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独行法反対首都圏ネットワーク

☆教育学部―ピンチを改革のバネに 
. [he-forum 3017] 朝日新聞ニュース速報-up3017-
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教育学部―ピンチを改革のバネに

朝日新聞ニュース速報

 いじめ、不登校、学級崩壊……。学校の悩みは深い。大学は有能な教師を養成しなけ
ればならない。
 しかし、その中心となるべき国立大学の教育学部や教育大学に、元気がない。
 少子化で教員採用枠が狭まり、教員養成課程の入学定員がピーク時の半分の1万人に
削られた。しかし、学生は減っても、教官は分野や教科ごとに細分化されていることも
あって、たくさん必要だ。「効率が悪い」と見られるゆえんである。
 大学の再編統合を促す文部科学省の「大学の構造改革の方針」では、教員養成系は規
模縮小・再編の筆頭例に挙げられた。他の学部からも不要論がささやかれ、人減らしの
「財源」と目される始末だ。
 いったいどうすればよいのか。
 文科省の「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」が出した回答は、
全国に48ある学部や大学を近隣の都道府県で再編統合し、学生や教官を集中させる、
というものだ。戦後続いてきた「1都道府県1学部」原則の放棄である。
 確かに交通手段は発達した。学生はかつてほど地元にとどまらない。衛星通信による
遠隔教育も可能になった。各都道府県に教員養成の学部を置く根拠は薄れている。だが
、懇談会のいうやり方通りで、優れた教師を育てることができるだろうか。
 教員養成の学部や大学の役割は、他学部の教師志望者への教職科目の提供もあれば、
現職教師の研修、地域の教育委員会や学校への協力もある。なくなるところには、これ
らの手当てが必要となる。その点は大丈夫だろうか。
 懇談会は(1)統合する大学が、なくなる地域の現職教師向けにサテライト教室を開
き、遠隔教育をする(2)他学部生や教委などのために、統合される大学が「教職セン
ター」を過大な規模にならない範囲で整備する、といった考えを示した。もっと積極的
な策はないだろうか。
 たとえば、統合する大学が、統合される大学の地域も含めたブロック全体を視野に入
れ、私立大や公立大とも単位互換を進めるのはどうだろう。
 大学や教委が協議会をつくる。そこで現職教師向けの研修を企画したり、教官の地域
の学校への「出前授業」をあっせんしたりすることも考えられよう。
 いずれにしても、再編統合は地元に与える影響が大きい。自治体や教委、学校関係者
らの声に十分耳を傾けてもらいたい。
 生き残る学部や大学もこの際、あり方を見直す必要がある。
 懇談会は(1)教員養成独自の体系的なカリキュラムをつくる(2)教員免許を教官
採用の条件にする(3)教師や指導主事を非常勤講師に招く(4)第三者評価を受ける
際、教委や学校の声を聴く、などの提案をしている。
 教育改革の拠点に生まれ変わるためには、それらの実行が望まれる。
[2001-12-04-00:10]