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今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について(案) 
. 今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会.11月7日-

お願い:ワード文書のコピーで、未修正ですので、数字関係が文字化けしています。
正式版は下記のHPに記載されていますので、そちらを参照ください。
<http://www.u-gakugei.ac.jp/~jaue/kondan18-1.pdf>
(独行法反対首都圏ネット事務局)

----------------------------------------------------------------

関係大学の事務局長 殿

1.11月6日の「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会(第18回
)」の検討の概要を貴職あて送付いたします。
 学長・学部長・附属学校関係者等にもお渡しいただければ幸いです。

2.今回は、「報告書(案)」(添付資料1,2)について前回の議論を踏まえ、引
き続き検討いただきました。
 特に重要な検討課題が3点あったため、これを中心に検討いただき、次のとおり整
理することとなりました。

3.検討課題

@「再編・統合後の教員養成担当大学における新課程の取り扱い」(26ページ)
 基本的な考え方は原案どおり(10月24日付け前回メール参照)

A「一般大学の機能:教職センターについて」(31ページ)
 基本的な考え方は原案どおり(10月24日付け前回メール参照)

B「非教員養成学部の附属学校の取扱い」(35ページ)
 案の2を基本とするが、できれば「真に必要なもの」の例示をする。

4.上記の他、いろいろな意見が出ましたが、いずれも文章表現に関係するもので、
再編・統合の基本的な方針に関わるものではありませんでした。

5.なお、他にも意見があれば11月9日(金)までに事務局へ申し出ることとなり
ました。

6.今後の日程
 今回で懇談会を終え、これらの意見を踏まえた最終的な修正は、主査に一任するこ
とで了承されました。
 なお、文章の整理に多少の日程を要するため、正式のまとめをいつ提出するかは、
現時点では未定です(できるだけ早くまとめたいと考えております)。

平成13年11月7日
 文部科学省高等教育局専門教育課教育大学室長 石井 稔

今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について(案)
-今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会ー

 

              

  ○ はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

  (1) 国立の教員養成大学・学部が直面する主な課題等  ・・・・・・・・ 2

  1 主な沿革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

   (1)学部の沿革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

   (2)大学院の沿革 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

   2 直面する主な課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

   (1)力量ある教員の養成の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

   (2)個性、特色を持った教員養成の展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

    (3)実践的な教員養成の実施のための学校現場との連携協力の推進 ・・・・・・・・ 5

   (4)学部における教員養成を巡る現状と主な課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

  (イ) 教員就職率の低下 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

       (ロ)教員養成学部卒業生のシェア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

   (ハ) 教員養成課程の規模の縮小と新課程の増加 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

   (ニ)教員組織の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

    (ホ) 新課程の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

   (5)大学院の充実の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

  (イ) 修士課程の充実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

    (ロ) 現職教員の積極的な受入れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

    (ハ) 新教育大学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

    (ニ) 連合大学院博士課程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

 

  (6)附属学校と大学・学部との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

  (イ) 附属学校の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

    (ロ) 附属学校の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

    (ハ) 大学・学部と附属学校の連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

   (7)抜本的見直しの必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

  (2) 今後の教員養成学部の果たすべき役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・12

 

  1 学部の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

 

  (1)学部教育で身につけさせるべき資質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

 

  (2)教員養成カリキュラムの在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

  (イ) 体系的な教員養成カリキュラムの編成の必要性 ・・・・・・・・・・・・・・13

    (ロ) モデル的な教員養成カリキュラムの作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・13

    (ハ) 各大学における教員養成カリキュラムの創意工夫 ・・・・・・・・・・・・・14

   (3)教員養成学部としての独自の専門性の発揮 ・・・・・・・・・・・・・・・・・14

  (イ) 教科専門科目の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

      (小学校教員養成の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

      (中学校教員養成の場合) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

    (ロ) 教科教育法(学)の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

    (ハ) 教職専門科目の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

 

  (4)成績評価の厳格化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

 

    (イ) 単位制の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

    (ロ) 複数免許状の取得及び修得単位数の現状と成績評価の厳格化 ・・・・・・・・18

   (5)教員養成学部の教員の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

  (イ) 教科専門科目担当教員の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

    (ロ) 教科教育法(学)担当教員の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

    (ハ) 教職専門科目担当教員の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

    (ニ) 教員養成学部にふさわしい教員の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

    (ホ) 教員組織の弾力的編成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

  (6)評価システムの確立 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

   2 大学院の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

   (1)修士課程の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

  (イ) 修士課程で養成すべき能力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

    (ロ) 教員養成学部の修士課程で授与する学位とその内容 ・・・・・・・・・・・・22

    (ハ) 現職教員の再教育のための体制整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

    (ニ) 専修免許状の在り方の見直し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

   (2)教員養成学部における専門大学院の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・24

   (3)博士課程の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

 (3) 今後の国立の教員養成大学・学部の組織・体制の在り方 ・・・・・・25

   1 再編・統合の必要性について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

   2 再編・統合の考え方について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

  (1)再編・統合の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

  (イ) 検討の前提 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

    (ロ) 教員養成課程全体の入学定員及び今後の教員需要への対応 ・・・・・・・・・27

        (ハ) 再編・統合の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

  (2)再編・統合の形態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

  (3)再編・統合後の基本的な枠組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30

  

 (4) 附属学校の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

   1 今後の基本的な在り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32    

   (イ) 大学・学部の研究への協力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32  
    (ロ) 教育実習の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

  2 同一学校種複数学校等、附属学校の規模の見直し ・・・・・・・・・・・34

  3 学部の再編・統合に伴う附属学校の在り方 ・・・・・・・・・・・・・・ 34

   (1)附属学校の機能の見直し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

   (2)教員養成学部の附属学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

   (3)非教員養成学部の附属学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

   (4)再編・統合に伴い一般大学となる大学・学部の附属学校の取扱い ・・・・・・・35

  (5)附属学校の点検・評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

   (6)独立採算制の学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36


                                

 

 今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について(案)

 ?国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会?

                               

○はじめに

 

1、 「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」は、平成12年8月に設 置され、文部科学省(当時文部省)から、教育現場で生じている困難な課題や新たな 教育課題に的確に応えられる力量ある教員を養成していくため、長期的観点に立った 国立の教員養成系大学・学部の在り方に関し、検討するよう依頼された。

 

2、 同年8月28日に第1回会議を開催して以来、今までに○○回の会議を開催し、検 討を重ねてきたが、その際、特に次のことを基本において議論を進めてきた。

 ・ 我が国の社会が大きく変化するなか、学校教育の諸改革が喫緊の課題となってい  るが、その成否を左右するのは教員である。教員養成の重要性にかんがみ、将来を  見通して、国立の教員養成大学・学部が果たすべき機能の充実を図る観点から検討  すること。

  開放制の教員養成の中で、一般学部における教員養成と教員養成学部における教  員養成とでは、その在り方は必ずしも同じとはいえない。一般学部における教員養  成の在り方は、別の観点からの検討が必要であるという前提のもとに、本懇談会は、  教員養成を目的とする国立の教員養成大学・学部の在り方の観点から検討すること。  教員養成の在り方や教員養成大学・学部の果たすべき役割については、今まで教

   育職員養成審議会(現中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会)等におい

   

  10日までの3次にわたる答申は、教員養成大学・学部の在り方に大きく関係する  ものであるが、本懇談会においてはできるだけそれらとの重複を避け、国立の教員  養成大学・学部独自の観点から検討すること。

 

(i? なお、現在、国立大学の法人化の検討のほか、大学の構造改革の一環として、国立 大学の再編・統合の検討が進められている。教員養成大学・学部も国立大学の組織の 一部として、当然これらの改革とも深く関係するものであるが、ここでは、それらの 動向は直接検討の対象とせず、教員養成の今後の在り方という観点から検討したもの である。

 

? 本懇談会としては、精力的に検討を重ね、ここに今後の国立の教員養成大学・学 部の在り方についての検討結果をとりまとめた。今後、文部科学省並びに関係大学・ 学部において、この報告書を踏まえ、早急に改革に取り組まれることを期待する。

 

 

 

(1) 国立の教員養成大学・学部が直面する主な課題等

 

1 主な沿革

 

(1)学部の沿革

  国立の教員養成大学・学部(以下「教員養成学部」という。)は、昭和24年の新

   制大学発足と同時に、開放制の教員養成(特定学部だけでなく、一般の学部でも一

   定の要件を満たし、課程認定を受けることにより、教員免許状を付与することがで

   きる制度)の下、「各都道府県には必ず教養および教職に関する学部もしくは部を置

   く」という方針(国立大学設置の11原則)に基づき、学芸大学・学部26、教育

   学部20で発足した。このうち、学芸学部は教養教育と教員養成の目的を併せ持つ

   学部として設置されたものである。

 

 ○ 専門職業としての教員に求められる高い資質の育成と計画的な教員養成の必要性  等から、昭和33年には中央教育審議会から、各都道府県に教員養成を目的とする  教育大学・教育学部を設けるという趣旨の答申が行われ、昭和41年度と42年度  にかけて、すべての学芸学部が教育学部に改組された。

 

 ○ 昭和41年度から55年度にかけて、教員養成学部において、当時のいわゆるベ  

  2,100人の増を含め、約5,100人の入学定員の増が行われた。

 

 ○ さらに、教員養成学部の教育研究体制の充実を図るため、教科教育の分野を中心  に教員の計画的な整備を行うなど、昭和41年度から55年度にかけて教員定員約  1,200人の増員が図られた。

 

 ○ 昭和53年度から56年度にかけて、主として大学院における現職教員の研鑽を  目的とするいわゆる新教育大学が3大学設置された。これらの大学は大学院に重  点を置いた大学であるが、学部教育における実践的な教員の養成のためのカリキュ  ラム開発を目的として、学校教育学部が置かれた。

 

  教員就職率の低下に伴い、昭和62年度から教員養成課程の一部を、教員以外の  職業分野への進出の人材や高度のい教養と柔軟な思考力を身につけた人材を養成す  ることを目的とした課程(以下「新課程」という。)への改組が行われた。その結果、  昭和61年度には約2万人であった教員養成課程の入学定員が平成9年度には約  1万5千人に縮小された。その一方で新課程が拡大し、現在48学部のうち44  の学部に設置されている。これにより、教員の目的養成という教員養成学部の性格  や教員組織の在り方等に新たな課題を提起することとなった。

 

 ○ 平成4年度には、神戸大学において教育学部を教員養成を目的としない学部であ  る発達科学部への改組が行われた。また、平成8年度に佐賀大学において教育学部

  を文化教育学部に改組したのをはじめとして、9大学において教育学部を複合名称

  の学部に改組している。ただし、これらの9学部は教員養成を目的としない学部に

  なったわけではなく、教員養成課程を置いているのが特徴である。また、平成12  年度には広島大学において、それまでの昭和53年度に分離した教育学部と学校教  育学部を統合し、教育の理論と実践の結合を目的とする新たな教育学部への改組が  行われている。

 

 ○ 少子化の影響を受け、教員養成課程の一部を新課程へのに改組した後も、教員養  成学部卒業の教員就職率が年々減少してきたため、平成10年度から12年度  までの3年間に教員養成課程全体の入学定員が約5千人削減され、全体で現在、約  1万人の体制となっている。

 

