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☆総合規制改革会議「規制改革の推進に関する第1次答申」2001.12.1 
. [he-forum 3050] 総合規制改革会議第1次答申大学関係抜粋-up12/12.-

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総合規制改革会議「規制改革の推進に関する第1次答申」2001.12.11
http://www8.cao.go.jp/kisei/siryo/011211/
教育関係抜粋
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/c12-kiseikaikaku.html

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総合規制改革会議委員名簿

議長 
 宮内義彦   オリックス株式会社代表取締役会長兼グループCEO

議長代理
 飯田亮    セコム株式会社取締役最高顧問

委員
 生田正治   株式会社商船三井代表取締役会長兼会長執行役員
  *環境WG主査

 奥谷禮子   株式会社ザ・アール代表取締役社長

 神田秀樹   東京大学大学院法学政治学研究科教授
  *競争政策WG、法務・金融WG主査

 河野栄子   株式会社リクルート代表取締役社長

 佐々木かをり 株式会社イー・ウーマン代表取締役社長

 鈴木良男   株式会社旭リサーチセンター代表取締役社長
  *医療WG、エネルギー・運輸WG主査

 清家篤慶   應義塾大学商学部教授
  *人材WG、基準認証等WG主査

 高原慶一朗  ユニ・チャーム株式会社代表取締役会長

 八田達夫   東京大学空間情報科学研究センター教授

 村山利栄   ゴールドマン・サックス証券会社調査部
                マネージング・ディレクター
  *都市再生WG主査

 森 稔    森ビル株式会社代表取締役社長

 八代尚宏   社団法人日本経済研究センター理事長
  *福祉・保育等WG、農林水産業・流通WG主査

 米澤明憲   東京大学大学院情報学環教授
  *教育WG主査
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目次

はじめに p1-3

ア「システム全体の変革」の重要性
イ速やかな改革の重要性
ウ「生活者向けサービス分野」(いわゆる「社会的分野」)の改革の重要性
エその他の分野の規制改革

   --------------------------------------------------
4 教育(大学関係部分) p31-40
【問題意識】
【改革の方向】
【具体的施策】

(1)高等教育における自由な競争環境の整備

ア 大学・学部の設置規制の準則主義化
 【平成14 年度中に措置(検討・結論)】

(ア)大学・学部の設置等に係る認可に対する抑制方針の見直し
 【平成14 年度中に措置】

(イ)大学の設置等における校地面積基準、自己所有比率規制の緩和
 【平成14 年度中に措置】

(ウ)工業(場)等制限法の在り方についての抜本的見直し
 【平成13 年度中に措置(検討・結論)】(「6 都市再生」に後掲)

(エ)大学等の設置における制限区域の廃止
 【平成14 年度中に措置】

イ 第三者による継続的な評価認証(アクレディテーション)制度の導入
 【平成14 年度中に措置(検討・結論)】

ウ 学生に対するセーフティネットの整備【平成15 年度中に措置】

エ その他

(ア)大学における研究体制の強化
 【平成14 年度中に措置(検討・結論)】

(イ)寄付金、受託研究等の扱いに係る競争的環境の整備
 【平成13 年度中に措置(継続的検討)】

(ウ)任期付き教官に対する処遇の改善
 【平成13 年度中に措置】

(エ)大学組織の活性化の推進
 【平成13 年度中に措置】

(2)高等教育機関によるキャリアアップの充実

ア 学部におけるダブルメジャー制度の導入
 【平成13 年度中に措置(継続的推進)】

イ パートタイム学生制度の創設
 【平成13 年度中に措置(継続的推進)】

(3)高等教育に対する公的支援の在り方の見直し

ア 競争的研究資金の拡充と国立大学における資金の競争的な配分の徹底
 【平成14 年度中に措置】

イ 大学における教員評価の導入
 【平成15 年度中に措置】

ウ 国立大学の法人化に関する方向性の確定
 【平成13 年度中に措置】
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はじめに p1-3

