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独行法情報速報  No.12   特集:教員組織「学長私案・span >v 
.2002.1.11独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局
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独行法情報速報  No.12   特集:教員組織「学長私案・span >v
2002.1.11独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局

【開示】12月20日評議会に提出された『学長私案』
(「千葉大学の将来構想・II 大学改革」「1.教育・研究組織の再編」の修正版)
教育・研究組織の詳細については、現在「教員組織検討委員会」が、検討を重ねているところである。ここでは、『学長私案』として、教員システムに対する学長の基本的考えを掲載する。
1)教員システムの設置目的
(1)大学院・学部教育・研究の高度化 (2)教員の教育・研究上の相互扶助 
(3)学際的文理融合教育の容易化 (4)大学院教員と学部教員の差別をなくす
2)教員システムの実施細目 
(1)教員は学部(一部大学院)に所属しながら教員システムを構成する。 
(2)教員システムを3〜4つの系に区分する。例えば、社会文化科学系、自然科・span >w系、生命科学系を区分することが出来る。教員は、いずれかの系に所属し、各系は、それぞれの代表者で運営する。
(3)各系は、各系並びに各系相互の共通問題を討議する。  
将来に向かっての教育・研究の高度化を推進する事項。
 (1)学際的文理融合教育・研究、それに伴う教員の配属
 (2)大学院・学部重点配属の問題 
 (3)教員のプール制ー重点配分 
 (4)総合的カリキュラム、授業計画
(4)学部の壁を越えて、大学院・学部へ出張講義を容易にする。 等 

【分析】(1)朝令暮改のプランづくり.これでは、学内討論は困難.
12月20日、評議会の前に「将来構想」案を討議するために開かれたある学部の委員会の委員は、あっ気にとられたという。学部長から、20日の午前中にメールでさしかえられた「将来構想」案がとどけられ、「教育・研究組織の再編」の部分は『学長私案』に変更になったといわれ、その案が示されたからである。そもそも「『教員組織検討委員会』が検討を重ねている」ところに、別の「学長私案」がでてくるというのが、「トップ・ダウン」の合理的・効率的運営であろうか。こういう経過は「朝令暮改」という以外ない。こうした混乱が生じるのは、本センターがくりかえし指摘してきた問題、規程もない学長の諮問機関的組織での、拙速・便宜的な委員会運営に流れている状況に根本的には起因していると考えねばならない。目的と運営手続きを委員会規程としてきちんと定め、評議会・教授会の確認によって全学的な作業として進行させるという基本的な運営こそ、全学の意見をねりあげるもので結果的にはより効率的である、ということが省みられるべきである。
(2)『学長私案』の本質は、教授会廃止と教学・運営(経営)分離
『学長私案』では、部局の討論過程における反対意見を考慮してか、「教員は学部(一部大学院)に所属しながら教員システムを構成する」との文言が挿入された。しかし、12月20日の評議会席上で学長は当初、「人事・予算は学部にある」と発言しながら、最終的には、その前言を取り消している。また、1月8日の教員組織検討委員会(土屋委員会)で、「この教員組織検討員会は教育・研究組織を検討する委員会で、大学運営に関する事項(人事・予算を含む)を検討する必要はない」という学長の意向が表明されている。即ち、教学と運営(経営)の分離が企図されているのではないか。こうした文脈を踏まえて『学長私案』の図を見ると、教授会はどこにもない。評議員会と称するものは部局を基礎に作られておらず、現行の評議会の機能を有しているかは疑わしい。むしろ、教学と経営の分離を推進しようとしている文科省『中間報告』のいう“評議員会”に対応しているのではないか。結局のところ、これまで教授会が担ってきた人事と予算に関わる権限をすべて運営組織に移動させ、“純粋に”教育研究にかかわるものとしての教員組織のみを議論するというのが、『学長私案』の本質と考えられる。これが教授会の廃止を意味することは明らかである。

【提言】教員組織検討委員会、各教授会は根本的議論を実施すべきである
教員組織検討委員会では次回(2月4日)に向けて、1月28日までに各委員が教授会での議論を踏まえて意見報告することをすることになっている。その事項は、『学長私案』の(1)教員システムの設置目的への追加または削除、(2)各系の討議事項についての修正、(3)教員システムの各系の運営邇関わる提案、(4)教育研究組織の運営法方が大学の管理運営体制に対し与える影響・制約、とされている。この(3)、(4)にあらわれているように、教員システムを論じようとするなら、大学運営や管理体制の方式の問題を抜きに、検討はできないことが明らかになってきた。教授会、教員組織検討委員会は、本質をあいまいにした「学長私案」に制約されることなく、学部教授会の権限と各系の代表者会議の権限との関係を中心に、教員組織と大学運営の再構築をめざす根本的議論を行うべきである。そのための基本的視点について、以下の試論を提言する。