 ○ 平成10年に、現在の学校現場の状況にかんがみ、今まで以上に教員としての使  命感を持ち、教員にふさわしい人材を養成するため、教職に関する科目について修  得単位数の充実や選択履修方式を導入することを目的として、教育職員免許法(以  下「免許法」という。)の改正が行われた。

 

(2)大学院の沿革

 ○ 教員養成学部の大学院は、他学部に比べ発足が遅く、昭和41年度に東京学芸大  学にはじめて修士課程が設置された。

 

 ○ 昭和53年度から56年度にかけて、主として現職教員に対し、学校現場におけ  る具体的な課題に対応できる高度で実践的な能力を身につけさせるため、地方公共  団体からの派遣による現職教員を大学院修士課程に受け入れることを目的として、  いわゆる新教育大学が3大学設置された。

 

 ○ 昭和63年に免許法が改正され、修士課程において深い研鑽を積み、特定の分野  についてより高度の資質能力を備えた者を教育界に迎え入れるとともに、現職教員  の研修意欲を促進することを目的として、それまで修士課程修了レベルの免許状

  (当時は「一級免許状」)は高等学校に加えだけであったものを、すべての学校種に  修士課程修了レベルの拡大し、新たに専修免許制度が設けられた。

 

 ○ 東京学芸大学に修士課程が設置されて以来、いくつかの教員養成学部に修士課程  が設置されてきたが、専修免許制度の創設や現職教員の再教育ニーズの高まりを  受けて、平成元年度以降各教員養成学部における修士課程の整備が急速に進み、  平成8年度にはすべてに修士課程が設置されるに至った。

 

 ○ これまで教員養成学部の教科専門を担当する教員の多くは、他の一般学部の出身  者で占められていたが、教員養成学部の博士課程において自ら各教科の専門や教科  教育学の分野における実践的かつ高度の研究能力を有するし、将来教員養成学部の  教員となる人材を養成し、教員養成学部に送り出ことなどを目的として、平成  8年度に東京学芸大学及び兵庫教育大学に連合大学院方式による博士課程が設置  された。

 

  教員養成学部の修士課程は、現職教員の資質の向上のため、現職教員の再教育  行うという目的を併せ持っていることが特徴であり、現在、すべての修士課程で地  方公共団体の派遣制度に基づく現職教員を受け入れている。また、このため多くの  修士課程で大学院設置基準第14条に基づく教育方法の特例を実施しているが、こ  の他にも働きながら学ぶ現職教員のために、専ら夜間において教育を行う大学院も  増加してきている。

 

 ○ 以上のような変遷をたどり、現在、11の単科大学と37の総合大学内の学部を  合わせて48の教員養成学部がすべての都道府県に設置されている。

   教員養成学部は、開放制の教員養成制度の中で、教員養成を目的に教育研究活動  を展開する専門学部(目的養成)として、義務教育諸学校とりわけ小学校教員を中  心とする計画的な養成という役割を担うこととされい、これまで我が国の教育  界において、中心的な役割を果たす教員を多数輩出するとともに、現職教員の再教  育の機会の提供に大きく貢献してきている。

 

 

2 直面する主な課題

 

(1)力量ある教員の養成の必要性

 ○ 社会のあらゆる分野におけるグローバル化の進展や科学技術の著しい発展、ある  いは少子高齢化社会の到来等が社会生活に大きな影響を与えているなど、我が国を  取り巻く状況は大きく変化している。このような中、変化の激しい社会を生きてい  く力を備え、これからの時代を切り拓いていく人材の育成が今後の我が国の重要な  課題であり、教育の分野においては特にこれへのける的確かつ速やかな対応が強く  求められている。

 

 ○ 一方、学校現場では、伝統的な学力観の変化、教科の背景となる学問分野すなわ  ち知の体系の変化、従来の教育の秩序の崩壊など、大きな変化が生じており、この  ことが学校現場での様々な課題を生み出す原因ともなっている。

 

 ○ 学校教員には、社会の変化や子どもたちを取り巻く環境の変化を的確にとらえ、  子どもたちの教育に適切に反映させていくことが求められており、教員養成の専門  学部である教員養成学部に対しては、学校現場を引っ張っていくリードし、我が国  の教育界の中核となるべき心的役割を果たすような力量ある教員の養成が強く求め  られている。

 

(2)個性、特色を持った教員養成の展開

 ○ これまで国立の教員養成学部は、原則として1都道府県1教員養成学部という  配置の下、各学部ともほぼ等質的な教育研究体制で教育研究が行われてきたが、今  後、多様な能力を有する教員を養成していくためには、これまでの横並び的な教員  養成の在り方から脱却して、それぞれの学部が個性、特色を発揮した教員養成を展  開していくことが望まれる上記の期待に応えうる優秀な教員を養成していくために  は、これまでの横並び的な教員養成の在り方から脱却し、それぞれの学部が、自ら  の専門的立場に立脚した識見により、社会の変化や子どもたちを取り巻く環境の変  化を的確にとらえた教員養成カリキュラムを編成し、教員としての専門性の育成と  発展に不断に努力していくことが求められる

     そうした努力が結実して、多様な教員養成学部から、多様な能力を備えた教員を  輩出し、個性豊かな教員社会を形成する役割を発揮することが望まれる。

 

(3)実践的な教員養成の実施のための学校現場との連携協力の推進

 ○ 様々な問題を抱える学校現場で、適切に対応できる実践的な能力を持った教員を  養成するためにも、また、学校現場の課題解決を支援していくためにも、教員養成  学部としてはこれまで以上に学校現場と連携協力し、種々の取り組みを推進してい  くことが必要となっている。

 

(4)学部における教員養成を巡る現状と主な課題

 ○ 以上のよう教員養成の充実強化への対応が強く求められているが、教員養成  学部を取り巻く状況には、次のような厳しいものがあり、教員養成に携わる教職員  が自信を持って、より生き生きと諸課題に取り組んでいくためには、新たな対応が  必要となっている。

 

 ?教員就職率の低下

  ○ 教員養成学部は、教員養成の専門学部として、地域の学校に優秀な人材を輩出   してきた。昭和50年代は約2万人の入学定員を擁し、卒業の教員就職率も   8割近い数字を示していた。

 

  ○ しかし、少子化の影響を受け、昭和50年代後半から教員就職率が減少し、   和60年度には65%に平成7年度には5割を下回り、平成12年3月には   33.7%まで低下してきている。

       なお、前述の教員養成課程の5千人削減完了後の入学者が卒業する平成16年   度には、教員就職率が6割程度に改善されることが期待されている。

 

 ?教員養成学部卒業生のシェア

   ○ 公立学校の教員採用者に占める教員養成学部(教員養成課程)卒業者の割合は、   小学校で60.1%、中学校で37.6%、高等学校で14.7%であり(平成   12年3月卒業者)、この率に近年大きな変化はない。

 

   ○ 開放制の趣旨からいって、様々な学部の卒業者が学校現場にいることは望まし   いことであるが、教員養成学部に対しては、優秀な教員を養成することにより、   教員就職率の向上やシェアの拡大が図れるよう、努力することが求められる。

 

 ?教員養成課程の規模の縮小と新課程の増加

  ○ 教員養成課程の入学定員は、新課程への改組が始まる直前の昭和61年度には   約2万人であったが、少子化の影響を受け、その後年々減少してきており、平成   

   6,180人であり、学部全体の入学定員15,930人のうち38.8%を占   めている。

 

   ○ これに伴い、新課程の入学定員が教員養成課程の入学定員と同じ、あるいは上   回っている大学が13大学にのぼっており、教員養成を目的として教育研究活動   を展開する学部としての基本的な性格が揺らいでいるとの指摘もあるところであ   など、今後の在り方が改めて問われている。

 

   また、各学部ごとにみると、大学によって差があり一様ではないが、教員養成   課程の入学定員が少ない学部が相当数生じてきている(例えば教員養成課程の入   学定員100人以下の学部が16学部、101人?200人の学部が16学部で、   それぞれ全体の3分の1ずつにのぼっている。)。これに伴い、例えば次のような   問題が生じてきている。

    ・ 日常の様々な教育研究活動において学生の活力を引き出すためには一定の    規模が必要であるが、規模が小さいためそれが困難となってきている。

    ・ 入学者選抜に当たって前期日程、後期日程、推薦入学に分けて募集すると、    中学校教員を養成する課程の場合、教科によっては募集単位が数人になるなど    極端に少なくなることがあり、入学者選抜にも支障が生じてきている。

 

 ?教員組織の現状

  ○ 教員養成学部は、主として義務教育諸学校の教員養成を行っており、小学校及   び中学校の10教科の教員免許に対応する教員をそろえるだけでも相当数の教員   

   85名、これに幼稚園と特殊教育の専攻が加われば95名の教員が必要)であり、   多くの教員養成学部では、この最低基準を若干上回る程度の教員組織となってい   る。

    このような現状では、各教員養成学部の教員組織とも等質的なもの教員組織に   ならざるを得ず、工夫と特色をこらした教育課程を編成多様な教育内容・方法を   盛り込んだ教員養成カリキュラムを編成し、幅と厚みのある充実した教育研究を   展開することが困難となっている。

 

   ○ 今後、教員養成学部が新たな教育課題に積極的に取り組むとともに、個性を発   揮する幅と厚みのある教育研究を推進していくためには、なお相応の教員数が必   要となってくるが、厳しい財政状況の下、多くの大学では、今以上の教員の増加   を図っていくことが困難な状態にある。このため、1学部当たりの教員組織の充   実を図っていくための方策を検討していくことが求められる。

 

   ○ また、教員養成学部がどのような目的・理念の下で、どのようにして教員養成   を行っていくかということやカリキュラムの在り方等に関して各教員のコンセン   サスが不十分であり、そのことが教員養成学部としての特色や独自性の発揮に影   響を及ぼしている専門的な立場を明確にし、教育全体のまとまりと特性を発揮し   ていく上で大きな障害となっている

 

 ?新課程の位置付け

  ○ 前述のように、新課程の入学定員は教員養成学部の入学定員の約4割に達して   いるが、その内容をみると次のように大別できる。

    ・ 環境教育、情報教育、国際理解教育、カウンセリング能力・マインドの育成    等教員の職務に密接に関連するに必要とされる分野

    ・ 生涯教育、社会教育、生涯スポーツ学校教育に関連する指導者の養成等    広い意味での教育関する分野

    ・ 社会福祉、地域科学等地域の企業や公共機関で必要とされる人材養成に    関する分野

    ・ 芸術文化、総合科学、国際文化等教養に関する分野

 

  ○ これらの新課程に対しては、次のような好評価がなされている面もある。

   ・ もともと教員養成学部は、教員志望の者だけでなく、広く地域の高校生の進    学希望に応えてきたが、新課程の設置によって更に多様な進学希望に応えられ    るようになった。

   ・ 新課程の設置によって、多様な授業科目が開設され、それが教員養成課程の    学生にも提供されることにより、教員として求められる幅広い知識や教養を身    に付けさせるのに役立っている。

 

  ○ 他方で、新課程に対しては、次のような問題点も指摘されている。

    ・ 教員養成を目的としない課程の設置によって、教員養成の専門学部としての    性格があいまいとなっている。

    ・ 同一の教員が教員養成課程と新課程の両方を担当しているため、学生に対す    る教育研究指導の責任体制が双方において不十分となっている。

   ・ 教員養成学部の教員の中には、ややもすると教員養成という目的に関心が薄    い者がいるが、教員養成を目的としない課程が設置されたことによって教員    の教員養成への求心力を失わせている。