規制改革は、供給主体間の競争やイノベーションを通じて、生活者・消費者が
安価で質の高い多様な財・サービスを享受することを可能とするとともに、自
由な環境の下でビジネスチャンスを拡大し、社会全体としての生産要素の最適
配分を実現することによって、経済を活性化するものである。このように、規
制改革は、「生活者・消費者本位の経済社会システム構築」と「経済の活性化」
を同時に実現する。

21世紀の幕開けとなる2001年は、我が国の経済社会が大きな転換点を迎えてい
ることがだれの目にも明らかになった年である。経済社会の構造改革の必要性
が唱えられて久しいが、今や5%を超える失業率は、構造改革が待った無しの
状況にあることを象徴的に示している。未曾有の深刻な雇用情勢、低迷する景
気、猶予できない財政構造改革等の厳しい条件の中で、規制改革の必要性とそ
の有する需要喚起、新規産業・雇用創出の機能に寄せられる期待はますます高
まっている。今こそ、構造改革を実現するための重要な柱として、規制改革を
強力に推進すべき時である。

本答申は、このような背景事情の下に、「経済社会の構造改革を進める上で必
要な規制の在り方の改革に関する基本的な事項について、総合的な調査審議を
求める」との総理からの諮問にこたえ、今年度における総合規制改革会議(以
下「当会議」という。)の調査審議の結果をとりまとめたものである。

提言するに当たって、当会議が規制改革に取り組む基本的考え方として、特に
次の点を強調しておきたい。

ア「システム全体の変革」の重要性

規制改革を推進するため、政府は従来から、例えば個々の事業者又は事業者団
体からの要望に積極的に対応すること等により、「個別の規制改革」を重点的
に進め、大きな成果を上げてきた。また、規制改革を分野別に進めるという手
法も採ってきた。規制改革をより効率的に進め改革の実を上げていくためには、
これらの手法に加えて、それぞれの分野の「あるべき姿」を念頭に置き、政策
目標・理念を明確にした上で、競争促進のためのルール作りや予算措置等関連
制度の見直しも含めた「体系的・包括的な規制改革」、すなわち、「システム
全体の変革」についての取組を、意識的に強化していくことが効果的である。

特に、「生活者向けサービス分野」(いわゆる「社会的分野」)については、
相対的に改革の遅れが目立っており、この分野の規制改革を強力に推進してい
くためには、このような「システム全体の変革」という手法の有効性が、より
一層高まるものと考えられる。

また、民間事業者の自由な経済活動を阻害する規制を撤廃し、事業者間競争を
促進する際には、市場機能が十分発揮されるよう、情報開示の義務付け、ルー
ルの遵守やサービスの質の確保等の監視体制(違反者に対する罰則適用を含む。)
及び事後的な紛争処理体制の整備、さらにはセーフティネットの充実等の新た
なルール作りや既存のルールの明確化等にも積極的に取り組むことが重要であ
る。

さらに、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」との基本原則の下、
公的主体(その規制下にある非営利団体等を含む)の行っている業務について、
可能な限り株式会社を含む民間事業者が主体的に担い得るよう、参入を妨げる
規制の撤廃を行うとともに、異なった経営主体が事業を行う際に存在する公的
助成(予算措置等)などの競争条件の格差解消についても、これを規制改革の
一環と位置付け、その積極的な推進を図ることとする。

なお、国や地方公共団体のみならず特殊法人、公益法人、特別な法律に基づき
設立された法人についても、一般の民間事業者と比較して、競争上有利な立場
にあり、この点は、規制改革を推進するに当たっての重要な視点と考えられる。

イ速やかな改革の重要性

これまでも構造改革のために諸施策が講じられ効果を上げてきた。例えば、10
年前と現在とを比較すれば、情報通信、金融、運輸等の分野における状況の変
化は明らかである。しかしながら、残された課題はいまだ多く、改革施策が、
少子高齢化、経済のグローバル化などの我が国経済社会を取り巻く急速な環境
変化に有効に対応できるだけの十分な速さで実施されてきたとは、必ずしも言
えない。

