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独行法反対首都圏ネットワーク

うなる地元教育学部  愛知教育大 三重大・岐大 再編も視野に
. [reform:03850]朝日新聞愛知版11月7日-up11/11.-

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『朝日新聞』愛知版(11月7日)から転載します。
          11月9日  大学改革情報ネットワーク

どうなる地元教育学部
 愛知教育大 三重大・岐大 再編も視野に

 地元の教育学部がなくなるかもしれない――。国立の教員養成学部・大
学の統合を促す、文部科学省の懇談会の最終報告案が6日、まとまった。
東海3県で教員養成課程を持つ愛知教育大、三重大、岐阜大も将来の統合
に向けた検討を余儀なくされることになる。「懇談会の出方待ち」で、学
内外での検討は進んでこなかった状況もあり、今後、地域を巻き込んだ大
きな問題にも発展しそうだ。

 3大学の中では、教員養成課程の入学定員が100人と最も少ない三重
大教育学部の川口元一学部長は「統合され、教員養成課程がなくなった場
合、地域の需要に対応できなくならないだろうか」と懸念する。
 教員養成学部は、地元の現職教員の資質向上のため、「教員を指導する
学校」としての役割も重視されつつある。同学部でも公開講座の形で、三
重県内の小中学校などの現職教員の研修の場を提供しており、地元では
「研修場所が遠くなれば、行けない」との不安の声がすでにあがっている
という。
 懇談会では教員養成学部がなくなった都道府県にサテライト教室を置い
て対応することが検討されているが、川口学部長は「地域によって、教育
に差が出ないよう最大の配慮が必要だ」と指摘。岐阜大教育学部の佐々木
嘉三(よしみ)学部長も「いじめから総合学習への対応まで教員に多様な
資質が要求されている中、現役教員の研修や再教育の場として門戸を開き
始めたばかりだ。その出ばなをくじくような時期の再編は認めがたい」と
注文をつける。
 一方、教員養成大としては東京学芸大、大阪教育大に次ぐ国内3番目の
規模を誇る愛教大も、統合の波から無傷ではすまない状況だ。入学定員8
75人のうち、約4割の395人が「国際理解」「環境教育」などの教員
免許取得を前提としない新課程。懇談会の方針通り、新課程を廃止した場
合、学生が大幅に減り、大学の活力の維持が困難な状況になるからだ。
 田原賢一学長は「近県の教員養成課程を引き受け、教育大学の基軸とな
るべく学内外の議論を詰めたい」と統合を前提に今後、近隣の大学に呼び
かけていくことを明らかにした。田原学長は、新課程も生かす統合のあり
方として「他大学の教員養成課程と、自大学の新課程を交換する方式も検
討している」と話した。
 学内での検討段階で、他大学との交渉は具体化していないが、田原学長
は「できる限り年内に統合相手のめどをつけたい」と意気込む。
 岐阜大教育学部は入学定員250人のうち、新課程が35人と少ないこ
ともあり、「現時点で統合・再編は考えていない」(佐々木学部長)。し
かし、懇談会の「統合後の大学では、幼稚園から高校もでの教員免許取得
を可能にする」との方針に対し、同大には幼児教育の課程がないなどの課
題も残る。佐々木学部長は「教育の充実のため、将来の統合も視野に入れ
た検討を学部内で始めている」と話した。