☆教育訓練給付実践力磨く、資格学校金融など充実、大学昼間にも開講、支給額月50億円
.[he-forum 3091] 日本経済新聞12/15-
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『日本経済新聞』2001年12月15日付
教育訓練給付実践力磨く、資格学校金融など充実、大学昼間にも開講、支給額
月50億円
仕事に役立つ技能・資格の獲得に最大30万円を国が支給する「教育訓練給付
制度」の利用が急増している。企業のリストラや雇用流動化が進んでいるため
で、10月の給付額は前年同月比35%増の約52億円と過去最高になった。厚生労
働省は転職・再就職に役立てるという本来のねらいを徹底するため、趣味性の
強い講座を対象外とするなど制度見直しを進めているが、教育産業や大学もこ
れに対応、受講生の獲得競争がさらに激化している。
利用者急増
教育訓練給付は雇用保険を財源に、個人で取り組む職業能力開発を支援する
制度。厚労省が給付対象に指定した講座の受講者で受給資格がある場合、講座
修了後に費用の80%が戻る。
今年に入り給付限度額が20万円から30万円に引き上げられたことも追い風で、
今年4―10月の給付額は8月を除き毎月、前年同月比30%以上の伸び。7カ月で
既に2000年度1年間の9割近くに達した。10月時点の対象講座数は2万2183で、
制度導入からほぼ3年で6.4倍。内容も語学やパソコン操作、法律・経済系資格
のほか旅行業、調理、建築、福祉など多岐にわたる。
大学にも広がる
厚労省は、大学・大学院での給付対象講座を充実させるため、夜間講座に限っ
てきたのを昼間に拡大。情報技術(IT)、会計、金融工学といった需要が見
込める分野の講座を増やす方針だ。
こうした方針を受け指定講座を設ける大学や大学院が増えている。現在、修
士・博士前期課程や科目履修に給付制度を活用しているのは大阪大、京都産業
大など16大学、埼玉大、専修大などの27大学院と、東京都立短大など4短大。
このほか通信課程を設ける大学・短大も3校ある。情報処理・簿記検定、通関
士といった民間顔負けの実践的な内容も目立つ。
授業内容見直し
資格・技術教育学校「ヒューマン・アカデミー」を全国展開するザ・ヒュー
マン(大阪市)では全受講生の22%が給付制度を活用、CAD(コンピューター
による設計)オペレーター養成やファイナンシャルプランナー試験対策講座な
どで多い。大原学園(東京・千代田)では税理士や社会保険労務士で制度利用
が増えているという。
厚労省は、高校までに習得できる水準の講座や趣味・教養的な受講者の割合
の多い講座を給付対象からはずす見直しを始めているが、これに対応するため、
同じ語学講座でもより専門的なクラスを充実させるといった、カリキュラムの
修正に取り組み始めている。
また、講座が支給見直しの対象と通知された企業のなかには、修了生が受講
内容を生かして就職・転職に結び付けた例を同省に報告、指定の継続を求める
といった動きもでている。
大学の主な教育訓練給付講座
<企業経営>
札幌大大学院(夜)、埼玉大大学院(昼・夜)など
<金融・会計>
法政大大学院(夜)、滋賀大(昼・夜)など
<情報関連>
名古屋商科大大学院(夜、土日)、関西大大学院(昼・夜)、愛媛大(昼)
など
<起業、ベンチャー>
東京農工大大学院(昼)、帝京科学大(昼)
<資格取得指導>
水戸短大(情報処理・簿記検定、税理士、昼・夜)、京都産業大(通関士・
不動産・旅行業、昼・夜)