    ・ 新課程は、もともと既存の教員組織の範囲で教育課程を編成し、教員養成学    部の中に置かれているため、設置の趣旨が十分に発揮されていないケースがあ    る。また、その課程の今後の発展という点において限界がある。

 

  ○ 新課程のこれまでの実績を踏まえて、それぞれの新課程の性格をより明確なも   のにし、設置の趣旨をより発展させていくためには、教員養成学部の組織として   設置してくことが適当かどうかを検討すべき時期に来ているといえる。

 

(5)大学院の充実の必要性

 ○ 大学院、特に修士課程については、より高度な専門性を有する教員を養成すると  ともに、現職教員の受入れを推進していくため、質、量ともに充実していくことが  求められている。

 

 ?修士課程の充実

   ○ 学校現場で生じている課題はますます多様化、複雑化してきており、専修免許   状を持った資質の高い教員の拡充が求められている。おり、修士課程において、   このような資質の高い教員を養成していくことが求められている要請に応えてい   く必要がある

 

  ○ 学部段階では、教員として通常必要とされる資質能力を育成することを基本と   しており、それに加えて高い専門性や特定分野に強い教員を養成していくために   は、修士課程で対応していく必要がある。専門的な知識を備え、学校現場が抱え   る問題に積極的に取り組む中核的教員の養成はますます重要となっており、今後   とも修士課程を一層充実していくことが必要である。

 

 ?現職教員の積極的な受入れ

   ○ 現職教員については、体系的で効果ある研修を目指して、その年齢や経験の各   段階に応じて、例えば、学校現場における研修、地方公共団体の教育センター等   における研修、大学の修士課程における研修など様々な形での研修が行われてい   る。

       教育職員養成審議会第3次答申「養成と採用・研修との連携の円滑化について」   (平成11年12月10日)においても、現職教員としての資質の向上を図るた   め、研修の見直しや充実の必要性が指摘されているが、その中で特に大学に対し   ては、教員研修プログラムの研究開発や実施体制の整備の必要性が指摘されてい   る。

 

   ○ 現職教員に対する研修の面からみると、教員養成学部の修士課程においては、   主として教員の資質向上を図るため専修免許状の取得を目的としているが、学校   現場で様々な問題意識を持った現職教員を積極的に受け入れていくことは、教員   としての資質の向上に資するだけでなく、修士課程そのものの活性化にもつなが   っていくものである。

 

   ○ 同答申にも指摘されているように、今後の研修に当たっては個々の教員の自発   的・主体的な研修意欲に基づいた研修を奨励し、そのための支援体制を整備して   いくことが必要である。

 

   ○ 教員養成学部の修士課程の現状をみても、以前は地方公共団体の派遣によるも   のが主であったが、近年は自らの意志で大学院に入学してくる現職教員が増えて   きている。これに伴って、教員が職務に従事しつつ、自らの意志で大学院教育を   受けることができるよう、各大学においては、履修形態の弾力化等実施体制の一   層の充実を図っていくことが必要とされている。

 

 ?新教育大学

   ○ いわゆる新教育大学3大学は、現職教員に対して、大学院(修士課程)におけ   る高度の学習・研究の機会を提供し、理論的、実践的な能力の向上を図っていく   ことを目的として設置され、主として地方公共団体からの派遣制度に基づく教員   を大学院に受け入れ、現職教員の再教育の推進に大きな役割を果たしてきている。

 

   ○ これらの大学が、2年間の派遣制度により、体系的で充実した教育指導を行い、   十分な力量をつけた上で、学校現場に復帰させていくことの意義の重要性は変わ   るものではない。

 

   ○ 他方、当該大学が設置された当時は、他の教員養成大学の修士課程の数は限ら   れていたが、その後、逐次整備が進められ、現在ではすべての大学に修士課程が   設置されている。

    各大学においても、大学院設置基準第14条に基づく教育方法の特例を利用し、   1年目はフルタイムで通い、2年目は学校現場に復帰し、働きながら指導を受け   るという形態を中心に、現職教員の受入れが積極的に進められているところであ   る。

 

  ○ このように、それぞれの大学に修士課程が置かれたため、教員側も学校現場を   離れずに大学院教育を受けたいという志向が増えてきていることも影響し、新教   育大学における現職教員の受入れ数は減少傾向にある。

 

   ○ このため、新教育大学については、現職教員の再教育の中心的機関としての基   本的性格に留意しつつも、上述のような状況の変化を踏まえて、今後の在り方を   検討していくことが必要となっている。

 

 ?連合大学院博士課程

   ○ それまで教員養成学部の教員の多くを他学部出身者に頼っていたが、教員養成   学部においてこれを養成することによって、教員養成学部の独自性や専門性を高   めていくことを目指し、平成8年度に東京学芸大学及び兵庫教育大学に連合大   学院方式で設置された博士課程が設置され、関係者において目的の実現のため様   々な努力が重ねられている。この博士課程はについては、平成11年3月に最初   の修了者が出て以来、今まで3回の修了者を送り出しているが、まだ歴史が浅い   ことなどもあり、その就職状況が必ずしも順調でない現状にある。今後、設置の   趣旨を生かしていけるよう、就職状況の改善を図るとともに、教育研究の充実   を図っていくことが求められる。

 

(6)附属学校と大学・学部との連携

 ○ 国立大学の附属学校については、我が国教育界で大きな役割を果たしているとの  評価がある一方、附属する大学・学部との関係が希薄な学校もあり、本来の附属学  校としての目的が達成されていないのではないかという指摘がある。

 

 ?附属学校の目的

  ○ 大学設置基準において、教員養成学部には附属学校を置くことが義務づけられ   ており、現在、国立大学においては、すべての教員養成学部に小学校、中学校が、   ほとんどの教員養成学部に幼稚園、養護学校が、いくつかの教員養成学部には高   等学校が、合わせて230校設置されている。

    また、教員養成を目的としない大学・学部(以下「非教員養成大学・学部」と   いう。)にも29校の附属学校が設置され、現在、附属学校は合わせて259校と   なっている。

 

  ○ これらの附属学校は、現在「その附属学校が附属する国立大学又は学部におけ   る児童、生徒又は幼児の教育又は保育に関する研究に協力し、及び当該国立大学   又は学部の計画に従い学生の教育実習の実施に当たる」ことを目的としている(国   立学校設置法施行規則第27条)。

 

 ?附属学校の現状

  ○ このうち、「学部における教育に関する研究に協力」という目的に関してみると、

   ほとんどの大学では大学・学部の教員と附属学校の教員の共同研究にとどまって   おり、附属学校の児童、生徒、幼児が大学・学部の教員の研究に協力する形で十   分活用されているとはいえない状況にある。

 

  ○ その背景としては、次のようなことがあげられる。

   ・ 大学・学部の教員が、附属学校を必要とするような研究にあまり取り組んで    いないこと。

   ・ 附属学校の側に、附属学校は通常の学校教育を行いながら頻繁に教育実習や    附属学校独自の研究開発を行っており、そのうえに大学・学部の研究に協力す    ることは、子どもたちの教育に支障を来たすという意識が附属学校の側にある    こと。

   ・ 附属学校の教員人事が、都道府県等の教育委員会の公立学校の教員人事の一    環として行われているケースが多いため、附属学校が大学・学部の組織の一    部であるという認識が薄いこと。

   ・ 附属学校の教員数は、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準    に関する法律」に定める標準数ぎりぎりであり、かつ、1学級当たりの児童、    生徒数が40人となっていることから、附属学校の側が協力する余裕に乏しい    こと。

 

  ○ 教育実習については、概ね良好に行われているが、一部に、1教室当たりの実   習生が多すぎ実習が形式化している、学部の側が実習生を附属学校に預け放しで、   実質的な指導が十分に行われていないなどの批判がある。

 

  ○ なお、附属学校自体は様々な教育課題について率先して研究開発を行い、研究   会などを通してその成果を公表している。そのことが地域において指導的あるい   はモデル的学校としての一定の評価を得ており、附属学校の1つ一つの機能・役   割として定着しているという実態もある。また、地域の公立学校との人事交流を   通じ、公立学校教員の研修にも役立っている。

 

 ?大学・学部と附属学校の連携

   ○ 教員養成学部の附属学校については、実践的で力量ある教員を養成していくた   め、大学・学部と連携して、実践的な教育研究の場としての活用や教育実習の面   で改善を図っていくことが求められる。

 

   ○ また、非教員養成大学・学部の附属学校に対しては、今後大学・学部と連携し   て、国として先導的に取り組むべき教育当該大学・学部の教育研究上真に必要な   課題に対応していくことが期待されている。

 

(7)抜本的見直しの必要性

 ○ 学校教育が大きな改革を迫られている中、改革に率先して主体的に取り組んでい  く教員が求められている。今後とも我が国の教員養成の中核的存在として、これま  で述べたような直面する諸課題に早急、適切に対応するため、国立の教員養成大学  学部の責務は大きく、格段の充実を図っていくことが必要である。

   しかしながら、現状のままでは、その実現が種々困難な状況にあり、今後の我が  国における教員養成の機能の衰退が危惧されるところである

 

 ○ また、沿革の項で触れたように、新課程の拡大や複合学部への改組等教員養成学  部自体も社会的状況の変化の中で質的に変容してきている。このような経緯の中で、  現在の教員養成学部全体の教育研究の質一層の向上を図るという観点から高め  るため、教員養成の機能強化への対応するとともに、新課程がこれまで果たして  きた実績を踏まえ、それをより発展させていくという点からの検討も必要となっ  てきている。

 

 ○ このようなことから、直面する課題に早急かつ適切に対応していくためには、  それぞれの大学において、附属学校との関係を含め、学部、大学院の在り方につい  て根本的な検討を行い、改革を進めることはもちろんであるが、今後の国立の教員  養成大学・学部の機能を充実強化するとともに、教員養成課程及び新課程それぞれ  が担うべき役割を明確にしつつ、更なる発展その充実強化を図っていくという観点  からため、長期的な視点に立って全体的な組織・体制の在り方について、抜本的  に見直していくことが必要となっている。

 

 

 

? 今後の教員養成学部の果たすべき役割

 

1 学部の在り方

 

(1)学部教育で身に付けさせるべき資質

  今後の教員に求められる資質能力については、教育職員養成審議会第1次答申「新

   たな時代に向けた教員養成の改善方策について」(平成9年7月28日)に詳しく述

   べられている。そこで述べられていることは、一般学部における教員養成にも該当

  するものであるが、教員養成の専門学部である教員養成学部には、特に努力が求め

  られる事柄である。

 

 ○ 現在、学校現場には、前述したような社会や学校を取り巻く大きな変化の中で、  例えば次のような様々な課題が山積しており、これらに対する教員の果たすべき役  割はかつてなく大きくなっている。

  ・ 自ら学び自ら考える力など生きる力の育成

  ・ 総合的な学習の時間、ゆとりの中での特色ある教育、心の教育の推進

  ・ 情報教育、環境教育、国際理解教育の推進

  ・ いわゆる活字離れ、理科離れへの対応

  ・ いじめ、不登校、いわゆる学級崩壊への対応、カウンセリング能力・マインド   の育成

 

