トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

☆教育学部再編 欠かせない地域の視点 
. [he-forum 2963] 沖縄タイムス社説11/24up11/25.-

----------------------------------------------------------------

『沖縄タイムス』社説  2001年11月24日付

教育学部再編 欠かせない地域の視点

 文部科学省の懇談会は、各都道府県に少なくとも一つの教員養成大学・学部
を設けるとした原則を転換し、再編統合で四十八ある現在の大学・学部を半数
以下とする報告をまとめた。

 外から見て、以前の元気を失いつつあるように思える国立の教員養成大学・
学部を再生する「カンフル剤」となるのだろうか。

 明治時代からの教員養成システムの変革であり、統合によって大学・学部が
消える可能性のある地域での影響は大きい。

 確かに少子化もあって、一九八〇年代半ばに二万人を超えた国立大の教員養
成課程の定員は、二〇〇〇年には半分以下の一万人を割り込んでいる。

 かつては八割近くに達した教員養成大学・学部卒業生の教員就職率も、今は
34%にとどまる。教員養成システムの見直しは避けられない。

 学校現場は、いじめや不登校、学級崩壊など多くの問題を抱える。教員の不
祥事も後を絶たない。来年度から小、中学校で新学習指導要領も導入される。
まさに教員の力量が問われる。

 教育環境が激しく変わる中で、子どもの変化や学校の現状に、正面から立ち
向かう意欲にあふれた教員の養成が迫られている、といえよう。

 また、教員養成大学・学部は地域の教育拠点であり、現職教員の再教育など
支援機能も忘れてはなるまい。

 変革を初めから「再編・統合ありき」で議論するのではなく、地域の視点や
大学の自主改革の取り組みが重要だ。その意味で報告内容は説得力に欠けると
言わざるを得ない。

 琉球大学は、地理的条件もあって再編の対象となるかどうかは未知数だろう。
しかし、地元にとって教育学部を失う痛手は計り知れない。教員の大半が同大
の教員養成課程の卒業生だという一点からも明らかだ。

 とはいえ、教員養成にとどまらず、これまで以上に学校現場や地域に目を向
ける学部の在り方を大学自らが模索しなければ、教員養成大学としての再生は
おぼつかないのではないか。