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☆2年後の新大学に黄信号 県内国立大  
. [he-forum 2842] 北日本新聞11/07-up11/8 .-

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『北日本新聞』2001年11月7日付

 2年後の新大学に黄信号 県内国立大 

 富山大、富山医薬大、高岡短大の県内国立大学の再編統合問題は、三学長が
再編統合方針に合意してから約二カ月が過ぎたが、三大学の協議はまだ始まっ
ていない。富山大、高岡短大は同方針を了承したが、富山医薬大がゴーサイン
を出していない。再編統合に学内合意した富山大も、ワーキンググループのプ
ランが保留となるなど作業は停滞している。平成十五年度に新大学をスタート
するという三大学幹部の当初目標に、黄信号がともり始めた。

□学内合意遅れる−富山医薬大

 富山医薬大は、規模の大きい富山大が将来的な人員削減策を示していないこ
となどを理由に、学内合意に達していない。国家試験などと絡む医、薬学部は
学部再編が難しこともあり、同大幹部は「文系分野の学部再編は二大学で協議
を進めてくれればいい」と言う。

 富山医薬大の動向が焦点となる中、同大でもようやく再編統合の議論を積極
的に進めようとする機運が高まってきた。医、薬学部の存続を前提に現在、大
学院や教養教育などについて六つの作業部会で検討。今月中旬までに構想を集
約する。

 当初、三大幹部間で申し合わせていた合意書の調印なしで実質的な議論に入
ることも想定している。高久晃学長は「新大学で実現できる構想を練っている
ところだ。話し合いできる態勢をつくろうと急いではいる」と強調する。

□仕切り直しへ−富山大

 富山大は学長、副学長、学部長ら大学幹部を中心に構成する「国立大学再編・
統合検討委員会」で新大学の学部編成案などを検討。学長選挙でブランクはあっ
たが、滝沢弘新学長は「これまでの流れを踏襲していく」と前向きの姿勢を示
した。

 委員会の下部組織・ワーキンググループが先月、いったんプランをまとめた。
理、工両学部を一つにし人文、経済、教育の三文系学部を二つにするものだっ
たが、学科に縮小される教育学部を中心に抵抗が根強く、今後の議論のたたき
台の一つとするにとどめた。

 同委員会はあらためて五つの部会を設置。▽管理運営▽学部▽大学院▽教養
教育▽センター−の各部会で構想を練っているが、具体的な案は提示されてい
ない。

□全学で意思疎通−高岡短大

 高岡短大は、教員の有志でつくる「再編統合プロジェクトチーム」を中心に、
想定される課題などを整理している。同大は既に基本方針や学部編成案を示し
ており、三大学での協議開始を待つだけ。小規模な短大だけにメールを活用し、
新大学への考えを自由に述べ合うなど大学全体での意思疎通も深めている。

 富山大、高岡短大は先月中旬、新大学の構想について二大学だけで意見交換
した。学内合意できていない富山医薬大は参加しなかった。各大学関係者から
は「相手がどう考えているか分からない」との声が漏れ、大学間でのコミュニ
ケーション不足も指摘されている。

◇これまでの経過

 3大学の学長は8月中旬、再編統合方針に合意し、同28日に文部科学省に
報告。その後、同方針について学内に諮った。富山大、高岡短大は9月上旬に
了承。富山医薬大では、富山大から移行した経緯のある薬学部を中心に「メリッ
トはどれだけあるのか」などと疑問の声が上がった。学長主導のトップダウン
のやり方への抵抗感もあり、合意形成は大きく遅れ、3大学の足並みに乱れが
生じた。