 ○ 前述の第1次答申において、養成段階で修得すべき最小限必要な資質能力として

  「採用当初から学級や教科を担任しつつ、教科指導、生徒指導等の職務を著しい支  障が生じることなく実践できる資質能力」をあげているが、教員養成学部に対して  は、基本的な資質能力の育成はもちろんのこと、昨今の種々の学校現場の様々な課  題に取り組んでいくことができる力量ある教員の養成が期待されている。

 

(2)教員養成カリキュラムの在り方

 ?体系的な教員養成カリキュラムの編成の必要性

  ○ 教員養成学部は、全教科を担任する小学校教員と10教科にわたる中学校教員   を養成していることから、それに必要な各教科の専門科目、教科教育法(学)及   び教職専門専門科目が開講されており、他学部に比べ幅広い専門分野で構成さ   れている。

 

  ○ 他方、教員養成の在り方として、教員養成学部内においても従来からいわゆる   アカデミシャンズ(学問が十分にできることが優れた教員の第一条件と考える   人達)」エデュケーショニスト(教員としての特別な知識・技能を具えること   こそが優れた教員の第一条件と考える人達)」との対立があり、それぞれの教科専   門の教育指導の基本方針が、分野によりあるいは教員により違うという傾向があ   る。

    特に、小学校教員養成において、わずか数単位である小学校の教科専門科目に   どのような内容を盛り込むべきかという教員養成学部独特の課題についても、共   通認識が薄かった面がある。そのことが、教員養成カリキュラムの共通の目的性   に欠け、ややもすると学生に対する教育が教員個々人の裁量に委ねられているの   ではないかとの批判につながっている。

 

  ○ 将来教員になるべき学生に、幅広くいろいろな専門分野の専門を体系的に教育   するとともに、教員としての実践的な能力を育成していくためには、教員養成学   部の教員が、教員養成という目的意識を共有し、体系的なカリキュラムを編成し   ていくことが不可欠である。その際、学内に教員養成のカリキュラムの在り方を   検討するための組織を作っていくことも有効と考えられる。

 

 ?モデル的な教員養成カリキュラムの作成

  ○ 前述のように、教員養成における体系的なカリキュラムは、教員養成に携わる   教員の間において必ずしも確立しているとはいえない状況ある。教員養成に   関する共通的な認識を醸成し、教員の質を高めていくためには関係者においてモ   デル的な教員養成カリキュラムを作成することが効果的と思われる。

 

  ○ 現在、医学部や歯学部におけるモデル・コア・カリキュラムの作成や、工学部   における技術者教育プログラムの認定制度の導入など、それぞれの分野におい   て教育の質の向上に向けて様々な試みがなされている。教員養成学部についても、   速やかに日本教育大学協会を中心として速やかに教員養成のモデル的なカリキュ   ラムを作成し、各大学はそれらを参考にしながら、自らの学部における特色ある   教員養成カリキュラムを作成していくことが求められる。

 

 ?各大学における教員養成カリキュラムの創意工夫

  ○ 各教員養成学部は、モデル的な教員養成カリキュラムを参考にしつつ、学部自   らの学部に適した特色ある判断に基づいた教員養成カリキュラムを編成していく   ことが求められるが、その際、特に次のような項目について、教員によって区々   にならないよう一定の指標を共有することが望ましい。

   ・ 授業の内容(目的・目標、範囲、レベル)及び方法

   ・ 学生が修得すべき知識・技術の内容

   ・ 成績評価の基準と方法

 

  ○ また、各大学が教員養成カリキュラムを作成する際、特に留意しなければなら   ないことは、教員養成は単なる教育方法のテクニックの修得を目的とするもので   はなく、子どもの成長と発達に対する深い理解と教科に関する専門知識に基づい   て行うものでなければならないということである。

 

  ○ なお、幅広い人間性の涵養や社会的視野を広げるため、他大学との単位互換や、

   他学部の授業科目の履修、各種社会体験の奨励なども積極的に検討すべきである。

 

  ○ 教員養成カリキュラムの在り方については、今日まで日本教育大学協会や国立   大学協会、日本教育学会をはじめ、様々な団体、個人から提案がなされ、一定の   成果があがっている面もないではない。我が国の教員養成の質的向上のため、今   後とも関係団体や関係者において様々な研究ができるだけ速やかに進められるべ   きである。そして何よりも必要なのは、各大学において力量ある教員を養成する   ための特色ある教員養成カリキュラムの編成について創意工夫がなされ、それが   実践されることである。また、国は、そのための支援措置を積極的に講じていく   必要がある。

 

  ○ 各大学においては、それぞれが個性・特色を持ったの判断に基づいた教員養成   を行っていくため、それぞれが養成を目指す教員像を明確にし、それに基づき、   次に示す教科専門、教科教育法(学)、教職専門の各科目を体系的に組み合わせる   とともに、幅広い人間性や主体的な判断力など、これからの教員に求められる資   質能力を育成するために、他大学や他学部とも協力して、幅広い選択科目を用   意するなど、それぞれの独自性を発揮した魅力ある教員養成カリキュラムを編成   すべきである。

 

(3)教員養成学部としての独自の専門性の発揮

 ?教科専門科目の在り方

  ○ 学校教育は様々な活動からなるが、「教科の授業」を中心に展開されていること   は論をまたない。学校の教員は、授業を通し子どもたちの能力を引き出し、個   性を育てる努力が求められており、教員養成学部における教員養成において、教   科専門科目にどのような目的・内容・方法を持たせるかが重要な意味を持ってい   る。

 

  ○ 教科専門科目の分野は、理学部や文学部など一般学部でも教育されている。教   員養成学部の独自性や特色を発揮していくためには、教科専門科目の教育目的は   他の学部とは違う、教員養成の立場から独自のものであることが要求される。   れがどのようなものであるかについて、必ずしも共通認識は得られていがあるわ   けではないが、学校の教員が教科を通して教育活動を展開していくということを   考えれば、「子どもたちの発達段階に応じ、興味や関心を引きだす授業を展開して   いく能力の育成」が教員養成学部の教科専門科目に求められる独自の専門性であ   といえよう

 

    各大学・学部において、一般学部とは異なる教科専門科目の在り方についての   研究が、各大学・学部においてより推進されることが望まれるところである

 

 (小学校教員養成の場合)

  ○ 小学校は、人間が成長していく過程で、子供から少年へと成長し、人格を形成   していく最も重要な時期である。子供一人一人の成長にも個人差があり、小学校   教員にはそれに対応した教育が求められている。大学において小学校教員を養成   する場合、学生にこのような資質能力を身に付けさせることが必要である。

 

  ○ 小学校教員を養成するために、教科専門科目としてどのようなことを教授すべ   きかについては、免許法において具体的に定められているわけではない。したが   って、各大学でその内容を研究し、構成していかなければならない。例えば「理   科」を考えた場合、物理学、化学、生物学、地学をそれぞれ区々に教授するので   はなく、大学教員が協力して「小学校理科」という大学レベルの科目を構築し   ていくことが求められる。

 

  ○ 小学校教員養成のための教科専門科目の在り方については、従来から様々な議   論があるが、小学校における教育の特性を考えると、教科専門(何を教えるか)   と教科教育(如何に教えるか)の分野を融合した結びつけた分野を新たに構築し   ていくことが考えられる。その在り方を研究するのは、教員養成学部をおいて他   にはなく、教員養成学部が独自性を発揮していくためにも率先して取り組まなけ   ればならない分野であり、それを構築していくことが教員養成学部の特色の発揮   につながっていくと考えられる。

 

  ○ 現在、ほとんどの小学校教員免許を取得する学生のほとんどがいわゆるピー   ク制(全教科にわたって広く履修するとともに、特定の教科あるいは分野につい   て深く専門的に学ぶこと)によって履修している。その理由としては、

   ・ 学生の側に特定の分野を深めたいという専門志向が強いこと

   ・ 学生の帰属を分散させることで、責任ある指導体制が確保できること

   などがあげられる。また、教員への就職の必要性から多くの学生が小学校と中学   校教員の免許を併せて取得しており、中学校の教科を選択することによって自動   的にピーク制につながっているという実態がある。

 

  ○ 今までのピーク制をみると、前述のように併せて取得しようとする中学校の教   科をピークにあてているのが実状である。そのようなカリキュラムの設定も否定   されるべきではないが、小学校教員養成の独自性の発揮を考えた場合、取得する   免許状を小学校教員に限った上で、例えば情報教育や環境教育、国際理解教育、   カウンセリング能力・マインドに関する分野などをピークとして構築していくこ   とも考えられる。

 

  ○ 小学校教員養成にとって、教科専門科目をどのように編成していくかは重要な   課題である。特に平成10年の免許法の改正により、それまで小学校教員養成に   必要な教科専門科目が「9教科各2単位、計18単位」であったものが、「1教科   以上8単位」となった。このことにより、各大学においてピーク制の在り方も含   め、小学校教員養成のためのカリキュラムの在り方を検討していくことが今まで   以上に重要となっている。

 

 (中学校教員養成の場合)

  ○ 中学校教員養成のための具体的な教科専門科目は、免許法によって定められて   いる。中学校教員は多くの一般学部でも養成しており、それだけに中学校教員養   成の教科専門科目の在り方については、教員養成学部の独自性の発揮が求められ   る分野である。単に一般学部とは専門科目の修得単位数に違いがあるというので   はなく、その目的内容に本質的な違いがあってしかるべきである。基本的には、   小学校の教員養成と同様、生徒の発達段階に応じてや他教科との関連性をも踏ま   えてどのような授業を展開すべきかを、中学校の教科専門科目の特色と考えるこ   とができる。

 

  ○ なお、現在、高等学校教員の免許も、教員養成学部で取得することが可能とな   っているが、近年の学問や科学技術の進展とその適切な教育を考えると、高等学   校の教員免許の取得は、それぞれの教科に関連する専門の学部に委ねた方がよい   のではないかという意見がある。

    現在の免許制度では、中学校と高等学校では共通する科目が多く、両方の課程   認定を受けることが比較的容易であるため、両方の認定を受けている大学が多い   のが現状であり、学生への配慮から課程認定は受けておいた方がよいという事情   もある。このことは、教員免許制度とも関連することであり、ここでは将来の課   題として指摘しておきたい。

 

 ?教科教育法(学)の在り方

  ○ 教科教育法(学)は、免許法上は教職に関する科目の「各教科の指導法」とし   て位置づけられるものであるが、教科専門と教職科目を結びつけるものとして極   めて重要な分野である。この分野は、教育上の技術的なことを教授するにとどま   ることなく、今後、教科教育担当教員と教科専門担当教員とが協力して教員養成   学部が独自性を発揮していくための重要な分野として充実していくことが期待さ   れる。

 

   ○ また、教員養成カリキュラムの体系性を強化していく上で、各々の教科教育法   (学)が関連性を追求しつつ、各教科共通的、横断的な専門分野を構築していく   ことが期待されるところである。

 

 ?教職専門科目の在り方

  ○ 教職専門科目は、教職の意義や教育の基礎理論など、どの学校種の教員にも共   通に要求される、教員にとって普遍の分野である。教員養成の共通的科目として、   優秀な教員の養成という観点から、いろいろな分野の教科専門を教員養成という   目的に収させる重要な役割を持っている。

 

  ○ 特に、平成10年の免許法の改正により、現在の学校現場の実態に対応するた   め教職科目が充実され、その重要性は改めて強調されている。

 

