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☆日本の産学連携に注文  科学技術担当相 尾身幸次氏 
2001.10.10 [he-forum 2672] 日本経済新聞10/09 .

『日本経済新聞』2001年10月9日付

日本の産学連携に注文

科学技術担当相 尾身幸次氏

 「学尊民卑」改めよ

 大学はこれまで(研究テーマなど)企業の要望をまともに受け止めようとしな いきらいがあり「学尊民卑」の傾向も根強い。国立大学の場合は企業の資金を あてにしなくてもそこそこの研究ができてしまう。産学連携が進まない責任の 七割が大学側にあると思う。
 米マサチューセッツ工科大(MIT)を先日、訪問したが、約二百社をメンバー とする「インダストリアル・リエゾン・プログラム」と呼ぶ制度があり大学と 研究委託や情報交換している。日本企業も三十社が参加しているそうだ。「資 金集めしないと大学の水準が維持できない」とMIT幹部は説明していた。大学 側から意識的に企業へアプローチしている。
 東京大学先端科学技術研究センターの南谷崇センター長に独立を勧めたこと がある。非公務員型に身分を変えて法人化すべきだと説いた。答えは「独立は できない」。企業との結びつきが強く思い切った改革に取り組む先端研ですら、 まだ東大の看板を捨てることはできないということだ。
 国立大の法人化を巡る文部科学省検討会議の中間報告も踏み込みが足りない。 教授会からマネジメント能力を分離しないと意味がない。雇われ身分の教官ら が定年延長を決める組織がほかにどこにあるのか。東大教官を非公務員型にす れば、他の国立大はすべて右へならえだ。
 十一月十九日に内閣府や経団連などの主催で開く産学官連携サミットには企 業からは会長・社長、大学からは学長が約百二十人ずつ参加する。レセプショ ンでは各人に名札をつけてもらい大掛かりな「お見合いパーティー」にする。 地域版サミットも全国九カ所で開催する。
 日本が科学技術でフロントランナーを走るには産学連携は欠かせない。企業、 大学とも認識は変わってきた。企業の私立大学への委託研究に関する課税など 障害となる制度はどんどん変える。これから二年間が勝負だ。(談)


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