asahi.com 2001年10月16日
「ノーベル賞30人」計画を批判 ノーベル賞の野依教授
「『50年でノーベル賞30人』という目標は、国家として不見識きわまり
ない」。ノーベル化学賞が決まった野依良治・名古屋大教授が16日、来春か
ら会長になる日本化学会(東京)で会見し、科学技術創造立国や産学連携を目
指す政府の姿勢を歯切れよく批判した。
「学術は芸術と同じで、自分が一番おもしろいと思うものに全力を尽くす。 ベートーベンとモーツァルトが比べられないように、賞は狙ってとるものでは ない」と賞の獲得目標を批判した。
「理科離れ」についても、「科学技術創造立国のために理科を学べというの
は間違い。生物である人間が自然の中で80年生きる、そのこと自体が理科。
豊かに生きるために学ばなければならない」と述べた。
さらに産学連携について、「大学の機能は教育と学術研究。大学が全面的に
産業界に貢献すべきだという議論があるが、全く違う。産業の状況が深刻なの
は産業界の研究者の能力が足りないから」ときっぱり。ただ、その原因は、 「欧米とは三役と十両くらいの格差がある大学院教育にある」と分析、「大学
院のレベルアップが何よりも大事」と強調した。
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