トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

☆第153回国会参議院文教科学委員会平成13年10月30日 第2号 議事録抜粋 
. [he-forum 2845] 参院文教科学委 10/30より-up11/8.-

----------------------------------------------------------------

第153回国会参議院文教科学委員会平成13年10月30日 第2号 議事録抜粋
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/153/15310300061002a.html
行番号付
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokkai/01/a30-san-bunkyou.html

  95 ○阿南一成(自民党)遠山プランと国立大学法人化との関係について
1202 ○鈴木寛(民主党・新緑風会)育英会について
2652 ○山本正和(社民党) ロースクールについて 
2867 ○西岡武夫(自由党) 国立大学独立行政法人について
-------------------------------------------------------------------------
  59  (大学の構造改革に関する件)
  60  (教科書の採択制度に関する件)
  61  (子どもの生きる力を育む上で果たすべき文教
  62  行政の役割に関する件)
  63  (高等教育における学生への経済支援に関する件)
  64  
  65  (教育諸条件整備に関する件)
  66  (就学指導の在り方に関する件)
  67  (授業料減免事業の周知に関する件)
  68  (教員の労働時間適正化に関する件)
  69  (高等教育における専門家養成に関する件)
  70  (義務教育についての行政責任の所在に関する件)
-------------------------------------------------------------------------
  95 ○阿南一成君 おはようございます。自由民主党の阿南一成であります。
  96
  97  本日はまず、大学の構造改革、いわゆる大臣のお名前を冠して新聞紙上をに
  98 ぎわせていますが、遠山プランと国立大学法人化との関係について直接大臣に
  99 お伺いをしてみたいと思います。
 100
 101  平成九年の十二月に橋本内閣当時の行政改革会議の最終報告におきまして独
 102 立行政法人化が打ち出されたことを受けまして、平成十一年、研究所、それか
 103 ら博物館、美術館などを独立行政法人とする法案が成立を見ました。そして、
 104 本年から各独立行政法人がその運営を始めたところであります。
 105
 106  そのような中で、国立大学の法人化については、閣議決定によりまして平成
 107 十五年までに結論を得ることとされております。現在、文部科学省内に置かれ
 108 ております調査検討会議において議論がなされていることを承知をいたしてお
 109 ります。
 110
 111  このように、国立大学の法人化に向けた議論がなされておりますまさにその
 112 途上の本年六月、大学の構造改革、大臣のお名前を冠したいわゆる遠山プラン
 113 というものが極めて鮮烈に打ち出されました。このプランの具体的な内容につ
 114 きましてはまた別の機会を得て質問をさせていただきたいと考えておりますが、
 115 これはまさしく小泉内閣の掲げる構造改革であろう、時流にかなうものなのか
 116 なというふうに考えておるところであります。
 117
 118  しかし、多くの大学関係者には極めて衝撃的なこととして受けとめられてお
 119 るわけであります。また、さらにその後、マスメディアを通じても非常に多く
 120 の議論を呼んでおるところであります。マスメディアの中には、国立大学の法
 121 人化に向けた議論が進んでおる中で唐突ではないのか、あるいは性急な議論で
 122 はないのかとの批判もなされているところであります。
 123
 124  そこで、現在進行中であります国立大学の法人化の議論と大臣が打ち出され
 125 た大学の構造改革、いわゆる遠山プランとの関係について、大臣みずからのお