構造改革が急務となっている今日、改革施策の実施を一層加速化することが重
要である。このため、本答申では、速やかかつ確実な施策の実施を確保する観
点から、改革施策の実施時期を明示することを原則とした。

また、今後政府が実施すべき施策の具体的な改革行程を明らかにすることが、
財・サービスの提供者、消費者の双方に対して、これからの行動を決定するた
めの的確な情報を提供することにもなると期待している。

ウ「生活者向けサービス分野」(いわゆる「社会的分野」)の改革の重要性

「個々の生活者に向けたサービス分野」については、これまで公的主体が、サー
ビスの主たる担い手として市場を直接管理し、市場原理には馴染みにくいもの
とされてきた。これは、多くの「生活者向けサービス」が、「非営利的なサー
ビス」であるとの性格付けが濃かったためであるが、この結果、本分野には
「規制」や「官業構造」が多々みられ、こうした供給側の問題から、コストの
合理化や生産性の向上があまり進まず、サービスの質的向上・量的拡大も妨げ
られるなど、相対的に改革の遅れが目立つに至っている。

今後の少子・高齢化社会においては、我が国の経済成長に貢献する新しい産業
やイノベーションを開花させていくことが必要であるが、このような「生活者
向けサービス分野」は、需要と雇用の拡大余地の高い分野であり、起業家精神
の旺盛な個人による創業、迅速な事業展開が期待される。

当会議では、「生活者向けサービス分野」の改革の重要性を踏まえ、医療、福
祉・保育、人材(労働)、教育、環境の各分野について重点的に検討を行い、
新規産業・雇用の創出と、国民生活の質的向上に向けた抜本的なシステム改革
を進めることとした。また、都市は、生活の拠点であるとともに、その再生は、
喫緊の課題でもあり、当会議においても、重点的に検討されるべき分野として、
規制改革を積極的に推進することとした。

エその他の分野の規制改革

産業活動に直接関係の深い分野(いわゆる「経済的分野」)の規制改革につい
ては、政府が比較的早い時期から重点的に取り組んできた結果として、これま
でも進展がみられたところである。しかしながら、この分野においても、なお
一層の規制改革が必要な領域が多い。言うまでもなく、これらの分野における
規制改革は、経済の効率に直接的に影響するものであり、構造改革の観点から
規制改革を引き続き推進していくことは、極めて重要である。

このため、本答申では、上記の重点6分野に加えて、競争政策、法務、金融、
流通、農林水産業、エネルギー、運輸、基準認証の各分野の規制改革方策につ
いても、検討の結果を掲げた。

なお、IT分野における規制改革については、高度情報通信ネットワーク社会
推進戦略本部(IT戦略本部)の下のIT関連規制改革専門調査会において、
当会議の委員も参加して議論が重ねられたところであり、その検討結果を受け、
IT戦略本部において積極的な検討がなされることを期待したい。
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p31-40
http://www8.cao.go.jp/kisei/siryo/011211/1-4.pdf

4 教育

【問題意識】

社会・経済・文化におけるグローバル化が拡大し、国際的な競争がますます進
展していく中で、教育分野においても、義務教育から高等教育までを通じて質
の高い教育を提供し、社会のニーズにこたえることのできる優れた人材を育成
することが不可欠である。また、大学や大学院においては先端的・独創的な研
究を更に進め、新しい産業やイノベーションを開花させていくことが、我が国
の発展維持のために喫緊の要事である。

大学においては教育機関や教員が互いに質の高い教育を提供するよう競い合う
ことが、また、初等中等教育においては多様化を進め、需要者による選択と参
画を確保することが、我が国の教育全体の質的向上に特に強く結び付くと考え
られ、そのような環境の下で学生や生徒に対し学習に対する積極的な動機付け
を行っていくことが必要であると考える。

【改革の方向】

上記のような観点から大学や学部の設置に係る事前規制を緩和するとともに事
後的チェック体制を整備するなど、一層競争的な環境を整備することを通じて、
教育研究活動を活性化し、その質の向上を図っていくことが必要である。また、
初等中等教育においては、児童や生徒の能力・適性に応じた教育機会の提供を
推進するため、評価制度の導入や情報発信の促進により学校の透明性を高める
とともに、新しいタイプの公立学校の導入の検討や私立学校の設置促進などに
より多様化を進め、需要者が選択をし、その運営に参画することを通じて質の
高い教育サービスを提供していく体制を整備することが課題となるものと考え
る。

