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Subject: [he-forum 2769] 朝日新聞大阪版10/27

『朝日新聞』大阪版  2001年10月27日付

学長直々、ご意見拝聴   学生らと懇談、ネットでも

 大学の「学長」の存在が、ぐっと身近になりつつある。大阪大や熊本大では、
学長が一つひとつの学部を訪ね歩き、学生や助手らとじかに顔をあわせて語り
合う企画を始めた。大学のホームページ(HP)上に「学長室」を作り、学内
外からの質問に答える取り組みも広がっている。国立大の独立行政法人化、少
子化による学生の減少など、環境の激変が予想される中、若い世代の声を大学
改革に生かそうという狙いだ。

 講義室のイスに座って笑顔を振りまくのは、岸本忠三・大阪大学長(62)。
前には学生や大学院生ら約50人が座る。「独立行政法人のメリットについて
どう思いますか」「学内に24時間営業のコンビニがほしい」。次々と声が上
がり、学長は身ぶり手ぶりで自分の考えを説明していく。

 大阪大が実施中の「学長との懇談会」の様子だ。発端は、全国の大学を様々
な角度から評価する本「大学ランキング2000年度版」(朝日新聞社)の中
で、在学生の大阪大への満足度がCランクと低かったことだ。「原因を知りた
い」という学長の希望で実現した。

 開催は月1回。学長は今年夏までの1年半で、全10学部と留学生センター
などを訪問。1回につき40〜50人程度、計約800人の学生と語り合った。
9月からは対象を助手・講師など30代前後の「若手教員」にかえて、また学
部巡りを始めた。

 学生からは「偉い人と思って緊張したが、ざっくばらんで驚いた」「中小企
業の社長みたい」などの感想が寄せられた。「政治家のようで歯切れが悪かっ
た」との声も。

 岸本学長は「学長は若者と話す機会が少ない。大学の将来をどう考えている
か、意見を聞きたいし私も伝えたい。じかに会って気持ちを通わせることが大
事」と話す。

 同様の取り組みは、熊本大の江口吾朗学長(68)も6月下旬に始めた。す
でに文学部や法学部などで実施。「学生から単刀直入の質問が多く、話が盛り
上がって予定の1時間をオーバーすることが多かった」(熊本大)という。来
春までに全7学部を回る予定だ。

 ネット上で意見交換を試みる大学もある。広島大(東広島市鏡山)は11月
から、牟田泰三学長(64)の声を月2回電子メールで届ける「メールマガジ
ン」を創刊する計画だ。学長自らのアイデアで、小泉内閣のメールマガジンを
参考にしたという。大学のHPで登録すれば、だれでも読めるようにする予定。

 少子化で学生の減少が予想される私立大でも、国立大と同様、危機感を抱く
学長が様々な取り組みを始めている。同志社大(京都市上京区)では、八田英
二学長(52)が3年前にHPに「Cyber(サイバー)学長室」を開設。
質問や提言を募ったところ、電子メールが年間約130通も寄せられた。

 すべて学長が目を通したうえで回答。「大学の将来像について広く意見を聞
くのが目的。学外からのメールも多い」(同大)という。京都産業大(同市北
区)も昨春、HPに「Web(ウェブ)学長室」を設置。学長はすでに約20
0通の返事を書いたという。

若手の教員らと懇談する岸本忠三・大阪大学長=大阪府吹田市の大阪大で 

 国立大の独立行政法人化 国立大を国の行政組織から切り離し、法人格を与
えること。国が進める「大学改革」の柱の一つ。文科省の規制を大幅に緩め、
予算の使い道や職員数などを大学にゆだねる半面、経営責任も大学がとること
になる。同省が6月に発表した「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)では、
法人化を前提に、国立大の再編・統合を大胆に進める▽民間的発想の経営手法
を導入する▽第三者評価による競争原理を導入する、としている。同省は03
年度までに法人化の法案を国会に提出する見通し。
 
 文部科学省大学改革推進室の話 国立大が法人化されれば、学科や専攻の設
置も大学の自由になる。経営だけでなく教育、研究などさまざまな面の「かじ
取り役」として学長のリーダーシップが大切になってくる。学生や産業界など
サービスの「受け手」が、どんな大学を望んでいるのかを知り、大学運営へ反
映させることも必要だろう。学生や地域の声を受け入れる大学側の取り組みは、
今後盛んになるのではないか。

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☆学長直々、ご意見拝聴   学生らと懇談、ネットでも
  200110.28.[he-forum 2769] 朝日新聞大阪版10/27
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