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☆単科の国立大学、再編の動き加速/北海道 
. [he-forum 2918] 毎日新聞北海道版11/18up11/20.-

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『毎日新聞』北海道版  2001年11月18日付

[ニュースワイド]単科の国立大学、再編の動き加速/北海道

 ◇地元との関係で困難も

 単科大を中心とした国立大の再編・統合の動きが道内でも加速している。文
部科学省が6月に打ち出した「大学の構造改革の方針」で、全国に99校ある
国立大の大幅削減が明記され、特に教員養成系大学や医科大などの単科大は
「規模の縮小・再編」「他大学との統合」などの方針が示されたためだ。道内
各校は来年度中に今後のビジョンを同省に報告するよう求められており、学内
議論が大詰めを迎えている大学も多い。再編の嵐にさらされる、道内6単科大
の合従連衡(がっしょうれんこう)の動きをまとめた。

 ◇統合前提の協議も温度差で無期延期

 ◇北見工大、旭川医大

 両大学の学長が10月26日に記者会見し、統合を前提に話し合いを始めた
ことを明らかにしている。「現状のままの存続は困難」との認識で一致したた
めだ。この時は、道内の他の国立単科大との統合も視野に、今月上旬から具体
的なスケジュールなどについて協議を進めると受け取れる発言もあった。だが、
現在は両大学による協議は「無期延期」(旭川医大)となっている。

 旭川医大の事務局は「統合・再編の是非も含めて話し合おうとしたことが、
既に決定したように誤解された」と説明し、大学再編が微妙な問題であること
を浮き彫りにしている。

 両大学の「熱意」にも温度差がある。北見工大は昨年4月に運営会議を設置。
統合後は遠隔医療やバイオ工学など「工学・医学にまたがる学際領域」の研究
分野を開拓したい考えで、常本秀幸副学長は「新分野を飛躍的に発展させ、世
界水準の目標を設定したい」と強い意欲を示す。

 他方、旭川医大事務局は「単独存続にはこだわらないが、旭川医大側から北
見工大と統合したいなどと話したことは一度もない。互いに温度差があるのは
確かだ」と「本音」を明かしている。【水戸和郎、渡部宏人】

 ◇教員養成課程を集約「どこへ」が課題に

 ◇北海道教育大

 構成する札幌▽函館▽旭川▽釧路▽岩見沢の5校すべてにある「教員養成課
程」を1校に集約、全学の機能を再編する方針で、既に学内で合意している。

 しかし、どこに集約するかについて関係者の口は重い。1学年の定員121
0人(うち教員養成課程700人)は今後も維持するため、1校への集約・再
編は必然的に他校の学生数や教官数の大幅減・機能低下となり、各校や地元の
猛反発を受けかねないからだ。現に、函館市や釧路市などは各校の規模を維持
するよう要請している。

 再編担当の徳永好治副学長は「少子化の中、道教大もキャンパス再編は避け
られない。各校はそれぞれの地域に重要な役割を果たしており、なかなか難し
い議論だが、年度内には学内で一定の結論を出したい」と話している。【江口
一】

 ◇「積極的に協議」確認

 ◇室蘭工業大

 10月25日に開かれた教授会で「統合再編問題について、学長のもとで積
極的に話し合う」ことを確認、学内で議論を進めている。

 田頭博昭学長は「現在のところ公表できる内容はないが、地域住民や学生、
職員を安心させるためにも、決まったことは出来るだけ早く公表したい」と話
す。

 同大は地元企業と環境問題などで共同研究を進めるとともに、一般市民向け
に中国語や時事問題などをテーマにした公開講座を開いている。10月からは
新たにTOEIC受験講座、IT(情報技術)講座などを開講するなど、地域
住民との結びつきの強さを武器に生き残りを図る戦術も見え隠れする。【鈴木
勝一】

 ◇「まったく白紙」

 ◇小樽商科大

 再編・統合対策について、同大学総務課は「現在、学内で検討されておらず、
まったく白紙」という。

 学外有識者による「運営諮問会議」の中間まとめ(今年3月)によると、今
後、同大の進むべき方向性として「実学」をキーワードに商科系単科大の特徴
を生かし、世界に通用するビジネスマン育成のための教育・研究に力を入れる
ように提言している。【八幡敏夫】

 ◇専門部会で検討

 ◇帯広畜産大学

 7月から佐々木康之学長ら幹部6人の専門部会で再編問題を検討している。
来年1月には一定の方向性を打ち出す方針。

 同大は単独生き残りと、統合を両にらみで議論しているが、佐々木学長は
「統合を選択する場合、そのあり方はさまざまな角度からの検討が必要だ。畜
産大としての実績や独自性がいい方向に発揮されることが大切で、統合によっ
て埋没することがあってはならない」と話す。そのためには教育や研究でこれ
まで以上に成果を出すことが重要と強調、また統合・再編は「地元の理解を得
られなければならない」と主張している。【松宮兌】