このため、当会議では、以下のような具体的施策について、提言を行うことと
する。

【具体的施策】

(1)高等教育における自由な競争環境の整備

大学教育の活性化を図るためには、教育機関や教員が互いに質の高い教育サー
ビスの提供に向けて競い合うとともに、大学が自らの判断と責任により運営を
行う自主性自律性を向上させることが必要である。この観点から、大学の提供
する高等教育サービスに関する組織である学部や学科の編成は、大学の主体的
な判断により機動的になされることが望ましい。しかしながら、現在、大学の
設置、学部や学科の設置、その定員の変更(以下まとめて「大学の設置等」と
いう。)を行おうとする場合には、文部科学大臣が定める大学設置基準(昭和
31年文部省令第28号)を満たし、大学設置・学校法人審議会への諮問答申を
要することとされており、大学の自主的自律的な判断による機動的な組織編成
を阻害している面がある。

また、大学は学生や社会のニーズにこたえた高等教育サービスを提供する責務
を果たすために、自ら不断の努力を行わなければならないが、厳しい事前審査
を行う一方で、事後的な監視点検が機能していない状況が、自らの提供する教
育サービスに対する責任感の欠如とその質の低下を招いているのではないかと
いう懸念がある。そこで、大学が自らの判断と責任において、質の高い教育研
究活動を行うことができる競争的な環境に向けて、大学の設置等に関する規制
を一層緩和する一方で、継続的な第三者による評価認証(アクレディテーショ
ン)制度の導入などの監視体制を整備する必要がある。

なお、大学の設置等に関する規制を一層緩和していくことにより多様な高等教
育サービスが提供されることとなるが、サービスの需要者である国民にとって
は、これまで以上に自らの判断と責任により選択していくという意識を持つこ
とが必要になってくるものと考える。すなわち、質の高い教育サービスを提供
する教育機関を選ぶ目を持つとともに、その選択に責任を持たなければならな
いことを付言したい。

ア 大学・学部の設置規制の準則主義化【平成14 年度中に措置(検討・結論)】

大学・学部等の設置、定員の変更の認可に当たっては、文部科学大臣は学生教
官比率、学生校舎面積比率など大学の質の確保のために最低限必要な客観的基
準を明らかにするとともに、現在、大学設置基準や大学設置・学校法人審議会
審査基準など、様々な形式によって重層的に規定されている基準について、法
令レベルでその一覧性を高めるよう整理すべきである。

その際、それぞれの基準の必要性等を十分に吟味し、例えば、施設設備や教員
組織の基準において不必要なものは廃止するなど、全体として最低限必要な基
準となるよう厳選する。

また、大学設置・学校法人審議会における審査事項や手続の在り方についても、
上記の基準の厳選に応じて、軽減、簡素化を図るべきである。さらに、学部の
下部組織である学科については、届出のみで設置又は廃止を可能とすべきであ
る。

なお、設置後において、基準が満たされなくなった場合には、文部科学大臣に
よる是正措置等を講じるとともに、改善されない場合には閉鎖を命ずることが
できるようにすべきである。

大学・学部の設置等に当たっては、学生教官比率、学生校舎面積比率等の数値
的基準のみならず、大学として適正な教育カリキュラムや教員組織等の定性的
な基準についても満たすものでなければならない。本来、これらについては各
大学の自主的な判断と責任によるものであるが、学生との情報の非対称性があ
る中で大学として最低限必要な基準を満たしていることを評価することも必要
であると考える。

