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教員養成系再編 「生き残り」へ危機感 文科省報告案 高校「進路の幅狭まる」 
.[he-forum 2840] 朝日新聞11/07-up11/7-
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『朝日新聞』2001年11月7日付

 教員養成系再編 「生き残り」へ危機感
 文科省報告案 高校「進路の幅狭まる」

 地元の教育学部がなくなるかもしれない――。教員養成大学や学部の統合を
促す文部科学省の懇談会の報告案を、大学や教育委員会、高校の関係者は厳し
く受け止めた。

 大学

 先月30日、奈良市にある奈良教育大に、関西にある四つの教員養成大(奈良、
京都、兵庫、大阪)の学長が集まった。約2年前から定期的に開いている会合だ。
兵庫教育大はこの9月、「危機感」から加わった。

 再編統合は死活問題だ。文科省の懇談会の内容を全員で検討した。しかし、
生き残る方向は定まらない。

 「現実に再編すれば、予想もつかない混乱が起きる」。会合のあと、兵庫教
育大の中洌正尭学長は言った。

 「予備校が『教育大はもうすぐつぶれる』と指導している」。奈良教育大の
大久保哲夫学長は、こう漏らした。

 東京学芸大の上野一彦・副学長は「全県配置する財政負担に国が耐えられな
くなった中での苦渋の選択」という。

 山梨大、横浜国大と意見交換を進めている。しかし、「一方的に相手を吸収
する考えはとりたくない」と話した。

 一方、広島大の牟田泰三学長は「児童・生徒の減少を考えれば教員養成も縮
小せざるを得ない」と報告案を評価しつつも、将来像について他大学の学長に
情報交換を呼びかけている。

 地域・高校

 山梨県教委は、これまで教員の3〜4割は、地元の山梨大から採用してきたと
いう。現職教員や教員OBに山梨大の同窓組織があり、研究活動もするなど地域
の教育界を支えてきた。しかし、山梨大の教員養成課程の定員は120人で小規
模だ。統合の対象になってもおかしくない。

 「山に囲まれ、地域性が強い。県出身の教員を県内で養成し、地域にあった
教材を考えるなど意味は大きい。東京、神奈川など人の出入りが多い所とは違
います」。県教委は危機感を強める。

 地元の教員養成学部に多くの生徒が進学する高校は「進路選択の幅が狭まる」
と心配する。

 今春、23人が福島大教育学部に進学した県立福島女子高。「自宅から地元大
学に通いたいという希望が多い」と、進路指導担当の教諭は話す。

 栃木県立宇都宮女子高も例年30人程度が宇都宮大教育学部に進む。進路担当
の教諭は、「具体化すれば困る」。大学側からは、「何としても学部を守りた
い。大勢受験してくれないと厳しい」と請われたという。