トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

☆中間報告に対する高エネルギー加速器研究機構職員組合の意見
.up11/3


「新しい「国立大学法人」像について(中間報告)に対する意見

1、氏名:高エネルギー加速器研究機構職員組合
2、会社名:同上
3、住所:茨城県つくば市大穂1−1
4、電話番号:0298−64−5289
5、意見:意見を以下に記すが、中間報告全体ではなく、「大学共同利用機関」部分についてのみ述べる。

1) 1.検討の視点の項について
・視点1に対する意見
 ○ 大学共同利用機関は、それぞれの学術分野において我が国を代表する中核的研究機関であり、その研究成果は国際的にも高く評価されている。したがって、大学共同利用機関の法人化に当たっては、我が国の学術研究が高い国際的競争力をもちうるよう、学術研究をさらに発展させる積極的観点から、大学及び他の研究機関(独立行政法人・特殊法人)との関係を含め、制度を検討する必要がある。
と、中間報告では述べられているが、上記文章の「したがって、・・・・の部分について以下のように考える。
 「したがって、大学共同利用機関の法人化に当たっては、我が国の学術研究が高い国際評価を得られるよう、また国際共同研究等を円滑に進められるよう、学術研究をさらに発展させる積極的観点から、大学及び他の研究機関と共同して行う研究等を通じて、独創的な研究の創生、発展ならしめる、制度を検討する必要がある。」
理由:高い国際的競争力は、国際共同研究が重要となりつつある現状にそぐわない。また、競争自体が問われる事態も想定されるようになっている。また高い競争力よりも、高い国際的評価を得ることの方が本質的である。さらに、日本独自の国際的評価をえている研究や独創的な研究の創生、発展を促すことに留意することが重要である。

・視点2に対する意見
○大学共同利用機関は、全国の国公私立大学や研究者コミュニテイー(国内外の関連研究分野の研究者群)の研究者が集まり、共同研究を進めるところにその特徴があり、制度の当初から、機関外部に開かれた運営を行ってきたが、法人化後の大学共同利用機関の運営システムについても、大学や研究者コミュニテイーをはじめ、さらに広く社会に開かれた柔軟な運営体制を確保できるよう、制度を検討する必要がある。
と、中間報告では述べられているが、上記文章の「制度の当初から・・・・の部分について以下のように考える。
 「制度の当初から、機関外部に開かれた運営を行ってきた。法人化後もこの運営体制を基本的に維持する。また、広く社会に開かれた体制については、運営の中で検討する必要がある。」
理由:
大学共同利用機関には、現状においてすでに、全員機関外の者からなる評議員会や機関外の者を半数以上程度含んで構成される運営協議員会を通して、大学や研究者コミュニテイの研究者、幅広い学識経験者の意見を反映させる仕組みがあります。「開かれた運営システムの確保」を特に挙げて強調するのは、すでに高い独立性と自律性を持ち、日本を代表する中核的研究機関であるべき大学共同利用機関の運営を、いたずらに不安定ならしめる危険性がある。また、この強調は、社会に対して何の役に立つかという次元で研究を評価する危険性が大いにあり、実用性のみで判断できない学術研究を片隅に追いやる危惧がある。広く社会に開かれた柔軟な運営体制は、評議員会、運営協議会、役員会等の構成、役割り等の中で十分に可能である。

2)2、制度設計の方針(国立大学の場合と異なる点)の(2)目標評価について
○ 中期目標・中期計画の内容については、大学と共通のものに加え、共同利用に関する事項を記載する。
と、記述されていますが、以下のように考えます。
○中期目標・中期計画の内容については、大学と共通のものに加え、共同利用に関する事項を記載する。内容の策定に当たっては、柔軟性が必要であり、研究評価も柔軟に行わなければならない。
理由:一般に独創性の高い研究ほど定量的、計画的な目標設定が困難であり、この独自性こそが研究の根源的要素である。アカデミックフリーダムは、研究を進める上で必要不可欠の概念で、この概念には研究テーマの選択、研究遂行方法や研究の価値観に対する外部からの圧力の排除が含まれています。また研究テーマは、研究の進行状況や外部環境によって変更(中止も含む)されることが多々あります。さらにノーベル賞は、10年、20年前の研究に対して授与されることが多くあることも想起されたい。

3)2、制度設計の方針(国立大学の場合と異なる点)の(3)人事制度について
○法人の長である機関の長は、全員機関外の者からなる評議員会が推薦した者について、文部科学大臣が任命する手続きとする。
と記述されていますが、以下のように考えます。
○法人の長である機関の長は、全員機関外の者からなる評議員会が推薦した者について、文部科学大臣が任命する手続きとする。また、機関の長の選出に当たっては、運営協議委員会からの候補者の推薦を受けて評議委員会が選考する。
利ゆ:貴報告でも大学共同利用機関を「研究者の自由な発想を源泉とする学術研究を推進する組織」と位置付けており、研究者の自由な発想を汲み上げることが重要である。この汲み上げができるのは、当該機関の委員も加わる運営協議員会であり、研究者と直接的な接点を持たない評議員会ではありえません。

4)(別紙2)評議員会について
・大学共同利用機関を利用する立場にある大学と有識者とで構成する(全員機関外の者)。
と記述されていますが、以下のように考えます。
。大学共同利用機関を利用する立場にある大学の学長及び研究機関の長と学識経験者とで構成する(全員機関外の者)。
理由:大学共同利用機関の運営においては、「大学や研究者のコミュニテイに開かれている」ことが最も重要であり、評議員会の構成もその観点から規定されるべきです。

記述はありませんが、以下のよに考えます。
・評議員会の選考手続き関するプロセスを明記されたい。
例えば、機関の長の推薦に基づいて文部科学大臣が任命する。
理由:評議員会は、法人化後の大学共同利用機関においては、機関の事業計画その他の管理運営に重要な役割を果たすことになり、その選考プロセスを広く大学、研究コミュニテイ、さらには社会に開示することは重要である。

5)2、制度設計の方針(国立大学の場合と異なる点)の(5)その他について
○法人化に際して、我が国の学術の一層の発展を図るという観点から、さらに多数の機関が機会的な連合組織を形成することも考えられるため、法人の単位等を含め多様な制度設計の可能性について今後検討を進めていく。
と、記述されていますが、以下のように考えます。,
○この項は必要ない。
理由:研究機関の自主性・主体性を保つことが、研究を発展させるためには必要不可欠であり、当初から検討されてきたように1機関1法人の原則を守るべきである。法人の単位が大きくなると、大学共同利用機関にとって死活的な意味を持つ、研究者コミュニテイーの意見が反映しにくくなる。