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☆教員養成、存続か廃止か 横浜国大 
.[he-forum 2825] 朝日新聞神奈川版11/04-11/6up .-

『朝日新聞』神奈川版  2001年11月4日付

 教員養成、存続か廃止か 横浜国大
 
 
 4年前に教育人間科学部に改組されたかつての教育学部の看板が、今でもあ
ちらこちらに残るキャンパス=横浜市保土ケ谷区の横浜国大で

 横浜国大(横浜市保土ケ谷区)で、教育人間科学部から教員養成の課程を廃
止するかどうかの議論が起こっている。少子化の影響で、文部科学省が国立の
教員養成系大学・学部を再編統合する方針を固めたためだ。同大では今月中に
考えをまとめたいとしており、1876年の横浜師範学校以来の横浜国大の歴
史ある課程が、大きな転換期を迎えている。(根本 理香)


 文部科学省が昨年8月に設置した「国立の教員養成系大学・学部の在り方に
関する懇談会」は今月6日、最終報告をまとめる。これまでの1都道府県1教
員養成大学・学部の体制を見直し、より大きいブロックごとに、教員養成を担
当する大学を統合すべきとの内容が盛り込まれるという。

 横浜国大での議論は、こうした国の方針を見越してのものだ。

 同大教育人間科学部によると、今後、同学部を教員養成に特化した教育学部
にして教員養成の課程を存続させるか、97年に新設した地球環境、マルチメ
ディア文化、国際共生社会の3つの「新課程」をもとにした教養学部にして、
養成課程は廃止するかの2つの案が検討されているという。

 存続案を支持する教授らは「教育は今後ますます力を入れていくべき分野。
大学院教育や、現職教員の再教育などで地域と連携にも力を入れてきているの
だから、ぜひ残すべきだ」と訴える。同大の大学院は、現場の教師や教育者を
目指す社会人が通いやすいように、今年4月から昼夜開講制にしたばかりだ。

 しかし、県や横浜、川崎の各市の教員採用に占める同大出身者の割合は、数
%から多くても20%台と多くはない。

 さらに、4年前に新設された「新課程」はいずれも来春初めて卒業生を出す
が、就職内定状況はほぼ8割と上々だ。

 このため、「ようやく軌道に乗り始めた新課程を、この大学で唯一の人文・
社会系の学部として生かしていけばいい」と、廃止案を支持する声も強い。

 また、国立大学の再編統合など文部科学省が進める大学改革では、より専門
性の高い大学院レベルの教育研究が重視されるという。教員養成に特化した場
合、学部4年間の養成が主になるため、「大学の生き残りを考えれば、教養学
部として大学全体の基礎教育をになったほうがバランスがとれる」との意見も
ある。

 渋川祥子同学部長は「どちらに転ぶにしても、痛みを伴う。最終的決断をす
るのは大学だが、できるだけ多くの人の意見を聞いて決めたい」と話している。