  ○ 教職専門科目は、教員養成学部が教員養成という目的に沿って、その内容を深   化、発展させていく場合の基本となる教育分野である。実践的な教員の養成とい   う観点から、その現状について点検・見直しをして行い、充実を図っていくこと   が必要である。

 

(4)教育の質の向上成績評価の厳格化

 ?単位制の趣旨

  ○ 大学設置基準においては、講義、演習、実験等授業の形態にかかわらず、各授   業科目の単位数は教室等における授業時間と学生の事前・事後の教室外の学修時   間をあわせ45時間の学修を必要とする内容を1単位として構成することを標準   とし、例えば講義及び演習については、おける教室内の授業時間は15?30時   間とするものとされている。この趣旨及び年間の授業期間が30週程度定期試験   等の期間含めて35週にわたることを原則としているであることを考えれば、   まりに多くの単位を修得することは極めて困難なことといえる。

 

  ○ 我が国の大学は単位制度を用いているが、その形骸化が大学教育の質の低下を   招くとの認識のもとに、平成11年に大学設置基準が改正され、大学は1年間又   は1学期間の登録科目単位数の上限を設定するよう努めることとされた。

 

 ?複数免許状の取得及び修得単位数の現状と成績評価の厳格化

  ○ 教員養成学部の学生は、主として就職上の必要性から複数の教員免許状を取得   するのが通例である傾向が強かった。平成12年3月卒業者のデータでみると、   卒業生の82.1%が複数の免許を取得している。それに伴い、修得単位数も増   加し、161単位以上修得している学生が42.8%にも及んでおり、単位制度   の形骸化が指摘されてい。その背景としては、免許取得上必要という理由の   下に授業科目の履修を学生の任意に委ねていことが考えられる。

 

  ○ 教員養成学部においても前述の登録単位数の上限の設定により、修得単位数の   改善が図られつつあると考えられるが、この趣旨を徹底するとともに、単位制度

     趣旨の実質化を図るため、シラバスの作成、事前・事後の学習の明確な指示の

     義務づけなど、責任ある授業運営や成績評価の厳格化を図ることが求められてい

     る。

    ここで求められるのは、大学としての自己規律であり、複数免許の取得が就職   のために必要であるということで黙認するのではなく、教授すべき内容を精選す   るとともに、その内容の修得を徹底させていくことが結果的に大学教育の質の向   上、ひいては教員となるべき学生の質の向上につながると考えられる。

 

   ○ 学生が多くの単位を修得している理由のひとつに、採用側が採用の際に複数の   免許状を取得していることを原則にしたり、あるいは優先的に扱うために、そう   せざるを得ないという事情がある。教員の専門性を重視する観点から、大学側に   おける免許取得上の指導が求められるが、採用側においても、採用時においてこ   れらのことに関するして特段の配慮が望まれる。

       なお、現在、中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会において、例え   ば中学校教員免許状取得者が小学校の高学年の授業を担当できるようにすること   も視野に入れた教員免許の弾力化について検討されているが、これらの審議状   況にも留意していく必要がある。

 

(5)教員養成学部の教員の在り方

 ○ 教員養成学部が優秀な教員を養成するにしても、独自性や特色を発揮するにして

  もそれを支えるのは大学の教員である。教員養成学部にふさわしい教員を確保し、  育成していかなければ、その実現は望めないことはいうまでもない

     以下、教員養成学部の教員の3つの担当区分に即して、その在り方を述べること  とする

 

 ?教科専門科目担当教員の在り方

  ○ 現在、大学によって多少の差があるが、教員の6?7割を教科専門科目担当教   員が占めており、その多くが理学部や文学部など教員養成学部以外の学部の出   身である。これらの教員が、どのような意識で教員養成に取り組むかが教員養成   学部の方向づけに大きく影響する。

 

  ○ 教科専門科目の在り方は、前述のとおりであり、それを担当する教員は、その

   趣旨に沿った教育研究に取り組むことが求められる。教科専門科目担当教員が教   員養成という目的を顧みることなしに、自らの出身学部・大学院の専門分野の研   究を深めることのみを目的とするならば、教員養成学部の独自性を発揮していく   ことは困難である。は、

 

  ○ 教員養成学部の教員であれば、他の学部と同じような専門性を志向するのでは   なく、学校現場で教科を教えるための実力を身に付けさせるためにはどうすべき   かということを教員養成独自の目的について教科専門の立場から取り組むこと   が求められる。そのようなことは、教員養成学部固有の教育研究分野であり、   それは教科専門科目担当の教員にしかできないことである。今後、教科専門科目   担当教員には、そのような教員養成学部独自の専門分野の確立に向けて努力する   ことが期待さ求められる。

 

 ?教科教育法(学)担当教員の在り方

  ○ この分野は、前述のとおり教員養成にとって重要な分野であり、沿革の項でも   触れたように、特に教員養成学部においては、各教科ごとに専門家を配置するな   ど、従来から充実に努めてきた分野である。今後、小学校教員養成における教科   専門と教科教育の分野の融合結びつきなど教員養成学部が独自性を発揮していく   ため、学内で牽引的な役割を果たしていくことが求められる。

 

 ?教職専門科目担当教員の在り方

  ○ 教職専門科目は、前述のとおり、教員養成学部の根幹をなす分野であり、学生   にとって、子どもに対する理解や教員にふさわしい人間性を深めるための基礎と   なるべきものである。したがって、それを担当する教員の教育研究はそのため、   教員養成という立場から学校現場をフィールドとしつつ、子どもたちに目を向け   た実践的なものでなければならない教育研究が推進されることが求められる

 

   ○ 教員養成学部の教職専門科目を担当する教員のうち、非教員養成系の教育学部   出身者が占める割合は50.2%(平成12年5月1日現在)にのぼっている。   教員養成における教職専門科目の重要性にかんがみ、これらの学部においては、   教員養成学部のこのような実態にも配慮した教育研究の展開が望まれる。

 

 ?教員養成学部にふさわしい教員の確保

   ○ 以上の3つの区分の担当教員が共同しつつ、体系的なカリキュラムの展開に向   けて独自の専門領域を創っていくためには、教員の意識改革だけでなく、教員養   成学部にふさわしい教員をどのように確保していくかが重要である。

 

  ○ 教員養成学部の教員の出身学部・大学院をみると、教員養成系が19.6%、   非教員養成系の教育学部が15.3%、一般学部等が65.1%となっており、   特に教科専門の担当教員は、一般学部等の出身者が82.9%を占めている(平   成12年5月1日現在)。

 

  ○ 平成8年度に教員養成学部の博士課程が設置されたため、今後教員養成系大学   院の出身者が増えていくことが期待されるが、当面は前述の傾向が大きく変わる   ことはないと考えられる。また、いろいろな学部・大学院の出身者が教員養成学   部の教員となることは、教員養成学部の活性化の面から好ましいことともいえる。

 

  ○ ただ、一般学部の目的と教員養成学部の目的とは異なるものであり、その出身   者は教員養成学部の教員になるまでは教員養成の在り方という観点からの教育は   受けていないのが通常である。それらの者が教員養成学部の教員になった場合は、   「教員養成は如何にあるべきか」あるいは「学校における授業は如何にあるべき   か」という観点から教育研究にあたらなければならないことになる。

 

  ○ したがって、教員養成学部に採用されてから学部の目的と教員個々人の志向に   齟齬が生じないよう、教員募集時に必要とされる資質能力や役割を明示する   にしておくとともに、採用後にも教員養成学部の教員として取り組むべき教育研   究の内容等について絶えざる自己研鑽を求め、教員養成学部にふさわしい教員を   確保していくことが必要である。

 

  ○ 教員養成学部は、学校の現場と密接に結びついた実践的な学部であることから、   教員養成学部の教員として採用する際、教員免許状の取得や学校現場における   何らかの教育経験を有することを条件とすることも考えられる。また、採用後も   教員養成学部の教員が附属学校をはじめとするの授業を担当させるなど学校現場   の教壇に立ったり、附属学校や公立学校の教員に学部の講義を担当してもらうこ   となどを経験を積ませる取組みも積極的に推進すべきである。

 

  ○ また、教員養成学部としてふさわしい教員を確保するとともに、教員養成学部   独自の専門性を高めるシステム作りという観点から、例えば次のような具体的な   改善を行っていくことが必要である。

     教員養成カリキュラムと一体となったシラバスの作成

     ・附属学校を始めとし、学校の教壇に立つなど学校現場との接触の義務づけ

   定期的なファカルティ・ディベロップメントの実施等具体的な改善を行ってい    くことが必要である。

 

   ○ これに関連し、教育委員会等との連携により、特に学校現場を熟知した者が教   授するにふさわしい科目については、教員養成の充実の観点から、現職教員や指   導主事を非常勤講師等として積極的に活用していくことも求められる。

 

 

 

 ?教員組織の弾力的編成

  ○ 今後は、学校現場のニーズにあわせ、教員組織を弾力的に編成していくことが   求められる。例えば、平成10年に免許法が改正され、教科に関する科目の要修   得単位数が減少し、教職に関する科目の要修得単位数が増えたり、「教科又は教職   に関する科目」という選択履修の区分が新たに設けられたりしたところである。    大学の判断によってこれらに対応した教員組織の弾力的な編成が求められてい   る。

 

   ○ また、現在すべての教員養成学部が小学校教員と中学校10教科の教員養成に   必要なの教員組織については専門分野の構成が各大学とも総じて等質的な教員組   織となっている。そして、各教科の区分がとなっており、そのことがカリキュラ   ムや教員組織に現状維持の方向で作用している面がある。今後は、各大学が個性   や特色独自性を発揮していくため、大学において弾力的な教員組織の編成に努め   ることが望まれる。

 

(6)評価システムの確立

  ○ 教員養成学部が教員養成の専門学部として、力量ある教員を養成し、独自の専   門性や特色を発揮していくためにはそれを社会や国民に対し積極的に説明する   アカウンタビリティの確立の観点から適切な評価システムを確立し、その評価結   果を広く公表するとともに、各大学の教員養成の改善に継続的につなげていくこ   とが必要である。

 

  ○ 現在、各大学・学部において、自己点検・評価やその結果に対する学外者によ   る検証が進められているが、それにとどまることなく、評価の透明性・客観性を   より高めるためには観点から、第三者評価システムを導入していくことが効果的   である。特に教員養成学部の卒業を採用している地域の教育委員会や学校の   意見を積極的に聞けるような体制を構築していくことが大切である。

 

  ○ 評価システムが教員養成学部が教員養成の専門学部として発展していくこと   を支援していくためには、ものとなるためには、教員養成の立場からの独自かつ   専門的な立場からの評価が必要である。その際、研究面からの評価だけではなく、   特に教員養成学部の目的に照らしてカリキュラムが適切に編成されているか、学   生の教育指導において、組織としてあるいは個人として適切な取組がなされてい   るか、教員養成学部にふさわしい教員の確保のためどのような努力がなされてい   るかなどの観点から評価が行われるべきである。

 

  ○ また、評価の方法やその結果については、教員養成学部が国立大学としての責   任を果たしているか否かについて国民に対するアカウンタビリティの観点から、   関係者に積極的にが判断できるようにするため、広く公開されるべきである。

 

  ○ 今後、大学評価・学位授与機構による評価システムや国立大学の法人化に伴う   新たな評価システムなども整備されていくと考えられる。それらの動きもみなが   ら、速やかに教員養成学部独自の評価システムを構築していくべきである。この   点については、日本教育大学協会が発足以来期待されている機能のひとつであり、   中心的な役割を果たしていくこと強く望むところであまれる。

