reformの皆様 東北大学の片山知史です.
今日の教授会で配布される予定のいわゆるトップ30関連のプログラム資料を入手し
ました.これは恐らく文部科学省が作成した大蔵説明用のものを各大学に配ったもの
と思われます(不確かですみません).
これを見ると大問題が内包されています.これまでに幾つか指摘されていた問題点 と重なる部分もありますが,私の意見と,配布資料の抜粋をお送りします.
こんなトップ30,大学として辞退するような毅然とした姿勢,アカデミズムを安売
り(たかだか1専攻年2.8億円!)しない意志を,文部科学省に従順な現国立大学に望
むのはもはや無理でしょうか・・・?
////私の意見////
・全体として
そもそもこのトップ30は予算上乗せではないと判断されます.現況の経費の組み替
え(資料の末文にも「既存の予算も活用して支援」あります)であり,経常予算がそ
の分に減少するでしょう.トップ30以外はもう研究するなということを意味します
(まともな教育もできないでしょう).
・筋が通らない.
私が最も憤慨している部分ですが,「評価の視点」についてです.この中で「任期
制,公募制の導入状況」と「特許の企業化」が重要であると漏れ聞いています.教育
研究の内容のトップ30なのに,文部科学省の意に添っているかどうかが何故評価され
なければならないのでしょうか?全く筋が通りません.これでは世界最高水準トップ
30ではなく,お国に従順なトップ30です.
(これに併せてこれまで導入を全く検討していなかった部局も任期制導入の議論を
始めているとのことです.教育機関として呉々も慎重であるべきだと思います.)
・何故学長が?
専攻毎にノミネートする仕組みですが,なぜ学長が取りまとめて申請しなければな らないのでしょうか?学内での(異なる分野間の無用な)コンペティションを経よと いうことでしょうか?
////資料//// (既に報道等で知らされている内容は省略し,その他の部分についてはなるべくその
まま打ち込みました
<世界最高水準の大学づくりプログラム関係-国公私「トップ30」->
1.趣旨 省略
2.対象機関等 国公私立大学の大学院の専攻(博士課程)レベルの原則としつつ,研究所等にも配 慮.
3.選定の仕組み
(1)学問分野別に各大学の申請を受け,教育研究活動実績についての客観的データ
や当該大学の将来構想等を基に評価.
(2)申請は,大学院研究科に置かれる組織としての専攻等について,各大学(学 長)として実施.
(3)評価を行うため,文部科学省に有識者・専門家等で構成される審査委員会を設置.
(4)専攻の結果は工程かせず,評価に応じて変動しうる仕組み.
4.構造改革特別要求額 422億円 <プログラムの骨格(案)>
1.全体計画 2年間で10分野300専攻を選定.対象機関には5年間継続して経費を配分.
(すなわち1専攻1年当たり420/(5*30)=2.8億円)
2.分野構成 省略
3.評価の視点 (1)教育研究活動実績についての客観的な評価指標として考えられるもの ・研究成果の発表状況およびその水準
レフェリー付き雑誌等への研究論文発表数
論文の被引用数 国際学会でのゲストスピーカー
大学院学生の学会での発表
特許取得・申請状況 ・所属する教員の研究水準
ノーベル賞,日本学士院賞等各賞の受賞者数
教員の博士号取得状況 教員の外国における研究歴 ・教員選考等の状況
任期制,公募制の導入状況
日本学術振興会特別研究員(PD,DC)の受入状況
外国人研究員の受入状況 ・競争的資金等の獲得状況
科学研究費補助金採択状況
他の競争的研究資金採択状況 ・産業界との連携
特許の企業化の状況
奨学寄付金,受託研究,共同研究受入状況
教員への産業界からの受入状況 ・学生に対する教育の状況
専攻修了者の学術研究上又は社会的活躍状況
専攻修了者の学国における研究職従事状況
特別研究学生の受入数
学位授与状況
・大学全体の運営及び教育活性化の状況
大学の組織運営の状況(学長のリーダーシップのもと,一体的・機動的体制
ファカルティ・ディベロップメントの実施状況
外部評価の実施状況
教育研究支援環境(図書館,IT,施設設備等)の整備状況
学生による授業評価の実施状況 (2)申請大学からの将来構想及びその実現のための計画(本経費の措置により,ど のように世界最高水準の成果を目指すのか等)について審査委員により評価. 4.経費の使途 評価に基づいて選定された専攻等に,当該組織の計画に基づき,必要な教育研究費 や人件費,設備費などを重点的に措置(年度当たり1-5億程度).
使途として考えられるものは,例えば次ぎのとおり.
・世界のトップレベル大学との共同研究の実施に要する経費.
・学会,シンポジウム等を企画
・開催するための経費
・世界トップレベルの研究者の招へいに要する経費
トップレベルの研究者あにふさわしい処遇での招へいに配慮.
・大学院博士課程の学生の教育に必要な経費
トップレベルの教員による指導.
学生が自発的研究を行うに必要な経費. ・TA,RAなど,若手研究者の支援に要する経費.
・最先端研究を推進するために必要な設備の購入等に要する経費
最先端設備の購入
大量のデータを処理するための専用コンピュータの賃借.
・教育研究スペースの確保に要する経費
季節建物の改修費ほか,民間の貸しビルなどのスペースの借り上げ.
・海外の拠点設置に必要な経費
・その他,教育研究を推進するために必要な経費 *選定された専攻には,国立学校特別会計や私学助成など,既存の予算も活用して支
援を強化.
******************************** -- 片山知史(水圏資源生態学研究室)
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