 126 考えをお聞かせいただきたいというふうに考えております。
 127
 128 ○国務大臣(遠山敦子君) これからの日本を考えますときに、人材大国ある
 129 いは科学技術創造立国というものを実際に現実的なものにしてまいりますため
 130 には、やはり大学に期待するところが極めて大きいわけでございます。そのよ
 131 うなことから、大学のあり方というのは幅広い見地から論じられてしかるべき
 132 ものとして、これまでもそういう形で論議されてきたところでございます。
 133
 134  国民のいろんな輿望を背景にいたしますと、日本の大学を一層活力に富んだ
 135 国際的な競争力を持つ大学であってほしいということは、国民一般、それから
 136 産業界あるいは特に構造改革を力強く推し進めております内閣の方針から見て
 137 も非常に大きな要望であるわけでございます。
 138
 139  そのような中で、六月に大学改革のための構造改革プランというものを打ち
 140 出させていただいたわけでございますが、それは突然、唐突というお話でござ
 141 いますけれども、私ども長く高等教育、大学問題にかかわってまいりました者
 142 といたしましては、大学のあり方について、これまでの大学改革についての非
 143 常に大きな積み重ねの中身、論議あるいは動きを前提といたしまして、時代の
 144 要請にこたえた構造改革というものをより力強く一歩踏み出していくというこ
 145 とのために先般の構造改革方針というものを出させていただいたわけでござい
 146 ますが、その中には、国立大学の統合再編あるいは国立大学の法人化あるいは
 147 競争原理に基づく主として研究面の重点投資をやっていこうという考えのもと
 148 に打ち出したところでございます。
 149
 150  この方針は、これまでの大学審議会、今は中央教育審議会に統合されたとい
 151 いますか、大学審議会、私自身も創設にかかわった者としてはいささか大学審
 152 議会が吸収されてしまったということについては感慨があるわけでございます
 153 けれども、その大学審議会において長い間実に精緻な、しかもきちんとした議
 154 論が行われてきた、そしてその幅広い議論を背景として各大学でかなりの部分
 155 で大学改革についての真摯な取り組みが行われているという現実、それから、
 156 御指摘のように、今我が省において置かれております国立大学法人化に関する
 157 調査検討会議の議論の方向というものも見据え、また国立大学協会において法
 158 人化の検討が行われている、そういう状況も踏まえた上で、これまでの意見も
 159 十分考慮した上で、法人化の設計図の方針にとどまらないで国立大学全体をど
 160 うやっていくかという観点に立って整理したものでございます。
 161
 162  そのねらいとするものは、これからの国立大学、これはいろんな役割を持っ
 163 ておりますが、特に科学技術あるいは理工系の大学院の教育研究というものが
 164 日本の将来を左右するというふうなこともございますし、また国立大学はこれ
 165 まで計画的な人材養成に資してきたこと、あるいは地域の教育の中核となって
 166 地域の振興にも役立ってきたことなどさまざまな任務を帯びているわけでござ
 167 いますけれども、しかしこれからを考えますと、それらはもちろんのこと、もっ
 168 と個性輝く大学であり、かつまた国際競争力を持つ大学であってほしいという
 169 願いを込めて方針をまとめたものでございます。
 170
 171  もちろん、これから個々の大学がどのように法人化に向けて準備をしていく
 172 か、あるいはどういう形で足腰の強い国立大学になっていくかということにつ
 173 いては、それぞれの大学の意見も尊重しながら文部科学省と共同作業でつくり
 174 上げていくことだと思っております。
 175
 176  先ほどるる経過の御説明がございました。それらをもちろん尊重した上で、
 177 しかしその議論を少し加速させ、そしていい方向に持っていってもらうという
 178 ねらいもあって基本方針を出したわけでございます。このことについて、大学
 179 関係者等の理解も得ながら進めてまいりたいと思っているところでございます。
  ・・・・
      ----------------------------------------------------------------------

