『読売新聞』(Yomiuri On-Line) 2001年11月29日付
東京医科歯科大歯学部が東大との「合併構想案」
国立大学の統合再編と独立行政法人化に向け、東京医科歯科大歯学部(江藤一洋学部長)は、東大との合併を骨子とする将来構想案をまとめ、29日、鈴木章夫学長に報告する。
東京医科歯科大がある都心部は、9つの大学病院が集中、患者の獲得競争が激しい。中でも、いずれも国立の同大病院と東大病院は1・5キロしか離れておらず、両病院の年間赤字額は合計117億円にのぼる。構想は「このままでは小泉改革の中で大学の存在意義が問われかねない」(学内関係者)との危機感から、生き残り策として生まれた。
構想案は、2004年をめどに、歯学部のない東大と合併し、東大内に、既存の医学部のほか、新たに歯学、健康科学部などを設置する。統合により、先端医療から救急医療までの充実をはかる。「医歯系分野のアジアでのリーダーシップの確立」を目標に掲げ、研究での国際競争力の向上を目指す。
同大は今年3月、東大に対抗する形で、東京工業大、一橋大とともに、相互の編入学や複数の学士号取得を認めるなどの3大学協定を結んだ。しかし、歯学部関係者によると、「3大学の将来の合併は困難」と、東大との統合を打ち出したという。江藤学部長は「互いの歴史と伝統を尊重しながら、理念のある将来像を描いた」と説明する。
歯学部案は、鈴木学長が今年7月、医、歯学部など学内6部門に改革案を示すよう指示したのを受けたもの。鈴木学長は「各部門の案が出そろった時点で、上部の評議員会に諮ることになっており、まだ大学としての決定はしていない。私としては、特色ある東京医科歯科大自身をより発展させる方向が第一と考えている」と話している。