トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

☆福大が、離職歯止めに職業科目必須 
.[he-forum 3099] 福島民報12/19-
---------------------------------------------------------------

『福島民報』2001年12月19日付

福大が、離職歯止めに職業科目必須
 
 福島大は1年次からの必須(ひっす)科目として職業について学ぶ「キャリ
ア形成論(仮称)」を導入する。新規大卒者の離職率の高まりやフリーター化
の傾向を問題視、入学直後からしっかりとした職業観を持つことが欠かせない
と判断した。国立大の“生き残り”競争が激化する中、離職傾向に歯止めをか
け就職戦線を優位に進めることで、大学の存在を産業界に一層アピールする思
惑も。全国に先駆けた試みで、「全学再編の目標である16年度には万全の形
で始めたい」としながらも緊急の課題と受け止め今後、態勢づくりを急ぐ。

 「キャリア形成論」の科目導入は現代社会にふさわしい職業観を身につけ、
学生が主体的に自分の進路を選択できる力を養うのが目的。入学後、早い段階
で将来の職業について考えてもらうため、1年次の教養科目の中に設け、全学
生必須の単位にする。2年次はそれぞれの文系、理系の専門教育の中に取り入
れる。3年次はインターンシップや教育実習の形で展開する。

 具体的な講義内容については今後、詰めるが、キャリア形成の全体像を体系
的に学べるよう、職業の意義や適性を学ぶ「職業選択理論」や社会構造につい
て理解を深める「社会学」などを盛り込み、個人の人生と職業とのつながりを
理解してもらう内容にする。

 経済学部1年の女子学生(24)は「自分がどんな職業に向いているかを真
剣に考えるきっかけになるかも」と話し、行政社会学部1年の男子学生(19)
は「広い観点から職業について学べる講義にしてもらいたい」と期待を寄せて
いる。

 一方、教育学部3年生の男子学生(21)は「希望の職業を決めていても、
採用してもらえなければ何もならない」と現在の就職難を反映した意見もある。

 福島大が新たな「キャリア形成論」を開設する背景の一つには、新規大卒者
の離職や無職・無業のままフリーターとなる数が増加しているという現代の社
会風潮がある。

 厚生労働省が集計した「在職期間別の離職率の推移」によると、平成9年3
月に卒業した全国の新規大卒者の32・5%が3年以内に離職した。県内では
11年3月卒の1年目の離職率が16・2%(全国平均13・9%)、10年
3月卒の2年目が9・9%(9・8%)、9年3月卒の3年目が7・5%(8・
3%)とほぼ全国と同じ傾向にある。

 同大厚生課就職担当の深谷泰康専門職員は「卒業生の離職状況の追跡調査は
してないが、うちの大学も同じような傾向だと思う」と推察する。学生の職業
観については「普通に就職を求める学生もいれば、フリーターやアルバイトで
いいという考えの学生もいて両極端。就職しても長続きしないのは職業に就く
という考え方が甘いのではないか」と指摘する。最近は進路を決めないまま卒
業していくケースも目立つという。