 

 

2 大学院の在り方

 

(1)修士課程の在り方

 ?修士課程で養成すべき能力

  ○ 教員の資質の向上を図るため、専修免許状を保持した教員の割合を高めていく   ことが求められている。現職の教員が専修免許状を取得する方法として大きな役   割を担うのは大学院の修士課程による学修である。教員養成学部の修士課程にお   いては、現職教員等の学修研修のニーズに応えるため、一層の組織的・体系   的な履修指導の充実が必要である。

 

  ○ 修士課程においては、学部段階での内容を更に深め、教員にとって必要な深い   知識を学び、各学校で中核的な役割を担いつつ若手教員を指導できる能力や、新

   たな課題に対して自らその問題の所在を突きとめ、対応策を見い出し、あるいは   従来の方法を修正する能力を育成することが求められる。また、特に「学校現場   で生じている今日的課題」への取り組みも期待されている。

 

 ?教員養成学部の修士課程で授与する学位とその内容

  ○ 教員養成学部の修士課程では、学部にもまして教員養成学部として独自性のあ   る教育研究に取り組むことが求められる。しかし、その実態をみると、例えば内   容が明らかに理学や文学の修士論文と変わらないような論文等をもとに「修士(教   育学)」を授与しているという例が見られる。

 

  ○ 教員養成学部の大学院では、他の専門学部と同じような内容の学問を追究する   のではなく、教員養成の立場からの専門的要素を取り入れた、名実ともに「修士   (教育学)又は(学校教育学)」にふさわしい内容の教育研究を展開していくこと   が求められる。そのためには、教科教育専攻(専修)の場合は、教育に関する研   究の副論文を義務付けることも一つの方法である。ただし、その際には、副論文   の添付が形式化し、実質が伴わないものにならないよう、運用に十分留意した運   用に努める必要がある。

 

 ?現職教員の再教育のための体制整備

  ○ 教員は、学校現場で様々な実践経験を積んでから大学院教育を受けることが効   果的であると言われている。現実に他の学部に比べ、社会人(現職教員)の占め   

   9.8%、国立の教員養成学部の修士課程29.6%)。

 

  ○ 実践的な教育研究を目的とする教員養成学部の修士課程にとって、具体的な問   題意識と高い学習意欲を持った現職教員を受け入れることは、大学の教員や学部   を卒業してすぐ入学してきた学生が学校現場の現状に触れるよい機会となり、   教員養成学部全体の活性化につながる効果もある。各大学院においては、積極的   な取り組みが求められる。

 

  ○ 現職教員の再教育の必要性やそれを拡充するための方策については、教育職   員養成審議会の第2次答申「修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方につ   いて」(平成10年10月29日)において詳しく述べられている。本答申自体は、   教員養成を行っている一般学部の大学院をも対象とした提言であるが、教員養成   学部は教員養成の専門学部として積極的に現職教員を受け入れるための体制を整   備していくことが求められる。

 

  ○ 特に、これからは教員が職務に従事しつつ、自らの意志と負担により修士課程   の教育が受けられるよう、同答申等でも述べられているように、例えば次のよう   な形態の教育指導体制の充実を図っていくことが必要である。

   ・ 夜間、週末、長期休業期間等を活用した授業の実施

   ・ 衛星通信、インターネット等を活用した遠隔教育の実施

   ・ サテライト教室を利用した教育の実施

   ・ 長期在学コースの設定

 

  ○ また、教育公務員特例法が改正され、平成13年度から「大学院修学休業制度」

   が導入された。平成13年度現在、この制度を利用して入学してきた現職教員(公

   立学校)は155名である。地方公共団体の派遣制度に基づく研修定数の増加を   図っていくことが困難な状況であることにかんがみ、今後、この制度に積極的に   対応する方策として、各大学において教育の質の確保に留意しつつ、1年制コー   スの導入も検討されるべきである。

 

  ○ 現職教員は、学校現場での多くの経験の中から具体的な問題意識を持ち、修士   課程においてそれらを踏まえた実践的な教育研究を希望しており、学部を卒業し   てすぐ入学した学生とは違った指導方法が求められる。現職教員の再教育に当た   っては受入れ体制の整備とともに、現職教員のニーズに応じたカリキュラムの開   発と指導体制の確立が必要である。

 

  ○ 現職教員の再教育の場として修士課程を活用していくためには、地域の教育委   員会等との連携協力が不可欠である。教育委員会が大学に対して何を望んでいる   か、あるいは大学として何をなし得るかなど、緊密な連携をとって効果的な大学   院教育を実施できるような協議の体制を整備していくことが必要である。

 

  ○ 現職教員の指導に当たって重要なことは、修士課程の修了をもって指導が終   わるのではなく、その後もいつでも大学教員の指導が受けられるよう、様々な形   で関係が保たれることである。このようなことは、現在多くの大学院においてな   されているが、今後は大学教員個人レベルではなく、組織として対応してい   くことが求められる。それがまた、教員養成学部と学校現場のつながりを深めて   いくことにもつながると考えられる。

 

 ?専修免許状の在り方の見直し

   ○ 現在、中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会において、専修免許状   について修士課程で学んだ専門分野を適切に表示できるように改めること   について検討が行われている。このような動きも踏まえ、教員養成学部の大学   院としてふさわしい専門性の確立に努めるべきである。

 

(2)教員養成学部における専門大学院の基本的な考え方

 ○ 平成11年度に、大学院設置基準が改正され、高度の専門性を要する職業等に必  要な高度の能力を専ら養うことを目的として、特に必要と認められる専攻分野につ  いて教育を行う修士課程 専門大学院と称するを設置することができる  こととなった。

 

 ○ 専門大学院はその目的にかんがみ、専任教員のうち相当数は専攻分野における実  務の経験を有する者とすることや、実践的な教育を行うため専攻分野に応じ事例研  究、討論、現地調査その他適切な方法により授業を行うなどの適切な配慮が必要と  されている。

   専門大学院については、現在、いくつかの大学において、高度専門職業人とし  て当該分野において必要とされる資質能力等に応じたコースカリキュラムや授業方  法などを工夫しつつ、その導入設置が図られているところである。また、職業資  格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院や学位の在り方などについて、現在  中央教育審議会大学分科会において検討が行われているところである

 

 ○ 教員養成学部における専門大学院の在り方については、これらの審議状況や免許  制度との関連あるいは学校現場等からの需要の動向等様々な面を勘案しつつ、今後、  別途検討していく必要がある。

 

(3)博士課程の在り方

 ○ 教員養成に関する実践的な研究や教科教育学の研究を推進するために、平成8年  度に設置された連合大学院方式による博士課程が東京学芸大学と兵庫教育大学の博  士課程の修了者のに設置された。

   この博士課程の最初の修了者が平成11年3月に出て以来、今までに3回の修了  者を送り出しているが、修了者の就職状況必ずしも順調ではない。その理由と  しては、一般的に大学の教員は博士課程を修了してすぐ採用されるものでない  こと、修了者が出て間もない状態であり、この博士課程で養成した人材の評価が定  まっていないこと、たまたま教員養成課程の5千人削減が行われ等により、大学の  教員の採用数が減少する時期と重なったことなどがあげられる。

 

 ○ これらの博士課程は、特に教科専門や教科教育の分野の教員の養成を目的として

  設置されたものであり、教員養成学部が独自の専門性を確立していくために重要な  役割を持つものである。当該博士課程の修了者の中から教員養成学部の教員として  就職する者が増えていくことが望まれるとともに、今後、指導体制強化のための参  るが、関係大学においてその趣旨を踏まえつつ、一層の改善に努める必要がある。   大学の拡大や、需給動向によっては博士課程の増設も検討されるべきである。

 

 ○ また、この博士課程の在り方については、教員養成学部のみならず、教員養成に  深く関わる教育学や教職専門科目担当教員の育成に当たっている非教員養成系の  統的な教育学部の博士課程の在り方との関連においても検討されるべきにも関わる  ものであるが、「教員養成学部にふさわしい教員の確保」のため、日本教育大学協会  など関係者において現状のレビューを行うなど改善のための取り組みが必要で  ある。

 

 

 

? 今後の国立の教員養成大学・学部の組織・体制の在り方

 

1 再編・統合の必要性について

 ○ 現在、学校現場には早急に取り組まなければならない様々な課題があり、教員養

  成学部には、その専門性に立って、これらの課題への積極的な取り組みや学校現場

  で必要とされる優れた教員の養成がますます求められている。他方で、教員養成課

  程の入学定員の減少が、日常の教育研究活動や大学・学部の運営に様々な問題を投

  げかけている。

 

 ○ 教員組織についていえば、義務教育諸学校の教員養成に必要な教員組織を編成  すると、ほとんど余裕のない定員規模の大学が多く、そのような学部では新たな教  育課題に対応するための教育研究体制を組むことが困難な状況にある。

 

 ○ また、現在、ほとんどの教員養成学部に新課程が設置され、一定の評価を受けて  いる一方、教員養成学部自体の性格が揺らいできている。新課程は独自の目的と教  育課程を持ちながら、ほとんどの教員は教員養成課程と兼ねて担当している状況で  ある。

 

 ○ さらに、今まで詳しく述べてきたように、各大学・学部において教員養成の在り  方についてのコンセンサスを得て、それを踏まえた体系的なカリキュラムを編成し  ていくことが求められている。

 

 ○ このような状況を考えると、現在の教員養成学部を現状のまま置いておくこと  は、教員養成という本来の目的をあいまいなものとするばかりでなく、長期的にみ  た場合、教員養成学部の発展が望めず、その活力が次第に失われていくことが懸念  される。

 

 ○ 新課程については、教員養成学部が独自の専門性を確立していく観点からも、新  課程の学生の教育指導体制の明確化を図っていく観点からも、原則として教員養成  学部から独立したものとする分離していくことが適当と考えられるが、ほとんどの  大学では新課程と教員養成課程を別々に編成するだけの教員数を持っていない状  況にある。仮に教員数からみてそれが可能であったとしても、単純に区分分離する  ことは教員養成課程の弱体化を招くこととなる。

 

 ○ 教員養成学部が、今後様々な新たな教育課題に積極的に取り組むことが可能とな  るよう、1学部当たりの教員組織を充実するとともに、教員養成学部に置かれてい  る目的の違う異なる2種類の課程、それぞれの特色を発揮できるようにしてい  くことが求められる。

 

 ○ 一方他方、交通網の発達等による、県域を越えた流動性の高まりや、情報通信技  術の発展に伴う遠隔教育の導入・普及などにより、教員養成を現状のまま、すべて  の都道府県において行うことの必要性は薄れつつある。

 

 ○ このような背景を総合的に勘案すれば、教員養成学部を小規模なまま各都道府県

  に置くのではなく、この際、1都道府県1教員養成学部の体制を見直し、学生数や  教員数がある程度の規模となるよう再編・統合を行うことによって、個々の学部の  組織の充実強化を図るとともに、教員養成に特化し、活力ある教員養成専門の教育  研究機関として、その特色や機能を十分に発揮できるよう体制を整えていくことが  必要と考えである。

 

 

2 再編・統合の考え方について

 

(1)再編・統合の基本的な考え方

 ?検討の前提

  ○ 現在、大学(国立大学)の構造改革の観点から、大学間の再編・統合や大学自   体の改革の検討が進められている。教員養成学部の組織・体制の具体的な在り方   は、これらの動向と密接に関係していくものと考えられるが、本懇談会としては、   教員養成の在り方という観点から検討を行った。

