トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

教員養成:教育大・学部を大幅統合、半減へ 懇談会報告書 
. [he-forum 2933] 毎日新聞11/22up11/23.-

----------------------------------------------------------------

『毎日新聞』(Mainichi Interactive)  2001年11月22日付

教員養成:
教育大・学部を大幅統合、半減へ 懇談会報告書

 国立の教員養成大学・学部のあり方を検討してきた文部科学省の有識者懇談
会(主査、高倉翔・明海大学長)は22日、複数の大学・学部を統合して大幅
に数を減らし、付属学校も地方移管や廃止を検討するよう求める最終報告書を
まとめた。文科省は02年度中に統合再編計画を策定する。統合後は半数程度
になるとみられ、教員養成大学・学部がなくなる県も出てくる。

 報告書は、各都道府県に現在計48ある教員養成系大学・学部を近隣同士で
統合・再編し、「教員養成担当大学」と「一般大学」に分けることを提言した。

 教員養成を担当する大学の教育系学部は、原則として教員養成課程のみにし、
教員免許取得を目的としない新課程(いわゆるゼロ免課程)は置かない。教員
養成学部がなくなる一般大は、新課程の定員を利用して新学部を設置したり、
従来ある学部の定員増などを図る。

 現在の教員養成課程の入学定員(約1万人)は統合後も維持し、大学教員も
養成担当大と一般大に振り分ける。ほかの学部で教員を目指す学生のため、一
般大には「教職センター」を設け、教職科目などを開設する。教育学部がなく
なる県には、現職教員の研修や再教育のためにサテライト教室も設置する。教
職センターの教員として、最低限の教員養成系の教員を残す。

 大学の付属学校については、一般大など教員養成系学部のない大学の場合、
近隣の養成担当大や自治体に移管する。しかし、「大学が必要性を明確にすれ
ば」という条件付きで存続の道も残した。独自運営が可能な付属校は独立採算
制に移行することも今後の検討課題としている。

 文部科学省の有識者懇談会が教員養成系学部の再編を打ち出した背景には、
少子化で教員の採用数が絞り込まれ、多くの学生が教育学部を卒業しても教員
になれないという現状がある。

 昨年度の教員養成系学部の新卒の教員就職率は平均で33・7%。これは臨
時採用も含まれており、正規採用に限ればさらに低い。このため、各地の教員
養成系学部では入学定員を減らし、学部の規模を縮小している。その結果、学
生の教育や学校現場が抱える課題に対応できなくなるという悪循環に陥ってい
た。

 学部を統合すれば、1学部あたりの学生数と教員数が増え、教育内容も充実
できるというメリットはある。しかし、教育学部がなくなる県では、学校や教
育委員会と連携した「地域密着型」のきめ細かい教育研究ができなくなる恐れ
もある。

 付属学校のあり方についての懇談会の最終報告書は結論として、現存する学
校がすべて存続できるとも読める内容になった。当初は付属学校も大幅な統廃
合を図ろうとしたが、各学校の反発に押し切られた形だ。

 教育学部の付属学校は幼稚園から高校、養護学校まで230もある。報告書
も指摘しているが、1大学で付属小や付属中などを複数抱えているケースもあ
る。

 先生の卵の「研究・実習」が付属学校の役目だとすれば、公立学校が抱える
問題を解決するための研究活動を中心にすべきで、小学校入学の時から試験で
児童を選抜し、競争をあおるような事態は改めなくてはならない。付属学校を
存続させるなら、大学は納得できる理由を示す必要がある。 【澤圭一郎】