各大学や学部が、これらの基準を満たすものであるかどうかについては、事務
的な確認のみならず専門的な判断を要するものであるが、現在、この専門的な
判断について、大学設置・学校法人審議会への諮問答申にゆだねられている。
また、大学・学部の設置等の認可基準としては、大学設置基準のほか、大学設
置・学校法人審議会審査基準や「平成12 年度以降の大学設置に関する審査の
取扱方針」(大学設置・学校法人審議会大学設置分科会長決定)など、様々な
形式によって重層的に規定が設けられており、これが設置基準のわかりにくさ
の一因となっていると思われることから、これらを法令のレベルに整理し、そ
の一覧性を高めていく必要がある。

その際、それぞれの基準について、その必要性等を十分に吟味し、不必要なも
のは廃止するなど大幅な見直しを行うことによって、基準全体として最低限の
ものに厳選することが必要である。また、大学設置・学校法人審議会の審査事
項や手続についても、上記の基準の厳選に応じてその軽減、簡素化を図るべき
である。

なお、最低限の教育研究の水準が継続的に保たれることを担保するため、設置
後に上記の基準が満たされないことが明らかになった場合には、その改善を図
ることについて行政的な措置を講じることができるようなシステムを構築すべ
きである。

(ア)大学・学部の設置等に係る認可に対する抑制方針の見直し【平成14 年
度中に措置】

「平成12 年度以降の大学設置に関する審査の取扱方針」における「大学、学
部の設置及び収容定員増については、抑制的に対応する」という方針を見直す
べきである。現在、多くの設置認可に係るルールについて、大学設置・学校法
人審議会大学設置分科会長決定により定められているが、このような現状は責
任の所在をあいまいにすることにもなることから、これらについては、その必
要性をよく吟味した上で必要と認められる場合には、文部科学省令等により定
めるべきものであると考える。特に、「平成12 年度以降の大学設置に関する
審査の取扱方針」において「大学、学部の設置及び収容定員増については、抑
制的に対応する」とされているなど、大学の設置等に対する参入規制として働
くと考えられる規定が定められていることは問題であると考える。

(イ)大学の設置等における校地面積基準、自己所有比率規制の緩和【平成14
 年度中に措置】

校地面積基準や校地の一定比率自己所有規制の緩和を速やかに検討するととも
に、財務情報の公開を一層促進していくべきである。

設置規制に関する実体的な規制に関しても、土地の高度利用が可能となった今、
大学の教育活動にとって重要な因子は校地の面積ではなく校舎の面積であり、
校地が校舎の3 倍以上なければならないという基準(校地面積基準)の緩和
を速やかに検討すべきである。

また、校地の一定比率の自己所有規制については、大学の経営の安定性継続性
を確保する観点からの規制であるが、大学の都心立地を実質上妨げている面も
ある。さらに、学生の学習の継続が確保されるために必要な財務情報の公開に
ついては、一層促進していくことが必要である。

(ウ)工業(場)等制限法の在り方についての抜本的見直し【平成13 年度中
に措置(検討・結論)】(「6 都市再生」に後掲)

(エ)大学等の設置における制限区域の廃止【平成14 年度中に措置】

「平成12 年度以降の大学設置に関する審査の取扱方針」における、工業(場)
等制限区域及び準工業(場)等制限区域についての抑制的取扱いを廃止すべき
である。「平成12 年度以降の大学設置に関する審査の取扱方針」においては、
工業(場)等制限区域及び準工業(場)等制限区域については他の地域より大
学の設置等に係る認可について抑制的に取り扱うとしているところである。

イノベーション促進のための産学官連携や社会人への職業訓練、生涯学習機会
の提供など、ますます高まっていく大学への多元的ニーズの中で、この制度が
障害となって、需要の高い都心部での高等教育サービスの提供が行われないこ
とは、大きな問題である。また、社会人のキャリアアップ学習支援に対する大
学や大学院、専修学校における教育の充実の観点からも、今後一層都心部にお
ける土地の高度利用等による教育研究環境の整備充実が必要となっていくもの
と考える。さらには、魅力ある都市環境のためにも、都心部における優れた高
等教育機関の整備充実が必要不可欠である。