1418 ○鈴木寛君 私は、ぜひ学生の側からもう少しきちっと実態を踏まえて御議論
1419 をいただきたいというふうに思いますが、私は、国際的に見て日本の大学生が
1420 いかに苦労しているかということについて少しお話をしたいと思いますが、現
1421 在、日本の場合は、奨学金をもらっている、これは育英会だけじゃなくて民間
1422 すべてでございますけれども、もらっている学生は二割でございます。そして、
1423 その二割の学生といえども必要額の約三割しか賄われていないというのが日本
1424 の実態でございます。
1425
1426  では、海外はどうなっているかということを申し上げますと、ヨーロッパ主
1427 要国におきましては、学費、生活費が学生やその家族の家計を圧迫するという
1428 状況は全くございません。例えばドイツの場合は、大学のほとんどは州立大学
1429 でございますから原則学費は無償でございます。加えまして、生活費は、連邦
1430 奨学金法という法律があって、必要生活費と家族収入の差額をすべて全部の学
1431 生がもらえると、こういうことになっていますし、イギリスにおいても、年間
1432 の学費は二十万円で、しかも四割の学生がそれを免除されている。加えて、生
1433 活費については、希望者全員に奨学金制度というものが実現をされております
1434 し、その額も十分な水準になっております。
1435
1436  アメリカについて申し上げますと、アメリカはかなりヨーロッパと違います。
1437 私立大学、州立大学が中心でございますが、このアメリカにおきましても奨学
1438 金制度は大変充実をいたしておりまして、先ほど局長よりお話がございました
1439 日本の額の約十倍に上る五百億ドルの奨学金が総額で給付されておりますし、
1440 学生全体の七割が奨学金をもらっております。加えまして、給付型、貸与型、
1441 それから学業にマッチしたカレッジワーク、日本と違って学業と全く関係ない
1442 アルバイトじゃなくて、自分の学力増進にもつながるカレッジワークと、この
1443 三つのタイプの経済的支援制度が用意をされておりますから、これを大変うま
1444 く組み合わせて学生の皆さんは経済的な不安なく学習ができるということになっ
1445 ております。
1446
1447  各国の事情を申し上げるのはこれぐらいにいたしたいと思いますが、要する
1448 に先進諸国の中で、学生が経済的な理由で修学を断念をしたり、さらにそうし
1449 た学生の学費、生活費が親の家計を圧迫したりしている国は日本以外に見当た
1450 らないということを文教科学委員の先生方にはぜひ御理解をいただきたいと思
1451 います。
1452
1453  こうした諸外国の実情を踏まえまして、私は、ぜひ日本におきましても、経
1454 済的な理由による高等教育就学機会の損失をゼロにするという具体的な目標の
1455 もとに、奨学事業拡充方針を明快かつ明確に示していただきたいということを
1456 お願いを申し上げたいと思います。
1457
1458  私が申し上げておりますこの考え方は決して私の独善ではございませんで、
1459 実は一九七六年に発効をいたしました経済的、社会的及び文化的権利に関する
1460 国際条約、いわゆる国際人権A規約でございますが、この十三条の2の(c)
1461 では、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な
1462 導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものと
1463 する」と規定されておりますし、また、同条の(e)では、「すべての段階に
1464 わたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し」云々と
1465 規定をされております。これらの規定から明らかなように、私が申し上げてお
1466 ります目標は、国際条約に規定されている基本的人権の実現をしていただきた
1467 いということを申し上げているということを皆様方に御理解を賜りたいと思い
1468 ます。
1469
1470  実はしかし、驚くべき事実がございまして、我が国はこの条約の締結に当た
1471 り、同項の無償教育化について留保をいたしております。文部省にお伺いをい
