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独行法反対首都圏ネットワーク

☆大学改革 学長の意見・提言(東京) 
.[he-forum 2910] よみうり教育メール11/19-up11/19.-

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よみうり教育メール  2001年11月19日付

◆大学改革 学長の意見・提言(東京)
 
 大学は、どう変わろうとしているのか――。読売新聞がこのほど、全国の四
年制六百七十大学の学長らに、大学改革に関する提言を求めたところ、百七十
七大学から貴重な意見や提案が寄せられた。少子化、国際化時代に対応して大
学を活性化するためには、学長が強いリーダーシップを発揮すべきだとの意見
が目立つ。

 〈教育内容〉

 少子化が進み、志望者がほぼ全員大学に入学できる全入時代の到来で、受験
生をいかに呼び込むかは各大学の死活問題だ。入学後、どのような教育を受け
られるか、生き残りのための方策に「教育改革」を挙げる大学は多い。村上隆
太・西南学院大学長は「改革の中心となるのは教育の内容・方法で、個々の教
員の意志と資質に頼らざるをえない」と強調する。

 研究に比べて、教育に力を入れる教員への評価が相対的に低いとの指摘もさ
れてきたが、「研究成果だけでなく、教育に対する努力や効果が正当に評価さ
れるシステムの構築が急務」(松岡正邦・東京農工大副学長)という声もある。

 また、国際間競争にさらされる今、教育内容の評価を高めるための具体策と
して、「日本だけでなく世界に貢献するために、工学系大学や学部はJABE
E(日本技術者教育認定機構)の認定を受けられるレベルの教育が求められる」
(佐藤一彦・室蘭工業大副学長)などの提言も相次いだ。

 〈運営制度〉

 改革を遂行するためには、学長のリーダーシップが必要不可欠だが、消極的
な教職員をどうまとめるか、各学長には意欲と戸惑いが見られる。相磯秀夫・
東京工科大学長は「二十一世紀の大学像のイメージをしっかり持ち、トップダ
ウンで改革を行う。同時に、経営センスを導入し、経営と教育・研究を分離す
べきだ」と主張する。

 しかし、改革への障害も大きく、石弘光・一橋大学長は「最大の障害は教員
の旧守的体質。外部からの建設的な批判が必要だ」と指摘するなど改革への障
害も大きい。

 現状を打破するにはどうすればいいか。金川克子・石川県立看護大学長は
「教職員が改めて大学の理念・目標を再認識したうえで、内外から厳正な評価
を得る。それを教職員にフィードバックする体制が求められる」と強調した。

 〈国の方針〉

 国立大の数の大幅削減や国公私立「トップ30」の育成を打ち出した文部科
学省の「大学の構造改革の方針」と、国立大の独立行政法人化は、行財政改革
や経済の構造改革論議を背景に浮上した。

 「改革は国の教育や学術、文化の未来像の観点から進められるべき」(鮎川
恭三・愛媛大学長)という指摘や、「大学審議会答申が求める改革までは理解
できるが、その後の施策は答申と無関係に進められている」(村田隆紀・京都
教育大学長)といった不満の声も少なくない。

 「教育に競争原理を持ち込むのは無理。行財政改革の立場では改革は困難だ
ろう」(二神光次・宮崎大学長)と見る意見も。国はこうした不満に対する、
きちんとした理念を提示する必要があろう。

 〈将来像〉

 「社会の要請と長期的視点に立った大学の在り方の両方を、バランスを取り
ながら改革を進めるべきだ」(飯田嘉宏・横浜国立大副学長)など、象牙(ぞ
うげ)の塔と言われてきた大学が社会的役割を直視し始めている。

 私立や地方の公立に特に危機感は強いが、「規模が小さいことはメリットに
もなりうる。都心の立地条件を生かし、企業の研究所の一部分を担う産学協同
を推進したい」(越後亮三・芝浦工業大副学長)、「地域に密着し、貢献でき
る大学に徹するような改革を進めたい」(谷川栄彦・県立長崎シーボルト大学
長)など、個性化や独自性をアピールし危機を克服しようとする決意が見られ
た。