《試論:教員組織問題はどのように議論すべきか》

1.検討のための前提的作業
(1)検討作業を歪める“隠された意図”の排除
「現行の部局教授会を解体する教員組織案を提出すると文科省に評価される」とか、「これを機会に部局内の整理や部局拡大の条件を整えよう」という“隠された意図”のもとに教員組織再編を議論すべきではない。教員組織そのものについての建設的な議論のためには以下の2点が重要である。
(2)現行教員組織の分析と問題点の抽出
現状の科学的分析こそすべての基礎である。分析・検討すべき問題点は次の3点に集約されるであろう。
第1に、「現行教員組織は非能率」との批判がしばしばなされるが、それらの論調・span >ヘ必ずしも論証的ではない。執行(運営)機能と議決機能の関係を軸に現実に即して分析すべきである。
第2に、「現行教員組織では部局エゴイズムが強くて全学的運営が困難なことがしばしばある」との批判がある。そうだとすると、それは最高議決機関である評議会が十全に機能していないことを意味する。評議会のありかた(構成、意思決定方法など)の分析、部局と評議会の権限関係の検討などが必要である。
第3に、現行法では学長は最高執行責任者であって最高決定者ではないと解すべきであり、それはチェックアンドバランスのための権限分立論からみても当然である(文科省『中間報告』でも学長は「経営・教学双方の最終責任者」とされている)。そうした学長の任務についての具体的検討が重要である。
(3)大学論の同時的検討
組織の目的・任務がまず決められ、それを保証するために組織自身を運営する方針(いわゆる組織方針)が作られるのであって、その逆は本来ありえない。今回、文科省「中間報告」の内容に整合的な教員組織論を学長が提示したのは、その直接的動機がどうであれ、結果的には「中間報告」が示す独法化大学の目的・任務を千葉大学において実現しようとすることを意味する。従って、教員組織論を検討する際には、その組織がどのような大学をつくるのかという大学論の基本に関わることを同時に議論する必要がある。

2.教員組織再構築の基本設計試案
(1)基本視点
「学長私案」は基本的に独行法大学の組織論であり、その深刻な問題点は繰り返し本「速報」で指摘してきた。しかし、このことは現行教員組織(教授会―評議会体制)に問題がないという訳では決してない。大学自治を担うシステムとして十分機能していないという現状は直視しなければならない。ここでは大学自治を再建する見地から教員組織再構築の基本設計を試みる。
(2)教員組織の基本構造
基礎単位−代議制に基づく全学最高決定機関という構造を機軸とし、各レベルの執行(運営)機関が重層して日常業務を遂行する。大学自治を保証する法の一つである教育公務員特例法は堅持する。
(3)基礎組織
1)教育研究活動における共通領域として組織される大学自治の基礎単位である。現在の部局が機能上これに相当するが、基礎組織は直接民主主義が可能な規模として設定するのが妥当であろう。この点で適正規模について検討を重ねることが求められる。
2)教員が主として大学で教育研究の本務が遂行できるように、教育研究環境が用・span >モされなければならない。
3)すべての教員はいずれかの基礎組織に所属し、平等な権利と義務を持って基礎・span >g織の教授会を構成する。
4)教授会は基礎組織に関わる教育・研究・人事・予算の基本的事項について全面・span >I権限を有するが、全学に関わる事項についてはその一部を全学最高決定機関との間で合理的に調整する必要がある。
5)基礎組織には、事務、技術などの研究支援組織が作られなくてはならない。
(4)全学最高決定機関
現行の評議会はもともと満場一致を原則とした構成と運営方法によっているため、現在のような複雑な、しかも短期的には部局利害が対立する様相を示す事態においては、全学最高決定機関としての機能を果たし得ていないと見るべきであろう。学内共同利用センターは全学最高決定機関に代表を送っていないが、このことは明らかに合理性を欠く。
1)基礎組織固有の権限を精査し、明確にした上で、全学最高決定機関の権限を定・span >゜る。
2)基礎組織の構成員数に基づく代議制によって構成する。重要事項に関しては公・span >ョ会開催など運営上の工夫を行ない、満場一致による決定を追求するが、それがで・span >ォない事項については採決による。ただし、基礎組織固有の権限に属する事項については最終的には当該組織の意向が優越することが確認されなければならない。現状のように、不満を言いながらなんとなく満場一致と称して事が決まっていくのは、早急に改めなければならない。
(5)執行(運営)機関
基礎組織から最高決定機関まで重層的な執行(運営)機関が設置されなければならない。
1)執行機関と議決機関の関係の明確化・近代化が必要である。基礎組織の長(現・span >s制度では部局長)はそこにおける執行機関の、学長は全学的な執行機関のそれぞれ最高責任者である。基礎組織と最高決定機関の間に位置する各級組織についても同様である。現行制度が、教授会の議長を学部長に、評議会の議長を学長にしているのは、前近代的といえよう。両者ヘ分離すべきである。
2)執行機関には、事務などの支援組織が絶対的に必要である。教員の諸実務が急・span >揩オている云々との議論があるが、それは各種会議のためというよりも、支援機構・span >泣化し、権限を適切に分配してこなかったこれまでの大学運営の在り方のためである。「教員定数は常時数十名の空ポストをかかえているが、大学にかけられた定員削減をその空ポストで消化してくださるならば十分な部局事務運営ができます」という事務方からの声に、教員層は内省をこめて十分耳を傾けるべきであろう。
(6)学長
教員の直接投票によって選ばれる全学的な執行機構の長としての学長の任務はとりわけ重要である。正確で適切なリーダーシップが求められることはいうまでもないが、そのためには最高決定機関との間のチェックアンドバランス機能が確立されていなければならない。チェックアンドバランス機能強化のため、さらに、リコール制度と 学生・職員による排斥投票制度の導入などが検討されるべきであろう。

