『北海道新聞』2001年10月26日付
「単科大学のまま存続困難」 北見工大と旭川医大が統合へ 協議開始で合意
北見工大(厚谷郁夫学長)と旭川医大(久保良彦学長)は二十五日までに、
両大学を統合するための協議を始めることで合意した。全国で国立大の統合・
再編が進む中、「単科大学のままでは存続は困難」と両学長の認識が一致。新
しい総合大学創設を目指し、具体的な計画をまとめる。ただ、両学長は「統合
は二大学だけでは不十分」として、道内の残る四単科大にも参加を呼びかける
考えで、今後、道内国立大の再編の流れが加速するのは必至だ。
道内の大学の統合の方針が明らかになったのは、これが初めて。
両大学はすでに教授会で、「他大学との統合を進める」との方針を決定。今
後、1)新たな大学の名称・理念、2)管理運営組織の形態、3)新たな教育・
研究分野の設定―などについて検討し、来年中に具体案を固める。
統合後は、旭医大が進めている、情報技術を活用した遠隔医療の研究に北見
工大が参画したり、介護ロボットを双方が協力して開発するなど、さまざまな
可能性が考えられるという。
北見工大の厚谷学長は、国が経営の効率化や研究内容の充実など、国立大学
の改革を打ち出していることから「高水準の教育研究を確立しなければ生き残
れない。それには、異なる学部間にまたがる新しい学問を開拓する必要がある」
と、統合の必要性を強調。旭医大の久保学長も「統合・再編は避けられない。
拙速ではなく、じっくりと統合の話を進めたい」と話している。
全国に九十九ある国立大の統合・再編の議論は、遠山文部科学相が今年六月
に「大学の構造改革の方針」、いわゆる「遠山プラン」で国立大の大幅削減の
方針を表明してから各地で加速。文部科学省によると二十五日現在で、道外の
計二十九大学が統合を決定、または検討している。
同省は、その他のすべての国立大に対しても、来春をめどに統合再編プラン
をまとめるよう求めており、「プランの検討結果をふまえ、文部科学省として
の具体的な再編・統合計画を早急に策定したい」としている。
北見工大は一九六○年創設。工学部六学科を擁し、学生数は約二千百人。旭
川医大は七三年創設。医学部二学科のほか付属病院も運営。学生数は約八百六
十人。
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