1472 たしますが、締結国、百四十五カ国ございますが、日本以外にこの条項を留保
1473 している国があれば教えていただきたいと思います。
1474
1475 ○政府参考人(工藤智規君) 突然のお尋ねでございますが、手元にある資料
1476 によりますと、今御指摘の条項を留保しておりますのはマダガスカルと承知し
1477 てございます。
1478
1479 ○鈴木寛君 私は、この留保をぜひ解除をいたしていただき、きちんと国際条
1480 約の実現に向かって努力をすべきだというふうに考えておりますが、いずれに
1481 いたしましても、ほかの国は、百四十三カ国は、この条約に基づきまして、既
1482 に二十年間、それぞれの国民の高等教育の無償化に向けて懸命な努力をしてき
1483 ているわけでございます。その一方で、日本だけがどんどん取り残されてしまっ
1484 ているという実態には大変な危機感と懸念を感じるわけであります。
1485
1486  それから、私は、現行では余り奨学金の対象となっていない方々へも積極的
1487 に道を開くべきだと思っております。例えば、数多くの日本人がファッション、
1488 デザイン、スタイリスト、ゲーム、アート、アニメ、ミュージック、料理など
1489 の分野で世界的に活躍をしていらっしゃることをかんがみますと、現在約八%
1490 しか受給をしていない専修学校、専門学校生に対する奨学金制度の拡充にも特
1491 に御留意をいただきたいと思いますし、加えて、これからは大仁田委員のよう
1492 に一生涯学び続ける時代となると思います。社会人を初め年齢を問わず学びた
1493 いという意欲があるすべての方々への奨学金制度に向けて特段の配慮が必要だ
1494 と思います。
1495
1496  いずれにいたしましても、日本社会全体で総額、先ほどお話ございました約
1497 五千億強の奨学金をやはり急速にふやしていくということは喫緊の課題として
1498 取り組むべきだと思いますが、行革だけではなくて、こうした前向きな議論を
1499 ぜひとも進めていただきたいというふうに思います。
1500
1501  本日は高等教育における学生の経済的な支援に絞って議論を重ねてまいりま
1502 したけれども、学生やその保護者の方々の家計が大変に苦しんでいるというこ
1503 とを十分に踏まえていただきまして、奨学事業の抜本的な拡充を図るために、
1504 早急にそのための検討体制を整備をしていただきたいというふうに思います。
1505 そして、日本育英会の存廃問題の決着に合わせて、同時にその奨学事業強化の
1506 具体的な成案をまとめていただきたいというふうに思います。日本育英会の廃
1507 止法だけが国会に提出されるというのは大変残念な事態でございますので、決
1508 してそういうことがないように強くお願いを申し上げたいと思います。
1509
1510  私自身は、我が国における高等教育機会の均等を図ることを目的として、学
1511 習者に対し学費そして生活費も含めたそうした費用の確保を保障するために、
1512 官民あわせた奨学事業の抜本的な拡充とそれに必要な所要資金の確保、あるい
1513 は利子補給、政府保証などの実施を盛り込んだ高等教育における学習活動支援
1514 法の制定をぜひ御提案をしたいと思いますので、御一考を賜りますようにお願
1515 いを申し上げます。
1516
1517  我が国は、先ほども大仁田委員が御指摘ありましたように、本日議論をして
1518 まいりました奨学金を初め、余りにも教育に対する投資を怠ってきたというふ
1519 うに思います。まさに教育投資の量的、質的な拡充は不可欠だと思います。年
1520 間の高等教育に係る公財政の支出の対GDP、GNP比率を見ましても、アメ
1521 リカ一・一、イギリス一・三、フランス一・〇、ドイツ一・五に対しまして、
1522 日本は〇・七%。世界先進各国に比べていかにおくれているかということがよ
1523 くわかります。
1524
1525  遠山大臣は三十年余り文部省にいらっしゃいました。遠山大臣を初め多くの
1526 文教関係者が教育投資の充実を図るためにこれまで懸命な努力をされてこられ
1527 たことは私も十分承知いたしておりますし、本委員会には実は三名の文部大臣
1528 経験者がいらっしゃいますが、そうした先輩の皆様方の御努力にもかかわりま
1529 せず、我が国の公的教育投資がドイツの半分、民間教育投資主体の米国にすら