3.教員組織再構築のための道筋
(1)再改編の場合には、議論・決定過程そのものが新たな組織の内実を作るといってもよい。再構築に相応しい民主的でオープンな議論が保証され、合理的な決定過程が準備されなければならない。この点で昨年11月以降のように、規程もない会議体で議論すべきではない。また、それなりに議論を積み重ねて来た内容がトップの意向で突然改変をさせられるのは異常である。
(2)机上の組織いじりにしないためには、試行錯誤を容認する慎重で丁寧な再構・span >z過程がとりわけ重要である。学内に重大な亀裂が発生するような愚行をしてはならない。

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【開示】平成13年度千葉大学重点経費事業
1月9日の部局長会議に標記の採択状況が示された。それによると、「特色ある教育方法・教材開発助成」=申請16件採択7件、「萌芽的研究に対する助成」=申請49件採択18件、「総合研究プロジェクト」=採択3件、「特色ある研究プロジェクト・戦略的研究への助成」=申請12件採択6件、「特定研究プロジェクト」=採択3件である。なお、審査方法、審査委員等は公・span >Jされておらず、本「速報」No.5, 7で指摘した問題点は深まるばかりである。

【開示】平成14年度政府予算案:千葉大学関連(抜粋)
《大学院》
専攻の新設:(看護)看護システム管理学(修士・独立)の新設/入学定員6.教授2、助教授2、助手2
専攻の新設・改組:(自然、博士前期)都市環境システム専攻の新設、4専攻を7専攻に改組
《大学運営体制の整備》
(全学)副学長の設置(教授併任・図書館長兼務)=情報・渉外担当
(事務局)学生支援担当専門員の設置(振替)
《専修学校等の廃止》
医学部附属3学校の廃止
《特殊診療施設の新設》
廃止感染症管理治療部の新設/10人(内5人振替)

