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大学人が
構想する改革の試み
.しんぶん赤旗12月19日 断面-
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しんぶん赤旗12月19日 断面

大学人が構想する改革の試み

当事者からの「対案」

 日本科学者会議のシンポジウム「われわれが目指す二十一世紀の大学」(八日、東京・明治大学)は、文科省主導で強引にすすめられる一連の大学「改革」にたいして、当事者である大学人の側から構想されるオールタナティヴ(対案)の試みとして注目しました。
 パネリストの伊ケ崎暁生氏(元富山国際大学教授)は、大学改革の論点に、″大学の生存権″である学問の自由と大学の自治の理念と制度をいかに生かしていくかをあげました。
 槽谷憲一氏(全国大学高専教職員組合委員長、一橋大学教授)は、大学の現状にそって改革すべき課題を指摘。浜林正夫氏(一橋大学名誉教授)は、ユネスコの「勧告」(一九九七年)、「宣言」 (九八年)から、日本の大学政策に欠けているものを検討しました。
 貧困な研究環境の改善や大学教育のレベルアップなど、いま大学が本当に直面している課題を具体的に明らかにした報告は、文科省の大学「改革」が、「国家による大学統制」(伊ヶ崎氏)であり、「大学側から内在的に出たものではない」(槽谷氏)ということを浮き彫りにしました。
 しかし他方で、参加者から「総論はわかるが、問われているのは課題をいかに実現するかという各論」「学長が、文科省のいいなりになっている現状で、どうすればいいのか」「教員も学生も無関心ではないか」との声が寄せられました。
 そんななか、いくつかの国立大学で取り組まれている大学憲章づくりや大学「改革」をめぐって他大学の職員組合を招いての懇談会開催など、粘り強い大学人の活動も紹介されました。それが「大学全体で協力し合っての自主的民主帥改革」(槽谷氏)のイメージとして新鮮に映りました。

 小泉流大学「改革」に異

 また「大学人だけが空回りしてもダメ。大学問題を国民的関心にしなくては」(岡山大)と、地域を巻き込んでのシンポジウムをたくさん開く必要性が訴えられ、「大学の自治が攻撃されているときこそ、大学の自治を行使すべき」「大学人はどんどん意見を出していこう」(山形大)と、全学的な大学改革委員会をつくろうとの提起もありました。
 市をあげての北海道教育大の釧路校存続運動など端緒的ですが、いま小泉流大学「改革」へ異をとなえる運動が始まっています。今回のシンポジウムのような大学人と国民をつなぐ、あるべき大学像を語り合う壌を広げることが急務だと感じました。   (浅)