1530 劣後しているということは大変残念でございます。これは、日本の教育を充実
1531 をしたいとの遠山大臣を初め皆様方の思いが結局従来の与党の政治力学の中で
1532 いつも踏みにじられてきたことの結果であるということは言わざるを得ないと
1533 思います。従来型の建設・土木事業には野方図に予算を投下する一方で、教育
1534 投資がいつも後回しにされてきたことは、遠山大臣が一番よく御存じだと思い
1535 ます。
1536
1537  私も、隣の通産省にありまして知的立国日本創造のために我が青春の日々を
1538 ささげてまいりましたが、二十一世紀への準備がどんどんおくれていくことへ
1539 の焦りと、我々若手官僚の真摯な思いが通じない悔しさを毎日味わってまいり
1540 ました。その後、大学に身を転じ、やはり懸念したとおり日本の人づくりが危
1541 機的状況にあるということを目の当たりにいたしました。そして、私は今般、
1542 参議院選挙に当たりまして、皆さんの税金をコンクリートから人づくりへとい
1543 うメッセージを発しさせていただきまして、私のメッセージに対し東京だけで
1544 も七十六万人という多くの皆様方から賛同と共感をいただきましたことによっ
1545 て、本日、この場に立っている次第でございます。
1546
1547  人づくりは今やまさに国民の総意であると思います。私も大仁田委員とタッ
1548 グを組みながら頑張ってまいりたいと思いますが、全国に学ぶ三百五十万人の
1549 学生と、そして将来の学生、今の学生を抱えるすべての御家庭の切なる思いを
1550 十分にお酌み取りいただきまして、これまで日本の人づくりに人生をかけてこ
1551 られました遠山大臣より御決意のほどを伺いたいと思います。よろしくお願い
1552 を申し上げます。

----------------------------------------------------------------------
2652 ○山本正和君 
   ・・・・
2798  じゃ、どうするんだというようなことでいろいろ議論した結果、アメリカで
2799 は裁判官になるについては、例えば弁護士なら弁護士でどれだけの経験がある
2800 とか検事がどうとかというふうなそんなことを含めてやっていますよと。
2801
2802  そればっかりじゃないんですと。アメリカのロースクールというのは、普通
2803 の大学を出て、その大学の中で例えば音楽の先生もおる、音楽で勉強した人が
2804 これでじゃどうするかと、よし、じゃロースクールに行こうという人が来る。
2805 同じようなことで、お医者さんの学校も、医者というのは人間のもう本当に死
2806 ぬ間際までの苦しみを見にゃいかぬわけですよね。だから、こういうロースクー
2807 ルとか医学とかいうものは特別な制度でもって資格を与えるための制度にしよ
2808 うとなってきたんですという話を聞いたんですね。
2809
2810  私はそれは本当にそうだと思うんですよね。今の日本は、何か知らぬけれど
2811 も、子供のときから英才教育を受けて、偏差値をぴっしりつけられて、東大の
2812 法学部を出て、正直言って、こんなことを言ったら語弊があるけれども、若い
2813 弁護士の中には本当に人間がわかっておるかしらんというような人もいますよ
2814 ね。私は心配で仕方がない。そういうことも含めたら、そういう部分は何とか
2815 文部省としても、日本の教育の根本にかかわることですから、そういう法律だ
2816 とか医学とかいうふうなことについては考えるべきじゃないかと、こういうふ
2817 うに私は思っておるんです。
2818
2819  それからもう一つは、今、炭疽菌で大変です。そうすると、アメリカは薬剤
2820 師がそれについては全部知識を持っていて、一斉に各地域で始まっておる。ド
2821 イツでもそうですよ。日本の薬剤師というのは社会的地位が非常に低いんです
2822 よ。昔から諸外国と比べてなぜ日本の薬剤師はこんなに低いんだと、学歴が低
2823 い。よそはみんな五年制ないし六年制です。日本だけ四年制というけれども、
2824 それも実際にやる専門教科、カリキュラムは二年しかやっていない。ほかは専
2825 門を三年ないし四年やっているんですよね。そういうことからいったら、どう
2826 してもこの薬剤師の問題も取り上げなきゃいかぬ。
2827
2828  そして、もっと言えば、きょうはお医者さんはお見えにならぬけれども、お
