『北國新聞』2001年11月29日付
教員養成課程は維持へ 金大再編で県教委と初の懇談
国立の教員養成系大学・学部を現在の半数以下にする文科省懇談会の最終報告を受け、金大と県教委の初の意見交換会が二十八日、県庁で開かれた。山岸勇県教育長が教員養成課程の存続を求め、林勇二郎金大学長も小中学校の教育は地域と密接に関わっているとした上で、「教員養成に効率論を持ち込むのはふさわしくない」と応じ、学部再編の中で同課程を維持する考えをにじませた。
文科省の有識者懇談会では、少子化で教員採用数が減り続けていることから、一県一教育学部の原則を見直し、隣接する二、三の大学・学部を一つに統合する方針も打ち出している。一学部の定員を増やして教員養成の効率化を図るためだ。
林学長は、意見交換の席上、教育学部の具体的な再編論には踏み込まなかったが、学内ではこれまでに学部の縮小、廃止を含めて再編の検討を進めており、学部の”看板”を外して小中学校の教員養成課程の機能を持つ組織を設ける案も浮上している。
金大教育学部は「現段階では、他大との連携や統合は難しい」としている。ただ、富大は富山医薬大、高岡短大、福井大は福井医科大と県内の国立大同士の統合を具体化させており、金大も今後これらの動きをにらみながら、隣県の教育学部との統合も検討のそ上に乗せる考えだ。
意見交換では、山岸教育長が「県の教員養成に金大が果たした役割は大きい」と述べ、同大教育学部出身者が学校現場でも存在感があることを強調した。県教委によると、毎年の採用数の二―三割は同学部出身という。
今回の意見交換会は、金大側が県教委に大学改革の現状を説明したいと申し入れ、開かれた。地域の教育力向上のため連携を進めることも申し合わせた。