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☆ノーベル賞“量産”計画、過度の売り込みは逆効果? 
.[he-forum 3048] 読売新聞12/11-up12/12-
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『読売新聞』2001年12月11日付

ノーベル賞“量産”計画、過度の売り込みは逆効果?

 【ストックホルム11日=中島達雄】今年度からの第2期科学技術基本計画
で国が掲げた「今後50年でノーベル賞30人」の目標を達成するため、文部
科学省が、同賞選考機関の一つであるスウェーデンのカロリンスカ研究所に
「研究連絡センター」を設けたことについて、選考関係者から、「かえって逆
効果かも知れない」という冷ややかな声が出ている。

 センターは日本学術振興会が運営。医薬などの分野で世界をリードする北欧
の研究情報を集める一方、日本の独創的な研究などを発信している。ノーベル
賞のおひざ元である北欧の研究者にとって入手が難しかった日本の学術誌の論
文なども積極的に提供する。

 日本の研究は英語論文が少なく、欧米との交流も限られているためで、ノー
ベル賞受賞者が少ない一因と指摘されてきた。センターは、ノーベル賞を取り
巻く国際研究ネットワークへの仲間入りも目指している。

 これについて、物理学、化学、経済学の各賞の受賞者を選考しているスウェー
デン王立科学アカデミーのエバ・クルートマイヤー広報担当部長は、「30人」
の数値目標については、「創造力を高める環境を作っていこうということであ
れば、決して悪いことではない」と前向きに評価した。しかし一方で、「連絡
センターの目的がノーベル賞受賞だとは聞いていないが、そうだとすると、期
待しない方がいい。選考委員会は、特定の人を受賞させるためのキャンペーン
には決して左右されない」と効果を否定。度が過ぎると逆に足を引っ張る恐れ
を指摘した。

 ノーベル財団のミカエル・ソールマン専務理事も、「ノーベル賞は国籍に関
係なく、最も価値ある業績に対して与えられる。アルフレッド・ノーベルの遺
言状に書かれていることで、今後何100年たっても変わらない。どの国が何
人受賞したか、という統計で一喜一憂するのは、ノーベル自身は決して望んで
いないと思う」と話している。

 ●「50年で30人」改めて強調…尾身科技相●

 尾身科技相は、11日の閣議後会見で、野依良治名古屋大大学院教授が同日
未明にノーベル化学賞を受賞したことについて、「良かった。50年間で30
人のノーベル賞受賞者が出るように基礎研究を充実させていきたい。2年続け
ての受賞で若者に科学技術の関心が高まっている。科学技術に人生をかけるよ
うな若者が大勢出てくることを期待したい」と語った。