イ 第三者による継続的な評価認証(アクレディテーション)制度の導入【平
成14 年度中に措置(検討・結論)】

大学の教育研究水準の維持向上の観点から、設置認可を受けたすべての大学に
一定期間に一度、継続的な第三者による評価認証(アクレディテーション)を
受けてその結果を公表すること等を義務づけるなどの評価認証制度を導入すべ
きである。併せて、評価認証の結果、法令違反等の実態が明らかになった場合
には、文部科学大臣により是正措置等を講じることができることとすべきであ
る。

第三者による継続的な評価認証(アクレディテーション)制度とは、大学の教
育研究の質的水準の維持向上のための評価認証の仕組みであり、大学は5 年
から10 年に一度、大学として必要な要件を満たすものであるかどうかについ
て、評価認証機関から評価認証を受けるものである。

大学に対する継続的な第三者による評価認証制度を整備していくため、次のよ
うなシステムの導入が必要と考えられる。

・ 評価認証機関は、学識経験者等によって策定された評価のガイドラインに
従って適切に評価を行うことが可能かどうかについて、文部科学大臣による認
定を受ける。当然、不適切な評価認証を行ったような場合には、当該認定は取
り消される。

・ 認定を受けた各評価認証機関は、評価のガイドラインに従って各大学への
評価を行い、教育研究活動の状況など大学がその使命にふさわしい運営を行っ
ていると認められる場合には、これに評価認証を与える。

・ 事後的チェック体制の整備の観点から、各大学は、一定期間に一度、少な
くとも一つの評価認証機関からの評価認証を受けることと、その評価認証結果
を公表する義務を負うものとする。

・ 万一、いずれの評価認証機関からも評価認証が受けられなくなった場合に
は、文部科学大臣は大学の認可を取り消すことができる。

・ その際、認可を直ちに取り消すのではなく、評価認証の結果、法令違反等
の実態が明らかになった場合には、文部科学大臣により是正措置等を講じた上
で、更に改善がみられないものについて認可を取り消すことも検討されるべき
である。

・ 評価認証機関については、互いに質の高い評価認証サービスを提供するこ
とを競い合う環境を整えるため、株式会社も含め設立できることとし、特定の
機関の独占としない。

このような仕組みによって、大学に対する事後的なチェック機能を整備すると
ともに、各大学が提供する教育サービスについての必要な情報を、学生や社会
が容易に得られるような環境が整うことになり、相互に競争的になることが期
待される。なお、工学教育や医学教育などの専門分野別、高度専門職業人養成
や通信制などの各種テーマ別の評価認証についても、我が国の大学教育の国際
的な通用性・共通性の向上や国際競争力の強化を図る上で重要な役割を果たす
ものとなると考えられることから、その普及、支援を図ることが必要である。

ウ 学生に対するセーフティネットの整備【平成15 年度中に措置】

大学が廃止されることとなる場合、学生の就学機会の確保が図られるよう、適
切なセーフティネットの整備を検討すべきである。

現在、私学経営が厳しいと言われる時代の中で、各大学においては様々な取組
が行われているが、上記のような大学設置等に関する規制緩和が進めば将来的
には経営が立ちゆかなくなる大学が生じることも予測される。

このため、学生が自己責任に基づいて入学しているとはいえ、万一大学の経営
が立ちゆかなくなったような場合には、学生が学習を継続して行うことができ
るよう、その就学機会の確保を図ることが必要であり、適切な方策を検討すべ
きである。

エ その他

中間とりまとめにおいて提言した次の事項については、引き続き取組を進める
べきである。(なお、(ア)、(ウ)、(エ)については、改革先行プログラ
ムにおいて、既に取組を行うとされているところである。)

(ア)大学における研究体制の強化【平成14 年度中に措置(検討・結論)】

大学における研究体制を充実させるためには、様々な競争的資金の拡充を進め
ていくことが必要であり、その際、研究機関が研究資金を多く持ち込める研究
者の採用を競争的に進めるなど、競争的環境の整備を推進すべきである。同時
に、競争的資金による、優れた研究者や博士課程学生を十分支援できるような
具体的な方策を進めるべきである。