2829 医者さん出身の国会議員もおるもので一言言うんですけれども、医療費の問題
2830 の出発点は何かといったら、お医者さんが処方せんをたくさん書いて薬を出し
2831 たら経営が楽だということですよ。本当ならばお医者さんというのはそういう
2832 もので経営を考えちゃいけないんです。それができなかったのはなぜかといっ
2833 たら、医薬分業がないからです。医薬分業がない理由は何かといったら、日本
2834 の薬剤師は程度が低いと、こう言われておる。程度を高くしなきゃだめなんで
2835 すよね。
2836
2837  そのことも含めて、ぜひこれは文部省としても真剣に高等教育の問題を考え
2838 ていただきたいと、こう思うんですが、時間が過ぎましたのでこれで終わりま
2839 すので、答弁があれば。
2840
2841 ○政府参考人(工藤智規君) いろいろ御示唆に富む御指導をいただきまして、
2842 ありがとうございました。
2843
2844  アメリカと日本とで確かに制度が違いますので、アメリカの場合、法曹界を
2845 目指す方は四年間のいわば教養を中心とした学部教育の上に三年制のロースクー
2846 ル、それから医者になります場合の医師養成については、学部教育の上に四年
2847 制のメディカルスクールという専門大学院が発達しているわけでございます。
2848
2849  日本の法学教育についてもいろいろな問題が確かにありますけれども、他方
2850 で、法曹界の人材育成につきましては、現在は司法試験という試験に合格すれ
2851 ばどなたでもなれるという広いチャンスがあるというメリットも言われている
2852 一方で、受験対策にだけなって、先生おっしゃるように人の痛みとか法の基本
2853 とか、もう少し幅の広い人間性が求められておりまして、そのために、近々国
2854 会でも御審議賜ると思いますけれども、司法制度改革、点の養成から面の養成
2855 へという中でいわば日本版のロースクールをこれから整備していこうというこ
2856 とで、政府部内でもそのための準備を進めているところでございます。
2857
2858  他方で、法学教育の充実についても私どもも大学も取り組んでいるところで
2859 ございますし、医学それから薬学のような医療人の養成についても、先生の問
2860 題意識と共有しているわけでございますが、ただ他方で、アメリカ型にすぐ移
2861 行するには、関係者でいろいろ御議論いただいているのでございますが、なお
2862 乗り越えなきゃいけない課題等もございますので、今後とも御指導をいただき
2863 ながら進めてまいりたいと思います。
2864
2865  ありがとうございました。
---------------------------------------------------------------------------

2867 ○西岡武夫君 私の持ち時間は十四分でございますので、初めに委員長にお願
2868 いがございますが、これまでにもこの委員会で国立大学の独立行政法人化につ
2869 いてのまとめた御議論が当然あったことと思いますけれども、ぜひこの国会中
2870 にこの問題を中心とした集中的な審議の時間を持っていただきたいということ
2871 を、理事会で御検討いただきたいということをまずお願い申し上げたいと思い
2872 ます。
  ・・・・
2974  それから、次の問題ですが、あと数分しかありませんけれども、国立大学の
2975 独立行政法人化の問題については、ずっとこれまでの資料をいろいろ拝見して
2976 おりますと、どうも独立行政法人化ありきというところから始まっているとい
2977 う感じを私は持っております。
2978
2979  この問題につきましては、あと二分ぐらいで話をするのは不可能でございま
2980 すけれども、例えば学長が経営的な手腕を発揮するということが書かれてござ
2981 います。ところが、学問的な権威を持った方が必ずしも経営的な感覚を持って
2982 おられる、そういう方もたまにはおられるかもしれませんけれども、これはな
2983 かなか言うべくして簡単なことではない。
2984
2985  そういうこと等々考えて、我が国のやはり基礎研究、学術の研究というのは
2986 非常に大事、これだけが唯一の資源と言ってもいいくらいのこういう国立大学
2987 のあり方について、こんな安易なと言うと大変言葉が過ぎるかもしれませんけ
