☆奨学金申請が急増 保護者のリストラ影響
. [he-forum 3161] 福井新聞12/31
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『福井新聞』2001年12月31日付
奨学金申請が急増 保護者のリストラ影響
長引く不況の影響で、大学進学を目指す県内の高校生や大学生からの奨学金
申し込みが増えている。年が明ければ受験シーズン本番。その先にはあこがれ
の学生生活が待っているが、日本育英会など奨学金を支給する側も国の構造改
革による予算削減、低金利で運営に四苦八苦。需要と供給双方とも厳しい”台
所事情”となっている。
来春の大学進学を予定し本年度に日本育英会の奨学金を申し込んだ県内の高
校三年生は六百四十九人。前年度に比べ一・二倍に増えた。大学生の申し込み
はさらに増加が目立ち、福井大では例年百五十人前後のところ、本年度は二百
三十三人。前年度に比べ一・五倍となった。
同大学生課では「父親が仕事をやめた、収入が減ったという理由が増えてい
る」と指摘。福井医科大でも「保護者がリストラの影響を受けた学生の申請が、
感触として多い」と話す。
一方で、支給する側も悩みが尽きない。日本育英会は文部科学省所管の特殊
法人。小泉首相の特殊法人改革による来年度予算の削減を見込み、無利子の奨
学金枠は約一割減らして各都道府県に配分した。減った分は、有利子ながら基
準を緩和した奨学金枠を増加し対応している。
奨学金を支給している民間団体は、低金利のため資金運用に苦労している。
育英事業として毎年八人に貸し付けている福井市の福井人絹倶楽部(熊沢喜太
郎理事長)の坪内健吾事務局長は「運用している国債などの利回りが低いため
厳しい。だからといって制度の内容をあまり変更をするのも好ましくない。数
年前までは九人だったところを一人減らしただけで続けている。だが、先は分
からない」と話す。
武生市の山甚福祉育英会(上坂紀夫理事長)は、所有する土地を貸して得る
代金と預金利息で返済不要の奨学金を出している。事務局では「地代を値上げ
するわけにもいかず、預金利息はスズメの涙程度」と嘆く。多いときは毎年十
二、三人に支給していたが、現在は十人弱に枠を縮めるしかないとしている。