『沖縄タイムス』社説 2001年10月11日付
国立大法人化 計画の練り直しが必要
国立大学の法人化は、規制を緩めて大学裁量を大きくするかわりに、大学自体の責任も厳しく問うことになる。 文部科学省は国立大法人化への中間報告を公表した。
予算、組織や人事、学生定員、学外者の運営参加など、これまで国立大をが
んじがらめに縛ってきた多くの規制を大幅に緩和している。
その一方で、民間会社のように目標と計画を立て、その成果を第三者が評価 し交付金を配分するなど経営責任も明確にする。
これまで全国の百近い国立大学は、地域の人材育成で大きな役割を果たして
いる。他方で、文部科学省の保護のなかぬるま湯につかり、現状に安住する体質を生んだことも否めない。
法人化は、このような国立大学に学科編成や予算運用などの自由を認めて、 同時に自律を求めるものだろう。
大学の自主性・自律性を尊重しながら改革を目指すというのであれば、各大 学も意欲的に取り組めるはずだ。
だが中間報告には、肝心な点で首をかしげたくなる部分が垣間見える。
例えば、文部科学相は、各大学の提案をもとに中期目標を策定し、中期計画
も認可する。運用しだいでは、逆に文部科学省の介入が強まることになりかね
ない。
評価や、予算の配分に影響を与える第三者機関の国立大学評価委員会の委員についても、文部科学省が選ぶとしている。これでは関与が強すぎると言わざ
るを得ない。
また、法人化の目玉である、大学を社会に開くための学外者の参加方法や人
数についても幾つかの条件を示している。いずれも規制緩和に反する。それら
は各大学に任せるべきだ。
いま求められているのは、大学を変える活力をどのように引き出すかという ことではないか。
法人化は国立大が変わる転機である。各大学はこの機を逃さず、学内で活発 な議論を重ねたい。中間報告をさらに練り直し、大学の新生を目指す取り組み が重要だ。
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