『北日本新聞』2001年10月8日付

 富山大教育学部「縮小」「解体」に教官困惑

 富山大、富山医薬大、高岡短大の再編統合問題で、富山大教育学部の“処遇” が焦点になっている。同学部は教員養成課程卒業生の教員就職率が全国平均を 下回る25パーセント台と低迷、他学部や他二大学からは教育学部の役割を疑 問視し「解体して、教官をリストラすべき」との意見が出ている。富山大の将 来構想案も教育学部の縮小を検討に入れており、同学部教官からは困惑とあき らめの声が上がっている。
 再編統合後に向け教育学部は八月、独自の「教育学部新構想」をまとめた。 教員養成課程(学生数一学年百人)は当面そのまま維持し、(教員養成課程を 目的としないゼロ免課程(同七十人)を再編成し、拡充(同百人程度)すると したが、九月に入り再編統合の動きが大学レベルで本格化すると状況は一変し た。  富山大の「国立大学再編・統合検討委員会」(委員長・小沢浩学長)の作業 部会が、ゼロ免課程を廃止し教員養成課程も学科に縮小して人文系学部の中に 組み込む方向で将来構想案を検討していることが判明。金沢、福井大教育学部 との再編統合の可能性も浮上した。
 現状維持どころか拡充を目指していた「バラ色の構想」(教育学部教官)に 淡い期待を抱いていた教官たちは厳しい現実を突きつけられ、「ある程度は予 想されたことだが、最悪のパターン」「教員採用が十人前後で推移している現 状もあり、仕方ないのかもしれない」と困惑、あきらめ顔だ。
 国立の教員養成系大学・学部の新規卒業者の教員就職率は年々減少傾向にあ り、昨年九月末で全国が33・7パーセントで、富山大は25・7パーセント にとどまる。各界の有識者でつくる文部科学省の「国立の教員養成系大学・学 部の在り方に関する懇談会」では「再編統合後の教員養成学部にはゼロ免課程 は必要ないのではないか」などの意見が出ている。
 同省高等教育局教育大学室の石井稔室長は「教員養成学部に教員養成課程と 新課程(ゼロ免課程)を併設することは両方の特色を阻害する」と話し、両課 程の分離を求め教育学部縮小の流れに拍車を掛けている。


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富山大教育学部「縮小」「解体」に教官困惑
200110.8 [he-forum 2670] 北日本新聞10/08.