられず改革の名の下の愚策」と指摘して
おり、毅然(きぜん)として体制維持に努める姿勢を打ち出している。当然で
あろう。