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独行法反対首都圏ネットワーク

☆[この人に聞く] 河野伊一郎岡山大学長 
.[he-forum 2824] 朝日新聞岡山版10/13-11/6up .-

『朝日新聞』岡山版  2001年10月13日付

[この人に聞く] 

河野伊一郎岡山大学長
 
 「聖域なき改革」が国立大学にも及んでいる。独立行政法人化、再編・統合
などを盛った「大学の構造改革の方針(遠山プラン)」=注1=が6月に示さ
れた。岡山大はどう変わるのか。河野伊一郎学長に聞いた。

−−国立大学の再編統合に賛成ですか、反対ですか

 「賛成だ。再編統合により、各大学が研究、教育、運営をどうするかを考え、
大学のいい面を出してくると思う。日本の大学は国際社会をリードする認識を
もつべきで、改革しないといけない時期。ただ、99は多いからという単純な
目的なら、再編の必要はない」

−−岡山大の再編統合計画は

 「各学部に連携して博士課程までの大学院が整備でき、日本で上位を争える
教育研究の態勢ができている。このため、当分は他大学との再編統合は考えて
いない。他大学からの話もない。話があれば十分議論して、効果があると判断
できたら進めたい。ただ、カリキュラムの点検や学生アンケートに基づいた外
国語の少人数クラスの導入など、学内の改革を積極的に進めている」

−−「トップ30大学」=注2=育成方針については

 「日本の大学の教育、研究レベルを上げ、国際競争力をつける理念には賛成
だ。単純に30の大学を重点化するのでなく、各大学の活力ある分野を伸ばす
のはいいこと。だが、なぜ30なのか、だれがどう決めるのかなど課題はある」

−−岡山大でトップ30に入りそうな専門分野は

 「3〜5分野くらい。入りそうではなく、入らなくてはならないと思ってい
る」

−−これからの国立大学の在り方について意見を聞かせてください

 「文部科学省と大学が意思の疎通をしながら緊張関係を持って、仕事をする
ことが一番大切。法人化、統合、トップ30などは突如、同省から出てきた感
がある。国立大の在り方は、社会が大学に何を求めているかを理解して、研究
を構築していく必要がある。また、税金を払っている国民に対し、大学がいか
に努力をし、どのような成果を出したかを説明する責任がある。岡山大では、
これまで教官任せだった講義を、大学としてカリキュラムを研究し実行してい
くシステムをつくった。大学が一つのコミュニティーとして機能し、それが教
育研究の活性化につながると考える」


 注1 大学の構造改革の方針(遠山プラン) 文部科学省が大学の効率化、
活性化を促すために示した。(1)再編統合(2)民間経営手法の導入(3)
競争原理を導入し国公私立大トップ30を重点育成、の3点がポイント。「1
県1国立大」にもこだわらないとしている。

 注2 トップ30大学 国際競争力を高めるため、国公立、私立を問わず大
学院を持つ大学を対象に、10の研究・教育分野ごとに文部科学省が30大学
を選ぶ。来年度はまず5分野で決め、予算を重点配分する。

 ■こうの・いいちろう■ 38年9月、滋賀県守山市生まれ。京都大大学院
工学研究科修士課程修了。京大工学部助教授、岡山大環境理工学部教授などを
経て、99年から大学長。環境設計学専攻。