Reform

一橋大の「GPA」導入について一言


この様な制度を全学あげて導入するだけで、新聞が取り上げるとは、不思議です。


  ◎ GPAには、獲得した点を単位で除するということによって、学生間の

  比較を容易にする利点はあるかも知れない。しかしこの制度を導入したからと
  いって、授業内容、試験のレベル、採点の厳密性などは一切改善される保障など
  どこにもない。いかにもこれのみで、教育改革を一つ果たした様に書き立てる
  のはどうかと思われる。
    果たして我が国の授業のあり方(モノローグ型=非対話様式*)をそのままに
  しておいて、国際的に通用するようなポイントが得られると思っているのだろう か。


  *文献:アメリカの大学、ニッポンの大学」苅谷剛彦 玉川出版 p.200

 
  ◎ 楽勝科目を、相対評価することによって無くそうとする試みは大変おろか
  である。新潟大学の調査では、相対評価で「学習に」やる気を示す学生は大変
  少ない。
     2000年の新潟大学の当方のクラス(142名)
     医49、農24、人文11、工16、教育19、理10、経済7、法4、 歯1
    質問
        1)仮にクラスの学生の2割にしか90点以上をつけない相対制度。
      2)相対的ではなく、制限無く成績がよければ90点とする制度。
   どちらが勉強の意欲が出るかを学生に問いかけたところ、
                 相対制度で意欲を出すのは、15/142(10.6%)に過ぎず、残りの 127名は
    (2)を選択した。
       同様の調査をまず、どこの大学もしっかり行うべきです。特にGPAと相対成 績づけは
    リンクしたものではないはずです。
  
  ◎ GPAは、学生を単一の点数で比較して、様々な状況で使える、管理者には便利な
システムであるが、新聞に書かれているように、ばらつきが目立つ成績の付け方に秩 序ができ、
授業の工夫、学習意欲の向上につながるとみているというのは、ものを見る目がな く、改革に
何のイメージも持てない人間が書く「たわごと」である。


  双方向の授業をするためには、どの程度の努力が必要か、それはGPAなどと何の 関係も

  ないことを、当方のHPで御覧になっていただきたい。
 
                      http://www.asahi-net.or.jp/~yp3y-wtnb/y


        ----------------------------------------

               渡辺 勇一 Yuichi G. Watanabe


        〒950-2181   新潟市五十嵐二の町 8050

                              新潟大学 理学部 生物学科
              E-Mail: watayu@sc.niigata-u.ac.jp
        ----------------------------------------

目次に戻る

東職ホームページに戻る


独行法反対首都圏ネットワーク


☆一橋大の「GPA」導入について一言 
2001 .10.23 [he-forum 2739] Re: 一橋大、学生の成績を数値化する「GPA」導入へ(朝日新聞)