#今年度第2次補正予算関連については詳細が分かり次第HPに掲載します。
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【部局での討論状況】
《理学部》
11月29日教授会:教育研究体制検討委員会(教研委)委員長、『将来構想案』の問題点を指摘。学部長、「重要な問題なので教研委で厳密に検討を続けていただきたい。その検討結果を全学的な会議に反映させる。理学部内で重大な意見の不一致が起こる場合は臨時教授会の開催も考慮する。」と発言。
12月10日教研委員長、それまでの検討経過を学部長と協議の上、“『将来構想案』中の「教員組織案」には同意できない”とした内容の委員長メモを理学部選出の教員g織検討委員(土屋委員会委員)に文書で提出。同委員、それに基づいて委員会で発言。
12月12日学科長会議:理学部長、「検討のための論点メモ」提示。教研委員長メモも併せて配布。学科での検討を依頼。
12月26日学部長、1月17日評議会までに理学部の意見を集約しておくため、1月9日教研委、1月10−11日一斉に学科討論、1月15日学科長会議を指示。
1月9日教研委:教員組織検討委員からの報告を議論。一斉学科討論の素材について確認。12.10教研委員長メモを正式文書として了承。席上、学部長、土屋委員会「宿題」への回答案を一斉学科討論の結果を踏まえて作成するよう指示。回答案は1月24日教授会で審議される。
《文学部》
11月22日拡大将来構想委員会:千葉大学の「改革」関係事項について、学部長から11月部局長会議における状況や、「千葉大学の将来構想(骨子案)」などの説明を受け、また評議員から「仮称『環境健康科学総合センター』基本構想案」に関する説明をえて、これらの問題について包括的に議論した。議論された点の柱は以下の通りである。
1.今回の全学的な「改革」問題の討議に関する、過程ならびに審議組織のありかた・span >ノついて。
2.構想されている「教官システム」の問題について。
3.大学院の構想と、学部・学科の再編について。
4.top30への対応について。
これらのそれぞれについて多くの議論が出たが、2002年1月に予定されている文部科学省ヒアリングにあわせてあまりに拙速に問題がすすめられているのではないかと、これを危惧する意見が多く出た。
12月20日拡大将来構想委員会:将来計画検討委員会による12月11日付の「千葉大学の将来構想(骨子案)II大学改革」について議論する予定だったが、20日の評議会で配布予定の同題の資料が、「教員組織の再編」に関して内容が変わっていることが判明したため、各学科での討議の状況報告に切り替えられた。
12月27日将来構想委員会:12月20日付の「千葉大学の将来構想(骨子案)II大学改革」について各学科会議での討論をふまえて議論が行われた。同案に対する文学部としての見解は、1月7日の拡大将来構想委員会でまとめることが決まった。
1月7日 拡大将来構想委員会:「千葉大学の将来構想(骨子案)U大学改革」について
議論は、各学科、センターでの討議を踏まえて、同骨子案への文学部・文学研究科・span >ニしての対応をどのようにしていくかに関して進められた。
1.冒頭、この間全学での議論の提起の仕方、進め方には問題が多いこと、またあ・span >ワりに拙速に議論が行われることへの危惧を文学部・文学研究科がもっていること・span >ェ確認された。
2.「教育・研究組織の再編」(いわゆる教員システム)については、これをつく・span >驍フであれば、人文・社会系の「教育・研究会議」とし、所属部局やセンターを越えて、当該分野における相互の連絡をはかり、共通理解と認識を高めることを目的とすること、共同で教育・研究改善のための討議をしていく場とすることが、適切である、との了解に達した。
3.大学院教育と学部教育改革に関しては、さらに議論を詰めていくこと、top30問題については、全学で議論するべきであること、また高度職業人教育に関しては他部局との調整をすすめること、などが議論された。
4.研究教育と運営の改善に関しては、とくに近隣の教育・研究機関との連携をは・span >ゥること、院生の相互交流と単位互換、共同研究については、個別の機関との間で調査を進めること、などが提案された。


【動向】法人化問題をめぐる状況
・昨年12月に国大協理事会はワーキンググループの検討をもとに、「文部科学省・新しい「国立大学法人」像(中間報告)に対する提言 」をまとめた。本文と資料はそれぞれ以下に掲載されている。
本文:http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/txt_riji/h13_12_10_01.html
資料編:http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/txt_riji/h13_12_10_02.html
・他方、文科省の国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議の中の「連絡・span >イ整委員会」は、第4回の会合を12月19日に開き、検討課題の整理を行った。ただ、137本に及ぶ意見書の扱いについては不明である。今後は、1月25日、2月7日、2月21日、3月6日に開催される予定である。
・調査検討会議は、今後、大学を運営する組織の具体的な構成や、教員を含めた大・span >wの職員に国家公務員の身分を与えるかどうかなど、積み残しになっている問題に・span >ツいて詰めの論議を進め、今年三月をめどに最終報告を取りまとめることになっている。

《次号予告》特集:トップ30問題、独行法と職員問題
 
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/