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独行法反対首都圏ネットワーク

☆茨城水戸における12・1独法化シンポ報告 
. [reform:03915] 独法シンポ報告-up12/5.-

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Subject: [reform:03915] 独法シンポ報告
To: reform@ed.niigata-u.ac.jp

茨城水戸における12・1独法化シンポ報告
                               立石 雅昭

 国公労連関東ブロック懸案の独法化シンポ第一弾が茨城国公の尽力で水戸市民会館 で開催されました。科学者会議茨城支部をはじめ、全大教関東ブロックなど多くの団 体の共催。
 国公労連関東ブロック秋吉議長、栃木国公三石副議長も含めて、国公傘下の各単 組、科学者会議、自治労連、高教組、一般参加者など、80名近い参加者で、画期をな すシンポとして成功を収めました。
 茨城国公立川前議長の司会で進行。野津祐三科学者会議代表幹事の開会挨拶のあ と、私のほうで関ブロとしての基調報告。開催に至る経過と今後の運動方向について 簡単に提起をしました。

記念講演:埼玉大学山口和孝教授(科学者会議大学問題委員会)

 短時間ではあったが、国立大学独法化と小泉「構造改革」、とりわけ「遠山プラ ン」による今日の大学改革の急速な展開、大学政策をめぐる今日的争点と課題をわか りやすく解説・提起された。
遠山プランの意味するところをつぎのようにまとめられた。
・国際競争力強化を至上命題とし、国立大を軸として、公立・私立大学も巻き込ん で、戦後高等教育を根底から転換、再編をトップダウンで進めるもの
・日本経済活性化をめざし、高等教育機関への効率的・即戦的な重点投資と新産業創 出に寄与する大学つくり。
・国立大学を60程度に削減するとともに、トップ30を重点育成することによって大学 の新たな種別化を進めるもの。
その種別化・差別化は大学院大学、ロースクールなどの高度職業人養成大学、教養大 学、生涯学習大学(コミュニティー・カルチャー大学)にランク分けするものであり、 あたかも旧制高校制度の復活とも言えると指摘。
大学の質的転換をめぐる争点は、この改革によって社会と高等教育機関としての大学 との関係を変え、教育・研究を企業化し、国家戦略に従属しようとするものであり、 高等教育機関を経済発展・国際競争力形成の起点化するものだと指摘。「国立大学法 人」像の徹底した批判を行うこと、国民生活・権利への重大な影響を解明すること、 グランドデザインを提示することの重要性が強調されました。

各分野・法人からの報告と提起
1)農水省試験研究機関(池長 裕史全農林筑波地本書記長)
 97%の組合組織率を持つ農水では、基本的に労働・生活条件はそのまま維持締結。 しかし、任期制、業績評価、支援業務について問題が起こっていることが報告されま した。
2)国立病院(高橋 渡全医労関東甲信越地協書記長)
医療を採算性と効率性にゆだねることの問題、とりわけ政策医療に特化させ、一般・ 地域医療はしないという問題、公立病院・厚生連病院に比して圧倒的に少ない人員で あることや、保険法にもとづいて診療を良心的に進める体制が崩壊する危険性が指摘 されました。
3)特殊法人原子力研究所(岩井 孝原研労組委員長)
身分は非公務員型であり、労働基本権は認められているが、定員は国で管理され、賃 金も国に準じている。組織や研究テーマも認可が必要で、お金が付きそうなテーマに 流れ易い。高級官僚の天下り先であり、年収2000万、4年で退職し、2500万の退職金 を手にする。人事考課による評価が行われ、昇給・昇進に反映される。評価は方針を 理解しているかが問われることから、従順さが求められる事となっている
現行特殊法人改革が目玉になっているが、公的機関として続けていかねばならない仕 事について国民に伝わっていない。
4)大学(田村 武夫茨城大学副学長)
9月27日の「中間報告」は独法促進にとって重要なエポックメーキングとなった。し かし、そもそも組織や団体に法人格を与えるということはその独立した判断能力を持 つと認めることであり、国は経費を負担するが使途は自由、国は関与しないというの が法律学的常識。にもかかわらず日本では経費の負担者である国が管理者でもある、 という独特のシステムとなっている。遠山プランでは60余に国立大学が減らされ、こ れが独法化。1期から2期に移る中で、評価によって削減され、20くらいはつぶれる。 大学人には大学の維持・管理を行い、経営する能力はなく、経営倒産するとうそぶ き、人為的に淘汰されると言う官僚もいる。個人的には以下のように考えている。事 務局はすでに法人化後のシステムを勉強し始めているが、そのマニュアルは通則法に のっとって発足した法人に関わるもののみで、大学の特殊性を勘案した大学にふさわ しいものを作成しようという機運が見受けられない。組合や科学者会議は教特法など ドキュメントを点検・評価し、大学法人の姿を提示するべき。10000人規模の学生定 員を有する大学として、筑波との統合には反対するとともに、地域社会への貢献を進 めたい。
5)大学(藤原 高徳氏:茨城大学職員組合)
大学の対応としては目前の改革案つくりが優先している。組合では独法の学習会を行 い、独自の要求ができるよう案つくりを進めている。国民のための大学、教学優先、 民主的な大学運営を中心とした大学顕憲章の制定を目標に取り組みを進めている。
6)高校現場(岡野一男茨城高教組)
大学が変わらなければどうしようもないなあ、と言いつつ、これまであまりに連携が なさすぎた。教員採用試験(高校90人、小・中50人、擁護50人)で、高校の場合、現 役大卒採用率が1割以下、大学院新採を含めて2割という現状。通学区の変更が各地で 進められ、当面問題にされていないところで2〜3年後に課題となったり、組合活動や 勤務時間に関わって教職員に対する攻撃が強まっている状況、さらには全国20校づつ のSuper Science School、Super English Schoolなどの構想、県下でも高校再編・ 整備、学校評議員制度など、さまざまな改革構想が出されている現状が報告されまし た。
7)労働行政(橋本 篤弘全労働茨城支部)
労働行政に携わって「民間労働者」がどういう状況に置かれているか、つぶさに見聞 きしてきた。いま、民間ではすでに成果実績主義が見直されているのも関わらず、い まさら国の機関でこれらを導入しようとするのは10年以上、遅れているのではない か。新自由主義的発想がいち早くあらわれてきたのは労働法制ではないか。この分野 での規制緩和は労働者首切り・リストラのための緩和。「健全な競争」とは何かとい った、示唆に富むさまざまな諸点が提起された。やはり、労働行政について一度きち んと学習するべきだと思った。

分野からの報告の後、すでに予定の時間は過ぎていたが、せっかく見えた方もあるの で、フロア-からの発言ということで、全司法東京、茨城自治労連などからも問題提 起があった。初めて聞くことが多く、きわめて新鮮であった。

討論は懇親会でということで、8時頃までにぎやかに議論が交わされた。講師の山口 さんをはじめ関ブロ秋吉議長とともに、科学者会議で見知った顔や、昨年新潟大学の 独法シンポに来ていただいた産総研の松井さん、田村副学長など、多士済々、茨城の 底力を改めて実感した。特に先行する独法課題の際、こうしたさまざまな分野の人た ちが互いに課題を出し合い、問題提起をした上で運動の方向を確認しあうことが十分 できていなかったことを反省する声が多く出され、今回のシンポを機に今後もこうし た会合を各地で開催することの意義が語られた。国公関ブロでも引き続き各地で企画 が進むことを期待したい。

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立石 雅昭
新潟大学理学部地質科学教室
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E-mail  sedta9-4@sc.niigata-u.ac.jp
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