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独行法反対首都圏ネットワーク

☆国の研究費、科学者が監視 総合科学技術会議 
[he-forum 3137] asahi.com 12/25.
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asahi.com 2001年12月25日付


国の研究費、科学者が監視 総合科学技術会議
 
 経験豊かな科学者が研究課題の選定から成果が出るまでを監督する制度を、
国の予算を使った研究に導入することを25日、総合科学技術会議(議長・小
泉純一郎首相)が決める。欧米の研究振興機関では大学教授級の科学者が責任
者になって研究費の使い方を決めている。日本でも、最先端の研究動向を研究
費に反映させるなど、プロの目を生かした制度をめざす。

 同会議が責任者制度を求めるのは科学技術振興事業団や日本学術振興会など
の研究振興機関。今年度当初予算で約1029億円の科学研究費補助金が日本
学術振興会に充てられるなど、多額の国の研究費が2法人を通して大学などの
研究者に配分されている。

 この2法人は現在特殊法人だが、政府の整理合理化計画で、独立行政法人化
し、研究経験者が審査や評価に責任をもって取り組むとされた。今回の決定は
それを具体化するものだ。

 全米科学財団(NSF)や英国医学研究協議会(MRC)など欧米の政府系
研究振興機関には生物学、環境問題など専門分野ごとにプログラムディレクター
などと呼ばれる博士号をもつ責任者がいる。大学教授から就任し、数年後に大
学に戻る例もあり、最先端の研究動向を理解した科学者が政府の研究費を運用
する仕組みが出来上がっている。

 日本では、大学教授など外部の専門家は審査委員や評価委員としてかかわる
ものの、予算の大枠は監督官庁の担当者が握っている。「官僚は研究予算を獲
得するまでは熱心だが、フォローアップは不十分」「学問の進展に応じた戦略
性に欠ける」などの批判があり、科学者の声をもっと反映すべきだという声が
出ていた。

 日本版責任者制度の詳細は今後検討するが、研究実績と見識をもった科学者
に数年間責任者業務に専念してもらう。研究課題の選定や、評価、フォローアッ
プに専門性を生かす。国際的な責任者会合にも参加し、世界の研究動向を敏感
に反映させる。

 ただ、日本では大学などを一度離れると元には戻りにくいなど研究者の流動
性が乏しい問題がある。人選や処遇、責任者にどこまでの権限を与えるかなど
が今後の検討課題になりそうだ。