 

 ?教員養成課程全体の入学定員及び今後の教員需要への対応

  ○ 教員養成課程全体の入学定員については、少子化に伴う教員就職率の低下を踏   まえ、平成10年度から12年度までの3年間に約5千人の削減を行い、現在約   1万人の規模となっている。

 

  ○ 今後、公立学校の教員の定年退職者の増加や都道府県における教員配置基準の   改善に伴い、教員採用数の増加が見込まれるため、それに対応して、むしろ教員   養成規模を拡大すべきではないか、特に教員養成学部の小学校教員養成に果たし   ている役割を考えると、小学校教員が不足するのではないかとの意見がある。

 

  ○ これに対しては、

    教員採用試験受験者数と教員採用数に大幅なギャップがあり、大量の教員資    格者が就職できない教員希望者が、多数存在すること 

     ・ 公務員の再任用制度が導入されたこと

    採用の側も各学校における教員の年齢構成のバランスを確保するという観点    から社会人登用等新規卒業者だけでなく、幅広い年齢層から採用するような措    置をとってきていること、公務員の再任用制度が導入されたこと

   などから、退職者の増がそのまま新規卒業者の採用数の増につながっていくとは   考えられない状況がある。

    また、退職者数は一時期増加した後、また減少に転じていくことが見込まれる   ことなどから、教員養成学部の養成規模を、今後の定年退職者の増加見込み数   に応じて増加しなければ教員、とりわけ小学校教員の確保に支障が生じるような   ことにはならないと考えられる。

 

   ○ このようなことから、今回の再編・統合の検討に当たっては、現在の1万人体   制をもとに、優秀な教員を養成していくための教員養成学部の組織・体制の在り   方を検討していくことが適当である。

 

   ○ これからの教員養成における国の役割を考えた場合、義務教育諸学校、特に小   学校教員を一定数、計画的に養成していくことは、今後とも重要なことであるが、   それとともに、様々な課題を抱える学校現場においてリーダーとなって活躍して   いく力量ある教員を養成していくシステムづくりが、強く求められている。

 

 ?再編・統合の基本的な考え方

  ○ 活力ある大学・学部を実現し、新たな教育課題に積極的に対応するとともに特   色ある教育研究を推進していくため、1学部当たりの学生数や教員組織が学部と   してふさわしい規模となるよう再編・統合するを行うことが必要である。

    その際、当該地域の教員需給の見通しや学生の流動状況等も勘案しつつ、近隣   の複数の都道府県を単位として教員養成学部再編・統合するを行うことが適   当である。

 

   ○ 再編・統合に当たっては、国立の教員養成学部の役割、とりわけ小学校教員の   養成に果たす役割を勘案しつつ、特定の地域の偏在を避け、全国的にバランスの   とれた養成体制になるよう考慮する必要がある。

 

  ○ 再編・統合の際、総合大学の学部として統合する方法と単科の教育大学として   統合する方法が考えられる。

    総合大学の場合には、

    ・ 多様な学部の学生と一緒に学んだり交流を持つことを通じて、より幅広い     ものの見方・考え方に触れることができること

    ・ 教育や教職の在り方を客観的な目でとらえる機会がより多く持てること

    ・ 他学部との連携により幅のある教育研究の展開が期待できること

   などの利点があると考えられる。

    他方、単科大学の場合には、

    ・ 学生が教職という共通の目的意識をもって学べること

    ・ 教育理念や目指す教像に向かって大学全体での取り組みがしやすいこ     と

   などの利点があると考えられる。

 

  ○ 教員養成という観点からみれば、いずれかに特定するのは適当でなく、地域に   おける配置や各大学の状況等に応じ、いずれの場合もあり得ると考えられる。実   際上は、現在進められている国立大学の構造改革の一環としての再編・統合とも   密接に関係してくるものであり、各大学の将来構想等も踏まえつつ、個別具体的   に検討を行う必要がある。

 

  ○ 新課程は、今後教員養成学部が教員養成の専門学部として特色を発揮していく   ためにも、新課程における教育の在り方やその体制を明確にしていくためにも、   教員養成学部の再編・統合を契機に、原則として教員養成学部から切り離分離し   ていく方向をとることが適当である。

      その際、新課程のこれまでの実績等を勘案し、教員養成学部がなくなる大学に   あっては、各大学の新課程がこれまで目指した理念、目的、成果等を十分踏まえ、   それらを継承し、新組織の設置を含めて発展させていくことが適当な場合がある   と考えられるも検討される必要がある

    なお、環境教育、情報教育、国際理解教育、カウンセリング能力の育成等本来   教員に求められる分野については、そのカリキュラムを教員養成課程に取り込ん   でいくことが望ましい。その場合は、修得単位数が過大にならないよう、カリキ   ュラム編成に工夫を加えることが必要である。

 

   ○ 再編・統合に当たっては、当該再編・統合に係る関係大学・学部間で、これま   で、教員養成学部において果たしてきた教員養成課程と新課程の分野の適切な役   割分担を図り、それぞれの大学の個性・特色の発揮につなげていくようにしてい   くことが適当である。

 

  ○ 教員養成学部の再編・統合によって、教員養成学部がなくなる都道府県につい   ては、それらの当該都道府県等の教育委員会との連携協力の体制や現職教員の大   学院での再教育の体制に十分留意する必要がある。

 

   ○ なお、今回の再編・統合による新たな教員養成の組織・体制については、一定   期間の後、その成果について評価を行い、必要な場合には見直しを行い、更なる   改善に努めていくべきである。

    その際、教員養成学部が設置されている都道府県だけでなく、幅広く他の都道   府県の教育委員会等の関係者から意見を聞くことにも配慮すべきである。

                                              

(2)再編・統合の形態

 ○ 再編・統合を実施する場合、様々な形態があると考えられるが、本懇談会として  は、基本的に考えられる次のような形態を検討した。

   A 複数の大学・学部を統合するケース

         この形態は、再編・統合後の個々の教員養成学部の充実強化が最も明確に表    れる方法である。一方、教員養成学部がなくなる都道府県が生じ、現職教員の    再教育や教育委員会との連携などの面で工夫が必要となる。また、教員養成学    部の教員の大幅な移動が行われることになる。

 

   B 小学校教員養成機能は各大学に残し、中学校10教科を例えば文系、理系、技

   術系のように複数の大学で分担するケース

       この形態は、教員養成学部は各都道府県に残るが、これまでの教員養成学部の   ように中学校10教科に対応した幅広い分野を対象とする学部とは性格が異なり、   特定の分野に偏った学部となる。また、いわゆるピークが限定されるなどの課題   がある。また、分野により、教員養成学部の教員の移動が行われることになる。

 

   C 基幹大学とその他の大学に分け、基幹大学は一定のブロックごとに1大学程   度とし、当該大学ではすべての学校種の教員養成を行い、その他の大学は小学校   教員養成に特化するケース

       この形態は、各都道府県では少なくとも小学校教員の養成は行われるが、その   基幹大学以外の大学の教員養成学部は、学生数や教員数においても教育内容に   おいてもますます小規模化するとともに、学生にとっては当該学部で中学校教員   免許状が取得できなくなる。またほか、取得できる教員免許状の種類について基   幹大学とその他の大学とで較差が生じることになる。また、中学校教員養成を担   当する教員の移動が行われることになる。

 

 ○ 

  再編・統合の理念が個々の教員養成学部の充実強化にあることにかんがみ、上記A  の形態により再編・統合することを基本と考えていくべきである。

   なお、教員養成学部の実際の再編・統合やそれに伴う組織の設計は、大学全体の  組織体制の在り方や大学間の再編・統合とも深く関係することから、大学や地域の  実状も勘案しながら弾力的に検討していくことも必要である。

 

(3)再編・統合後の基本的な枠組み

 ○ 教員養成学部は学芸学部と教育学部で発足し、その後教育学部に統一され、近年  また新課程の設置や複合名称の学部への改組が行われるなどの変遷をたどってきて  おり、沿革の項で述べたように、現在教員養成学部は教員養成にとどまらず、幅広  い機能を併せ持っているのが実状である。

 

 ○ 再編・統合後の基本的な枠組みとしては、教員養成課程の1万人体制の中で、教  員養成課程を担当する大学(以下「教員養成担当大学」という。)と教員養成学部が  なくなる大学(以下「一般大学」という。)とで、これまで担ってきた役割を分担し、  それぞれの大学が個性や特色を発揮していけるようにすることを基本とすべきであ  る。

 

 ○ それを前提とした上で、再編・統合した場合の各大学・学部の基本的な枠組みを、  上記Aの形態をもとに整理すると次のようになる。

 

  ア 教員養成担当大学の学部の機能

    ・ 教員養成担当大学に置かれる教員養成学部の入学定員は、原則として統合前    の各大学の教員養成課程の入学定員合計した規模とする数以内とすること    が考えられる。

   ・ 教員養成の専門学部としての独自性を高め、教員養成に徹するため、統合し    て置かれる教員養成学部には、原則として教員養成課程のみを置き、新課程は    置かないものとすることが適当である

     ・ 教員養成担当大学の新課程については、必要に応じ、当該大学や一般大学の    充実に資するよう再編成する。し、そのために

    ・ 一般大学における新たな組織の充実に充てるため、必要な教員を一般大学に    振り替えることとなる

     ・ なお、新課程については、前記??2?(4)??の類型のうち、教員の職    務に密接に関連する分野や、学校教育に関連する指導者養成に関する分野につ    いては、当該大学や一般大学の学部構成の事情等により、特に必要があると認    められる場合は、修得単位数が過大とならないよう留意しつつ、そのカリキュ    ラムを教員養成課程に取り込むことや、教員養成課程とは別の課程として設置    することも考えられる。

    ・ 統合後の教員養成学部は、原則として幼稚園から高等学校(必要に応    じ高等学校)までの学校種、教科の教員免許の課程を置くものとする。    取得が可能となるようにすることが適当である。

    ・ 教員養成担当大学は一般大学と協力し、教員養成学部がなくなる都道府県    でを対象としたを含め、養成・採用・研修の各段階において教育委員会との連    携を図りつつ教員養成に係る様々な工夫と仕組みを凝らし、その体制を整備    する必要がある。

     ・ 教員養成担当大学には、今後の我が国の教員養成を支える大学として、教員    養成の在り方やそれを実現していくための組織体制カリキュラムの編成等    について、格段の努力や不断の見直しが求められる。

 

  イ 教員養成担当大学の大学院の機能

    ・ 学校教育専攻、教科教育専攻(中学校10教科)を置くほか、必要に応じて    新たな教育課題に対応するための専攻を設置するものとする。ことが考えられ    る。

    ・ 原則として全学校種、全教科の学部段階で取得できる教員免許に接続する専    修免許状の取得が可能となるようにする必要がある

    ・ 統合により教員養成学部がなくなる都道府県の現職教員も視野に入れ、カリ    キュラム開発を含め、現職教員の受け入れ体制の整備を図る必要がある

    ・ 教員養成学部の大学院における通信教育の適否を含め、その在り方を検討す    る必要がある

 

