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『北海道新聞』社説  2001年10月27日付

国立大統合*活性化の視点を第一に(10月27日)

 北見工大と旭川医大が、統合に向けての協議を始めることで合意した。

 道内の大学が、統合の方針を打ち出したのは初めてだ。

 背景には、国立大の大幅削減を唱える文部科学省の圧力がある。

 とはいえ、両大学には、単なる生き残り策としての統合ではなく、大学の活
性化と、地域への貢献に結びつける前向きな協議を期待したい。

 単科大学同士の統合や連携のメリットには、教養課程の充実や、研究者の交
流、学際的な研究の広がりなどが挙げられる。

 旭医大と北見工大の場合は、介護ロボットづくりや遠隔地医療の共同研究な
ど、医療や福祉分野の技術開発、産学提携の機会拡大も期待される。

 国立大の再編・統合の動きは、全国で進んでいる。

 統合のトップを切るのは山梨大と山梨医科大、筑波大と図書館情報大で、来
年十月に統合し、翌年春に学生を受け入れる予定だ。ほかにも二十五の大学が
統合に向けて協議している。

 大学改革の流れから、自発的に統合に取り組んできたケースもあるが、大半
は文部科学省が六月に示した「遠山プラン・トップ30」に危機感を抱いての
ものだ。

 同プランは再編・統合による大学の削減のほか、「競争原理」「民間的発想
の経営手法」導入を求めた。

 旭医大と北見工大が、統合に向けての協議を始める理由も、生き残りを模索
してのこととみられる。

 百五十キロ以上を隔てた両大学が、どんなカリキュラムをつくるのか。どん
な研究分野を開拓して社会に寄与するのか。

 課題は少なくないが、拙速を避けた十分な論議で、新しい大学像を描いても
らいたい。

 両大の学長は、互いの統合にとどまらず、道内の他の単科大にも参加を呼び
かけるとしている。

 キャンパスが残るかどうかは、各大学ばかりでなく、地域にとっての死活問
題となる。

 広大な北海道では、それぞれの大学が地域の学術文化の拠点としての役割を
担ってきた。北見工大がオホーツク圏の大学の中心となってきたように、地方
の高等教育を全体としてとらえる目も必要だ。

 統合・再編論議で忘れてならないのは、大学の財政効率の面だけを優先しな
いということだ。大学には研究のほか、人材育成と地域貢献の観点が欠かせな
い。

 各大学がこれまで、こうした責任を十分に果たしてきたかも、社会に問われ
ている。

 地方を足場にする大学が、どんな道を歩もうとするのか、市民に説明してい
く責任がある。

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☆国立大統合*活性化の視点を第一に(10月27日)
  2001.10.28[he-forum 2768] 北海道新聞社説10/27
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