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独行法反対首都圏ネットワーク

☆国立大法人化/主体性発揮する仕組みに 
. [he-forum 2901] 北日本新聞社説10/05-up11/16.-

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『北日本新聞』社説  2001年10月5日付

国立大法人化/主体性発揮する仕組みに

 文部科学省が検討していた国立大学法人化の中間報告が公表された。

 国の規制を大幅に緩和、大学の裁量を大幅に広げる一方で、評価に基づく予
算配分を徹底するなど経営責任を明確化する―というのが骨格だ。

 大学の自主性、自律性が広がるなら、歓迎したい。だが報告では、評価結果
をどう予算配分につなげるかなど肝心の点が不明確だ。運用次第では、逆に国
のコントロールが強まりかねない。

 目指すべきは「大学の自主性・自律性拡大」だ。これをどう具体的に担保す
るか。最終報告までに制度運用の中身まで踏み込んだ提示を求めたい。

 国立大学は、国による「統制」と「庇(ひ)護(ご)」のなかで、自己変革
のエネルギーと社会に対する緊張感を失ってきた。改革は、徹底して大学に任
せ、大学が責任をとる仕組みをつくることから始めなければならない。

 今回の論議は、行革論議で浮上した「独立行政法人」に国立大学をはめ込も
うとしたところから始まった。企画立案を本省が、独立行政法人が実施を担当
し効率化を図るという枠組みは、自ら企画立案する大学になじまない。

 報告が「行革の視点を超えて検討」し、修正を加えたのは一定の前進ではあ
るが、大臣が各大学の中期目標を策定するなど、依然、独立行政法人の大枠が
はまっている。枠組みそのものの組み替えを求めたい。

 教育研究については、第三者機関の大学評価・学位授与機構の評価を尊重す
るとしているが、それを各大学の交付金にどう反映するかは、文科相が任命し
た委員で構成される国立大評価委員会の判断だ。

 税金を投入する以上何らかのチェックは必要だが、国の関与が過ぎてはなら
ない。創造的な研究を引き出す仕組みにしなければならない。

 大学運営への学外者の参加も今回の目玉のひとつだ。学外者を、どういう立
場でどれくらい参加させるかは、大学自身の主体性に任せるべきだ。

 ともあれ、大学の裁量は大幅に広がり、自己責任が厳しく問われることにな
る。使い道を特定しない交付金を学内にどう配分するか。どんな教育研究を組
み立てるか。管理も経営も、大学が主役になる。既得権を守るだけの自治では
もう済まない。