2001年10月23日(火)「しんぶん赤旗」 告発!!

 無法リストラ 企業を蝕む病(2)

 財界の危機感 10%が神経症、うつ状態

 「メンタルディジーズ(心の病)は大変顕在化している。潜在化したものも含め、大変 大きな課題だ」  “財界労務部”といわれる日経連の副会長を務める立石信雄オムロン会長は、労働者の 精神疾患が増大していることに、危機感を込 めました。今年八月に開かれた「メンタルヘルス大会」でのことです。
 二十年間のべ二百万人の健康調査をまとめた「産業人メンタルヘルス白書二〇〇一年版 」は、こんな指摘をしています。  「現代産業人の10%強が、神経症やうつ状態といってよいほどの強いストレスと不安 を抱えている」と。
■人減らしの弊害
 白書は、財界・連合等の代表で構成する社会経済生産性本部のメンタル・ヘルス研究所 がまとめたものです。  同研究所は九九年の調査で「リストラ(従業員の減少)は従業員のメンタルヘルスを悪 化させる」と強調。従業員数の減少が、上 司・同僚との関係を悪化させ、帰属意識の低下や仕事の負担感の増加をもたらし、仕事の 正確度を下げ、将来への希望がなくなること と相関があったと報告しました。さらに無気力な傾向や被害者意識、イライラ感の増大、 体の不調感や不安が募り、仕事の手を抜くこ とが多くなったとのべています。
 これらの傾向が、大企業等で働く労働者十人に一人に生じているのです。調査が示すよ うに、精神疾患の増大がリストラの生み出し た弊害である以上、それを改めなければ根本解決はできないはずです。しかし、大企業各 社はいまも大規模な追加リストラをすすめて います。
■健康を守る責任
 厚生労働省は昨年八月、「心身の負担の一層の増加が懸念されている」として、初の「 事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を策定。指針は、個別労働者に対 し「過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、責任等が生じないよう」配慮すること を企業に要求しました。そもそも、労働安全衛生法は労働者の健康の保持促進を図るため 、必要な措置を継続的かつ計画的にすすめることを、使用者の責務と定めています。
 大企業のホワイトカラー職場を対象にした労働省調査(二〇〇〇年八月)では、リスト ラ・人減らしをすすめた企業ほど、労働者がストレスを受けていることを示しています( 図) g.gif 。連合「二〇〇〇年生活実態アンケート調査」は、サービス残業をひんぱんにしている人 の45%が「過労による健康不安」を感じていると回答しています。
 連合の雇用・労働対策局次長(当時)の中桐孝郎氏は、「メンタルヘルス白書」で「職 場のメンタルヘルス対策ですぐに出来そうなことは、長時間の労働時間の是正」と指摘し ました。その理由に、厚生労働省のサービス残業根絶通達をあげ、「アクションを起こす には絶好の機会、積極的に行動に移すべきではないか」とのべています。
 この通達を力に、各地で職場労働者が立ち上がり、サービス残業を是正させています。 その一つ、沖電気工業では…。(つづく)

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☆競争主義的労務管理の結果2 
2001 .10.23  [he-forum 2740] 10月23日(火)「しんぶん赤旗」