  ウ 一般大学の機能

    ・ 教員養成学部置かないこととなる大学にあっては、当該大学及び教員養    成学部担当大学の新課程のこれまでの実績等を踏まえ必要に応じ、例えば新し    い時代に求められる教養教育を担当する組織や地域の求める人材養成を行う    組織設置、あるいは学内既存組織の充実についてすることなども検討する    必要がある

     ・ 必要に応じ、これまでの教員については、一部を教員養成担当大学に振り    替えるほか一部を上記新組織や学内既存組織の充実に充てることが考えら    れる

     ・ 他学部当該大学における教員養成の効果的なカリキュラム編成免許状取得あ    るいは現職教員の再教育や地域の教育委員会との連携等のために必要な体制を    整備する場合には、教員養成担当大学とも協力し、例えば必要最小限の規模の    教職センターなど必要な組織を整備することも考えられる

    ・ 現職教員の再教育に支障が生じないよう、教員養成担当大学とも協力し、必    要な措置を講じる。

 

  エ 現職教員の再教育への対応

    ・ できるだけ現職教員の学の機会の確保に努めることとし、特に教員養成    学部がなくなる都道府県においては、教員養成担当大学のサテライト教室の開    設や遠隔教育の充実等体制の整備をっていくことが必要である。

      教員養成担当大学と一般大学は協力して、関係都道府県と協議しつつ、修士    課程における教育に限らず免許法に基づく認定講習の実施など様々な面で現    職教員の再教育への適切な支援を行っていくことが必要である

 

 

 

? 附属学校の在り方

 

1 今後の基本的な在り方

 

 ?大学・学部の研究への協力

  ○ 附属学校は大学・学部に附属するものであり、大学・学部における教育に関す   る研究への協力がなされなければ、附属学校としての役割を果たしているとは言   い難い。大学・学部側、附属学校側のいずれも附属学校は大学・学部の一部であ   るという認識を持ち、大学・学部が責任をもってその在り方を考え、その方向性   に沿って運営されていくことが必要である。

 

  ○ 

   学・学部の研究方針に基づくものではなく、附属学校が独自の立場から取り組ん   でいるものがほとんどである。附属学校における研究開発自体は大いに推進され   るべきものであるが、それが大学・学部の関与がなく附属学校だけの方針によっ   てなされている限りにおいては、附属学校としての目的からみて問題なしとはし   ない。

 

  ○ 「学部における教育に関する研究に協力」という目的が達成されるためには、   大学・学部の教員の研究がもっとより学校現場や子どもたちに目を向けたものと   なることが不可欠である。そのような研究に取り組めば、研究を推進する場とし   て自ずと附属学校が活用されてくるはずである。

 

  ○ 大学・学部の研究に附属学校が協力するという目的を達成していくためには、   大学・学部や附属学校の教員個人同士の問題としてではなく、大学・学部側と附   属学校側との間で組織として取り組むことが必要である。

 

  ○ 具体的には、例えば次のようなことが考えられる。

   ・ 大学・学部と附属学校が連携して、附属学校を活用する具体的な研究計画を    立て、それを実践していくこと。

   ・ 大学・学部の教員の興味や関心意識もっとより附属学校に向き、一体感が    培われるようにするため、大学・学部の教員が一定期間附属学校で授業を担当    したり、行事に参加したりするようなシステムを構築すること。

     ・ 大学・学部の教員のファカルティ・ディベロップメントの場として、積極的    に活用すること。

   ・ 大学・学部と附属学校との連携を深めるとともに、大学・学部における教育    研究の中に学校現場の実践を取り込む的な取組を反映させるため、附属学校の    教員を大学・学部の非常勤講師などに積極的に登用していくこと。

 

  ○ 大学・学部の教員が研究の実践の場として附属学校を用することにより、   子どもたちが大学・学部の研究の一端に直接触れることは、子どもたちの知的好   奇心に大きな刺激を与える効果もあると考えられる。このようなことは、一般的   に公立学校においては困難な面があり、大学・学部の教員の研究に組織的に協力   することにより、教育の改善が図られ、附属学校側にも大きなメリットがあると   考えられる。

 

  ○ 現行規定の範囲内で解釈すれば、附属学校である限り、「大学・学部における教   育に関する研究に協力」するという目的は非教員養成大学・学部の附属学校にお   いても求められることである。大学・学部から独立し、独自の運営をしていくこ   とを求めるのであれば、「附属学校」であり続ける必然性はないと考えられる。

 

 ?教育実習の実施

  ○ 前述のとおり、教育実習については概ね良好に行われているが、改善すべき点   も多い。教育実習は「学部の計画に従い」実施するものであり、附属学校との連   携をとりつつ、学部の側が責任をもって実施に当たるべきである。

    また、大学・学部や附属学校の判断によっては、学内の他学部や他大学の学生   の教育実習の場として広く活用することも考えられる。

 

  ○ 学生の教育実習の在り方については、学生の多くが公立学校に就職している実   態にかんがみ、児童生徒の素質能力が比較的均質である附属学校で教育実習を   行うより、多様な子どもたちで構成されている公立学校で行った方が効果がある   のではないかという意見指摘がある。一方で、公立学校では附属学校で行ってい   る程のきめ細かい実習は困難であるという考え方意見もある。

    現在、多くの教員養成学部では附属学校と公立学校の両方で教育実習を行って   いるが、基本的には、今日の学校現場が当面している課題に対応しつつ、教員養   成カリキュラムの中に教育実習を位置付けていく観点から、このようなことは望   ましいものと考える。今後、教育実習の在り方については、各大学・学部におい   より効果あるものとするため、附属学校と公立学校での教育実習の有機的な   関連づけについて検討が進められるべきである。

 

 

2 同一学校種複数学校等、附属学校の規模の見直し

  ○ 現在、附属学校の学級数は、小学校の場合学校全体で12学級から26学級、   中学校の場合6学級から18学級と様々であるが、少子化の影響を受け、公立学   校の規模が縮小されていることから、結果的に附属学校が地域における大規模学   校になっているケースがある。

    

  ○ 戦前からの歴史的経緯もあり、1つの大学・学部に同一学校種の附属学校が複   数設置されている例がみられる。また、大学・学部と遠隔地にある附属学校につ   いては、特に大学・学部との結びつきが弱いのではないかという指摘がある。こ   のような附属学校にあっては、大学・学部との連携の在り方について特に留意し、   必要な改善を図っていくべきである。

 

  ○ 公立学校では学校の統廃合や学級数の削減を余儀なくされていることや、大学   の教員養成課程自体が縮小されてきていることなどから、同一学校種複数学校の   見直しを含め、附属学校の規模の見直しを行っていく必要がある。

 

  ○ このような観点から各大学・学部において点検・見直しを行い、その結果、必   要性が薄れているものについては学校としての適正規模の観点にも留意しながら、   学校の統廃合や地方移管、学級数の削減も検討すべきである。その際、附属学   校の長い歴史や果たしてきた役割にかんがみ、段階的に実施していくなどの配慮   が必要である。

 

  ○ 公立学校は子どもの減少に伴って生じる余裕教室等を学校の特色発揮に活用し   ている。附属学校の場合も学級数の削減は、それによって生じる余裕教室等を様   々な人数の授業の実施やティーム・ティーチングの実施等の特色の発揮に充てら   れるという利点もあり、対応の方法によっては、規模の縮小によりプラスの効果   をあげられると考えられる。

 

 

3 学部の再編・統合に伴う附属学校の在り方

(1)附属学校の機能の見直し

 ○ 前述のとおり、現在、附属学校には教員養成学部に附属するものと非教員養成  学・学部に附属するものがある。り、教員養成学部、非教員養成学部それぞれの附  属学校が果たすべき役割や機能について、教員養成学部の再編・統合を契機に再検  討することが必要である。

 

(2)教員養成学部の附属学校

 ○ 教員養成学部には、大学設置基準において、附属学校を置くことが義務づけられ  ており、それが現状のままであれば、再編・統合後の教員養成学部においても、  現行どおり「学部における教育に関する研究に協力」することと「教育実習の実施」  を目的として、附属学校を置く必要がある。ただし、当該目的を十分達成するため  に必要な適正規模を含め、大学側、附属学校側双方の格段の努力が求められるとこ  ろである。

 

(3)非教員養成大学・学部の附属学校

 ○ 非教員養成大学・学部の附属学校は、大学設置基準上、設置が義務づけられてい  るものではなく、歴史的経緯やそれぞれの大学・学部独自の必要性に基づいて設置  されている。

 

(案の1)

 ○ これらの附属学校は、教員養成学部の附属学校とは別の観点から必要性を検討し  ていくことが必要である。例えば次のように、当該大学の教育研究上特に真に必要  な場合は、附属学校を存置するとして存続させることが適当である。方、その  必要性が認められない場合は、段階的に地方移管又は廃止等の方向で検討するこ  とが適当である。

   ・ 教員養成ではないが、教育に関する教育研究を実施する大学・学部の研究への   協力

   ・ 高大高等学校と大学の連携教育をはじめとする異学校種間の接続教育、特定の   才能を伸ばすための教育、特殊教育の改善やノーマライゼーションへの積極的な   対応、その他新たな教育課題に取り組む実験学校など立の附属学校として先   導的に取り組むべきことが必要とされている教育課題の教育研究

 

(案の2)

 ○ これらの附属学校は、教員養成学部の附属学校とは別の観点から必要性を検討し  ていくことが必要である。国立の附属学校として先導的に取り組むことが必要とさ  れている教育課題の教育研究等、当該大学の教育研究上真に必要な場合は、存続さ  せることが適当であるが、その必要性が認められない場合は、段階的に地方移管や  廃止等の方向で検討することが適当である。

 

 

(4)再編・統合に伴い一般大学となる大学・学部の附属学校の取扱い

 ○ 再編・統合に伴一般大学となる大学の附属学校については、次のA又はBの  在り方が考えられる。他方、れにの何れにも当てはまらない学校については、  段階的に地方移管又はや廃止等の方向で検討することが適当である。

 

 A 教員養成担当大学の附属学校へ移管

   ・ 教員養成担当大学の教員養成課程の学生数の増加に伴い等の観点から、学部の   研究上又は教育実習の実施上、必要がある場合は、現在の附属学校を教員養成担   当大学の附属学校として移管する。

 

   ・ その場合、その当該附属学校は、大学・学部から遠隔地にある附属学校所在す   ることとなるが、教育実習の利用だけではなく、当該都道府県内の現職教員の再   教育のサテライト機能を併せ持つほか、附属学校自体も地域の学校の教員の研修   的な機能を果たし得るよう全体的な在り方を検討することが適当である。

 

 B 一般大学の附属学校としての存続

  ・ 教員養成担当大学の附属学校へ移管されない一般大学の附属学校は、上記(3)   の非教員養成大学・学部の附属学校として同様の観点から、個別にその必要性を   含め、在り方を検討することが適当である検討し、当該大学の教育研究上特に   に必要がある場合には存続させる

 

(5)附属学校の点検・評価

   ○ 附属学校の現状については、前述のように様々な課題がある。附属学校として   存続することとなった学校については、その目的が十分達成されているかどうか   自ら点検・評価を行っていくとともに第三者による評価を行い、その結果を公表   し、不断に改善を図っていくことが必要である。また、第三者の立場からの評価   も積極的に採り入れていくことが望まれる。

   

(6)独立採算制の学校

 ○ 大学から独立し、独自の運営が可能かつ適切と思われる附属学校については、今  後の国立大学の法人化の検討の中で独立採算制の形態への移行も検討する必要が  ある。