『日本経済新聞』2001年11月23日付
国立教員養成大学再編を提言、文科省懇談会、教育学部半減の可能性、県の枠超え集約へ
卒業生の教員就職率の低下など衰退の危機にある国立の48教員養成系大学・学部について文部科学省の懇談会は22日、「1県1教育学部」の原則を見直し、再編・統合を進めるべきだとの最終報告書をまとめた。現行の総入学定員約1万人は維持する一方で、教員養成機能を県の枠を超えて特定の大学に集約させる。これを受け文科省は教育学部の半減も想定しつつ、来年度中に具体的な再編・統合計画を策定する。
最終報告書はさらに、学部では質の高いカリキュラムで専門知識を持つ教員養成に特化し、大学院修士課程では現職教員の再教育を充実するよう提言した。
文科省が6月に公表した「国立大の構造改革の方針」を受け、すでに地方の総合大と単科大などの間で統合、再編の動きが進んでいる。
報告書は、この動きとは別に各大学に分散している教員養成機能を適正規模に集約するのが狙い。
文科省は各大学に対し来年1月までに具体案を提示するよう指示。今後、各大学の意向を踏まえつつ、教育単科大と総合大の教育学部の再編・統合、単科大同士の統合など様々な可能性を探る。
最終報告書によると、統合した教員養成学部には、教員免許取得を目的にしない課程は設けないことを原則とする。教員養成学部がない大学でも、中学、高校の教師志望の学生が教職科目を学べるよう「教職センター」などの組織を整備。教育学部がない県でも教員の再研修ができるようサテライト教室を設け、インターネットを活用した遠隔教育などを実施するよう求めた。
付属学校については統合する大学に移管する。筑波大、お茶の水女子大、神戸大など教員養成を直接目的としない大学の付属学校については、今日的な教育課題にこたえているかなどを評価し、地方移管や廃止も検討する。