2988 れども、たまたま独立行政法人という構想が出てきて、それに乗っかっていっ
2989 て、果たして日本の学術基礎研究の将来がどうなるんだろうかと。
2990
2991  私は、昭和四十八年から五十一年にかけまして、日本に学術地図というもの
2992 をつくって大学の設置についての基本的な下敷きにすべきであるということを
2993 提案したわけでございますけれども、微力にして今日に至っておりますけれど
2994 も。
2995
2996  例えば、独立行政法人ということになりましたときに、一体国家公務員なの
2997 か非国家公務員なのか、そこは、大臣、詰まっているんですか。
2998
2999 ○国務大臣(遠山敦子君) 今の最後の点につきましては、目下非常に集中的
3000 な議論が行われておりまして、調査検討会議において二つの考え方がありとい
3001 うことで、それを、すべての国立大学を同じようにするか、あるいはそれぞれ
3002 の個々の大学がそれぞれの意思においてどちらの形態をとっていくのかなども
3003 含めて、目下最終的な詰めを行っている段階でございます。
3004
3005 ○西岡武夫君 そういう基本的なところを全然決めないで、とにかく国立大学
3006 法人法を制定してできるだけ早期に移行するという方針を政府はお出しになっ
3007 ているようでございますけれども、もっと文部科学省として大学のあり方はど
3008 うあるべきなのかということを、独立行政法人に乗っかっていくという形では
3009 なくて検討されるべきではないかと私は思うんです。
3010
3011  大臣、これに御賛成でしょうか。
3012
3013 ○国務大臣(遠山敦子君) 私は、西岡委員の文部大臣としての御在籍の期間
3014 ないしいろんな機会を通じまして、委員が日本の大学教育なり大学研究なりに
3015 対しての強い希望、期待を持っておられて、そのお考えの基礎として非常によ
3016 く考えられたいろんな御意見をお持ちということはよく存じ上げております。
3017
3018  ただ、今回の一連の流れは、ただ独立行政法人ないし国立大学法人ありきと、
3019 では急いでそれにということでは私はないと考えております。各国を見まして
3020 も、国立の大学というものは日本以外のところは法人化をされております。そ
3021 れによっていろんなメリットも出てくる。むしろ自由濶達に教育研究が行われ
3022 ていくというような面もあるわけでございます。
3023
3024  その意味で、私ども当然ながら、日本の大学の教育研究というものをどのよ
3025 うにして活性化し、そして本当に内実から出た真の教育への情熱あるいは独創
3026 的な研究への発想、そういったものを大事にしていくかということを常々考え
3027 ている点では私どもは人後に落ちないわけでございますが、しかし、それらの
3028 上に立ってなおかつ大学改革というものを進め、またその大学改革の目指すと
3029 ころ、いろいろな議論があった上で、もっと個性に輝く大学であるべし、ある
3030 いは国際競争力を持った日本の大学であってほしいといういろんな要素を勘案
3031 した上で、であるならば、やはり国立大学法人というその流れを活用しながら、
3032 本格的な輝ける大学といいますか、国民の期待にこたえるような大学になって
3033 いってほしいと、そういう気持ちもございますし、大学人の多くは私どもの意
3034 図も十分受け取っていただいている、今そういう状況であろうかと考えており
3035 ます。
3036
3037 ○西岡武夫君 もう時間が参りましたからこれで終わりますが、少なくとも私
3038 が個々の国立大学の教授、先生方にお尋ねをいたしますと、表には意見として
3039 出てきておりませんけれども、大変な疑問を持っておられるというのが実態だ
3040 と私は思います。ぜひ、冒頭に申し上げましたように、このことにつきまして
3041 は十分な時間をとっていただいて、何か事柄がとんとんとんと進んでしまって、
3042 あれよあれよというふうになって、後世に大変な批判を受けるということのな
3043 いようにしていただきたいということを委員長にも特にお願いを申し上げます。
----------------------------------------------------------------------------