(イ)寄付金、受託研究等の扱いに係る競争的環境の整備【平成13 年度中に
措置(継続的検討)】

国立大学の法人化を検討する際には、寄付金、受託研究等の扱いが国公私の大
学で相互に競争的になるようにすることを検討する必要がある。

(ウ)任期付き教官に対する処遇の改善【平成13 年度中に措置】

いわゆる招へい型を始めとした任期付き教官に対して給与法上の特例措置によっ
て能力・実績に応じた給与等の処遇の改善が可能となるよう検討し、結論を得
るべきである。

(エ)大学組織の活性化の推進【平成13 年度中に措置】

運営の効率化の観点から、大学における事務部門のアウトソーシングを大学の
判断で自由に行えるようにするなど、大学の組織をより活発なものにするため
の検討を早急に行い、結論を得るべきである。

(2)高等教育機関によるキャリアアップの充実

ア 学部におけるダブルメジャー制度の導入【平成13 年度中に措置(継続的推
進)】

各大学において二つ以上の専攻(メジャー)を取得することができるよう、ダブ
ルメジャー制度の導入を行うとともに、ダブルメジャーの導入の促進が図られ
るよう、大学におけるこのような取組に対する各種の支援方策の検討を行う。

現在、大学においては一つの専攻分野(メジャー)を取得することが一般的で
ある。学生が大学においてメジャーを定め、学修を進めていくに当たって、必
ずしも一つのメジャーにのみ縛り付けられるのではなく、学生の興味関心に従っ
て、各大学において二つのメジャーを履修させることも可能であり、このため
の教育課程の工夫を行うことも必要である。

イ パートタイム学生制度の創設【平成13 年度中に措置(継続的推進)】

社会人が正規の学生としてある程度長期にわたって学びながら学位を取得でき
るよう大学において正規学生としてパートタイム学生を受け入れるとともに、
パートタイム学生の導入の促進が図られるよう、大学におけるこのような取組
に対する各種の支援方策の検討を行う。

我が国では、長期間の学習によって学位取得を目指すパートタイム学生の制度
が確立しておらず、社会人が継続的に大学や大学院において学習を続けること
が一般的なものとはなっていない。現行制度上、パートタイム学生の概念とし
ては、正規の学生としてある程度長期にわたって履修して単位を取得すること
によって学位を取得する履修形態を指すと考えられている。社会人がパートタ
イム的に学びながら学位を取得できるよう大学において正規学生としてパート
タイム学生を受け入れるべきである。

(3)高等教育に対する公的支援の在り方の見直し

我が国の高等教育機関は、質の高い教育研究を推進するとともに、優れた人材
を育成するという使命を果たすべきものであり、教育に対する公的支援全体を
見直す中で、高等教育に対する公的支援の充実を図ることが必要であると考え
る。

こうして充実された公的支援は、決して国立大学というだけで配分されるよう
なものであってはならず、国公私を通じた競争的環境の中で切磋琢磨しながら
発展していくことができるよう、競争的経費の拡充によってなされるべきであ
ると考える。すなわち、大学間に一層競争的な環境を整備し、より良い教育研
究に対しては資源を重点的・効率的に配分していくことが必要である。

ア 競争的研究資金の拡充と国立大学における資金の競争的な配分の徹底【平
成14 年度中に措置】

現在の国立大学の予算のうち、教育研究基盤校費については、各大学において
配分方法を工夫し、基礎的な教育研究の継続に配慮しつつも、競争的環境の創
出について、更なる改善努力を行うべきである。

競争的研究資金の拡充を図っていく中で、いわゆる基盤的経費については、競
争的な環境の創出に寄与すべきとの観点から、その在り方を検討すべきである。

現在の国立大学における教育研究基盤校費については、学内において、本来、
各大学の判断に基づき、効果的・弾力的な配分がなし得るものであるにもかか
わらず、従来からの慣例に縛られ、硬直的なものとなっているという実態がみ
られる。

各大学内における教育研究基盤校費の配分に当たっては、学内の競争的環境の
創出に資するようなものとなるよう、基礎的な教育研究の継続に配慮しつつも、
その配分方法等を工夫することが必要である。

