先程,hojinka@mext.go.jp へ,以下のようなものを送りました.
----------------------
中間報告の内容に対する具体的かつ詳細な分析とコメントは多数寄せられて
いると思いますので,私は少し違った視点からのコメントをしておきたいと思
います.
「中間報告」は大学の評価にも踏み込む議論をしています.評価法の説得力
のある具体案は何も無いですが.しかし,中間報告の案にもとづく「改革」後
の大学が10年後,20年後にどういう状況になってしまっているのかに対して,
調査検討会議自身はどのような「評価」を受ける覚悟があり,どういう責任の
とり方をしようというのか全く不明です.このままではこの「改革」の結果責
任は制度設計をした調査検討会議にではなく大学に押し付けられてしまうこと
になるのではないでしょうか.おそらく大学人の多くは,決してこの「改革」
案に賛成していないにも関わらずです.委員の年齢構成からして,結果責任を
想像することすら困難なのかもしれませんが,無責任な議論を避けるために,
調査検討会議の大学「改革」に対する責任のとり方,最低でも調査検討会議に
対する評価の仕組みを調査検討会議自ら同時に作成しておくべきだと考えます.
現在大学に対しては,憲法に保証されている学問の自由にもとづく大学の自
治が「なんでも勝手にやってよい」ということなのではないのだ,という批判
が浴びせられています.この際,同様の批判を調査検討会議も意識すべきでは
ないでしょうか.調査検討会議の大学改革は無責任な「なんでも勝手」になっ
ていないでしょうか.わずか一ヶ月間のパブリックコメント受付で終わるので
はなく,例えば中間報告をユネスコをはじめ,大学改革や大学評価に経験を有
する欧米諸国の「専門家」や「有識者」に「第三者評価」してもらうくらいの
ことは可能だと思いますがいかがでしょうか.その「評価」を待つ間,「改革」
のスタートがほんのちょっと遅れるだけです.
ところで,中間報告には,例えば役員への女性の登用に関するような記述も
見られます.男女機会均等の重要性は当然のことであると思いますが,大学の
制度設計をしようとするような「中間報告」にわざわざ記載すべき事項である
とは思えません.ましてや大学が法人化後の中期数値目標とするようなことが
らであるとはとうてい考えられません.このような議論は,委員の「良心にも
とづく思い付き」をただ記したのではないかと批判されても仕方ないのではな
いでしょうか.これは,委員の「専門家」「有識者」としての資質にも疑問を
持たせるものです.幸いなことに,このような「中間報告」は,大学が学外者
の役員を登用した際に役員会で起こるであろう議論を予測させてくれます.大
学の現場の状況を無視した,役員の単純な良心にもとづく意見ほどやっかいな
ものはないように思います.
報道によると,小泉首相は「米百俵」の精神にいたく感動されているそうで
す.調査検討会議も,「改革」と称して大学の「役に立たない部分」を削って
いるつもりが,結局は大学全体を削ってしまっていることに気がつくべきだと
思います.
渡邉信久
---
060-0810 札幌市北区北10条西8丁目
北海道大学 大学院理学研究科 生物科学専攻 生体高分子解析学講座
Email: nobuhisa@sci.hokudai.ac.jp 電話(FAX兼用)011-706-3433
URL:
http://castor.sci.hokudai.ac.jp/~watanabe/
トップへ戻る 東職ホームページへ戻る