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☆教員養成大学 統合圧力を再生のバネに 
. 『山陽新聞』社説  2001年11月17日付-up11/28.-3

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『山陽新聞』社説  2001年11月17日付

◇教員養成大学 統合圧力を再生のバネに

 国立の教員養成系大学・学部に再編統合の圧力が強まっている。文部科学省の懇談会が「一県一養成機関」の原則を転換し、現在の半数以下とする最終報告をまとめたからだ。

 背景には少子化がある。教員の採用数は減り、大学・学部の定員も減少した。報告は、現在四十八ある教員養成系の総入学定員約一万人は維持するものの、再編統合して定員を増やし、効率化と教育内容の充実を図るとしている。

 再編は地域に偏りが出ないよう隣接する二、三の大学・学部を一つに統合する考えだ。報告通りに再編統合が進めば、教員養成系がなくなる「空白県」が生まれる。

 教員養成系の中には、学生数が減って、活力が乏しくなっているところも出ている。統合によって活気と充実した教育力を取り戻す必要性は理解できる。少子化に対応した改革は欠かせない。

 しかし、報告は効率を重視しすぎているのではないか。「まず再編統合ありき」が透けて見える。

 各地の教員養成系大学・学部は、地域を支える人材を輩出してきた。教育研究の中核としての機能も担ってきた。「空白県」になれば、これまで培ってきた地域との密接な関係が切れる可能性がある。その地の教育力の低下を招きかねない。

 「空白県」には、現職教員の研修のため、インターネットを使った遠隔指導などで対応するというが、地域の不安が解消されるだろうか。

 大学側にとっては大胆な再編統合案に反発するだけでは済むまい。問題を起こす教員が相次いでいるのは、教員の養成方法に欠陥があったとの指摘もある。再編統合圧力を、教員の質を高める再生へのバネとすることが大切だ。