イ 大学における教員評価の導入【平成15 年度中に措置】

各大学における個々の教員の目標設定、設定目標に対する評価システムの構築
や、実績に応じた評価基準及び審査方法の確立、評価を実行するための大学に
おけるマネジメント改革など、各大学において、適切に教員評価を実施するべ
きである。このため、教員評価を(1)イで示す継続的な第三者による評価認証
(アクレディテーション)における評価項目の一つとして取り入れることも考
えられる。

大学教員に対する制度的な評価は、これまで採用と昇任時に教授会によって行
われるもの、あるいは大学や学部の新設の際に大学設置・学校法人審議会で行
われるというものに限定されてきたが、大学の機能が量質ともに拡大し、その
優劣が個人や社会にとって重要性を増してくるに伴い、社会は教員がその責任
を果たしているのかの立証を求めるようになってきた。そして、何よりも大学
の活性化自体のために、教員の活動の評価を適正かつ組織的に行うことが、各
大学において必要となってきている。教員の活動を評価するに当たっては、教
育研究のみならず大学運営や社会活動など教員の活動領域の全般を見据えたも
のでなければならないし、またそれぞれの大学の使命、役割と、その中でのそ
れぞれの教員の役割や個人的な発展の方向と関係付けての評価が必要である。
すなわち、一律の外的基準を設けて評価するという方法は、教員の専門性の高
さや職務の多様さ、評価に要するコスト、指標の妥当性の限界など、いずれの
面からも無理があるであろう。そして、どの側面の評価においても適正な評価
が証拠に基づいて実施されていなければならず、評価結果を適切に反映できる
処遇システムも必要となってくる。

このような大学における教員の評価システムを構築するに当たっては、その前
提となる組織(大学、学部、学科)の使命の明確化と、教員を評価する体制づく
りが必要となる。一つの大学の中でも、基礎学術系学部とビジネススクールな
ど職業系学部では、組織の目指している目標はおのずと異なってくるものであ
る。各大学においては、このような多様性を考慮した強力な評価体制を整える
ことが必要である。

ウ 国立大学の法人化に関する方向性の確定【平成13 年度中に措置】

国立大学を早期に法人化するため、非公務員型の選択や経営責任の明確化、民
間的手法の導入など平成13 年度中に国立大学改革の方向性を定めるべきであ
る。国立大学を法人化することの意義は、これまで多重に規制に守られてきた
国立大学制度に競争原理を導入し、個々の大学に自律的で戦略的なガバナンス
を確立することによって日本の大学において世界的水準の教育・研究が行われ
るような環境を作り出すことにある。

文部科学省に置かれる調査検討会議での検討をまとめた平成13 年9 月の中間
報告では、教職員を公務員とするか非公務員とするか等、幾つかの点について
は明確な結論を出していないところである。例えば、大学や研究機関にとって
の「生命線」は人材であるが、国立大学においては教職員が公務員であること
によって自由な採用、能力や実績に応じた処遇が行われにくい。また、企業と
の兼業をしたりベンチャー企業を立ち上げたりすることなどに対して制度的制
約が存在しているなどの課題が指摘されている。

独立行政法人においては、公務員型・非公務員型とも、給与・勤務条件につい
て人事院のコントロールは受けないことになっており、現状の国立大学に比べ
ると自由度が増すが、公務員型では依然としてその性質から一定の人事管理上
の制約がある。こうした点も踏まえた上で、更に検討を行い、国立大学法人
(仮称)においては、最も重要な人的資源の確保のため、給与、定員、兼職・
転職、休職、採用手続などに関して、当該組織が自律的に決定することができ
る制度設計としていくことが必要である。また、職員の身分のほか、国立大学
法人(仮称)における運営組織や民間的手法の導入の具体的な姿等、法人化に
向けて更に整理を要する課題が存在する。

このため、国立大学を早期に法人化できるよう、平成13 年度中には調査検討
会議においてこれらの課題を整理し、その方向性を定めるべきである。
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http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/c12-kiseikaikaku.html
は、初等中等教育に関する提言部分 p40-48 を含む。